尚之
恋人になったんだしデートしようぜ
尚之
明後日は満月だから月見デートでもどう?
結衣
いいよ
尚之
そういえば最近悠斗どう?
尚之
しつこくしてこない?
結衣
そのことだけど…
結衣
悠斗、倒れたんだって
尚之
大袈裟だな。どうせ風邪だろ?
尚之
気にすることないさ
結衣
…だよね。本当に死ぬわけないよね
結衣
お母さん、きっと嘘ついたんだ…
不安を抑え、自分にそう言い聞かせる そしてデート当日――
結衣
ここ稲荷神社だよね?ここでデート?
尚之
ああ。月が良く見えるからな
尚之
結衣、もっとこっちこいよ
尚之の手が私の手を包む。しかし次の瞬間…
結衣
えっ!?
私は暗い神社の中に閉じ込められてしまった
尚之
明日までそこでジッとしてろよ
結衣
何これ!?どういうこと!?
尚之
全て悠斗のせいだ
尚之
あいつが結衣を奪おうとするから
結衣
なに言ってるの?
結衣
今は尚之と付き合ってるじゃん
尚之
確かにそうだけど
尚之
今迄ずっと邪魔されてきた恨みがある
尚之
だから悠斗の存在を消したい
結衣
なにそれ…意味わかんない…
尚之
悠斗って狐の化身なんだってな
結衣
知ってたの…!?
尚之
本人から聞いた
尚之
さすがに驚いたけどな
尚之
人間でいられるの今夜が最後らしいぜ
結衣
えっ…
尚之
今夜の満月が消えるまでに結衣と結婚できなかったら
尚之
狐にも戻れないんだってさ
尚之
つまり死ぬってことだろ?
結衣
あの話、本当だったの…!?
結衣
どうしよう…私…
尚之
別にいいって
尚之
結衣には俺がいるんだし
結衣
なんでそんな冷たいの?
結衣
3人で仲良しだったでしょ?
尚之
フリだよフリ!
尚之
悠斗なんて嫌いだった
尚之
このままいなくなれば良い
結衣
尚之ってこんな人だったの…?
結衣
私…間違っちゃったかも…
ふと見上げると、小窓から満月が見えた
結衣
明日になったら悠斗が消えちゃう…
結衣
もう手遅れだけど…せめて…
結衣
ごめんなさい
結衣
私なにもわかってなかった
悠斗
どうしたのいきなり?
結衣
悠斗が死んじゃうって聞いて…
結衣
尚之とつきあったこと後悔してる
結衣
今更だよね…
悠斗
…今どこ?
結衣
稲荷神社
悠斗
お守り持ってる?
結衣
うん。この前言われたから一応
悠斗
そのお守り、俺の分身なんだ
悠斗
もし嫌じゃなかったら結婚誓ってくれないかな?
悠斗
ちょうど神前だし
結衣
そうしたら悠斗は死ななくてすむの?
悠斗
結衣と結婚の契約をすればね
悠斗
そうすれば今後は人間として生きられる
結衣
そうなんだ…
悠斗
でも無理強いはしない
悠斗
結衣がしたいようにして
悠斗
今迄結衣といれて幸せだったし
悠斗
このまま消えても後悔しないから
結衣
悠斗…
妖怪との結婚なんてありえないと思ってた。 けど今は――
結衣
…誓います
結衣
悠斗と結婚する!
結衣
だから…死んだりしないで!
必死に誓った瞬間、眩い光に包まれる。そして徐々に意識が薄れていった―…
数日後
悠斗
稲荷神社到着したよー
結衣
ごめん、私少し遅れそう
悠斗
OK!ゆっくり来て
悠斗
神社デートなんて新鮮だよ
結衣
そこ思い出深い神社だから
結衣
一緒に行きたかったんだ♪
悠斗
どんな思い出?
結衣
命を助けられたの!
悠斗
なにそれ!大袈裟じゃない?
結衣
本当だよ~
悠斗
まあ結衣が言うなら信じるけど
悠斗
俺は神社とか馴染みないなぁ
悠斗は記憶を失ってしまった。15年間使い続けた霊力もなくなって今は普通の人間とおんなじだ
悠斗
結衣がこっち着いたらお参りしよっか
結衣
なにお願いするの?
悠斗
お願いはしないよ
悠斗
誓うの!
結衣
なにを?
悠斗
これからは結衣のこと一生守ります!って
悠斗
サムいかな俺w
結衣
ううん、嬉しい!
ひょんなことから元狐の嫁になったけど、今はこれで良かったって思う!







