テラーノベル

テラーノベル

テレビCM放送中!!
テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

プロミス 〜果たせない約束〜

一覧ページ

「プロミス 〜果たせない約束〜」のメインビジュアル

プロミス 〜果たせない約束〜

1 - プロミス 〜果たせない約束〜

♥

1,180

2018年08月28日

シェアするシェアする
報告する

6月17日朝

香奈

不在着信

不在着信

香奈

不在着信

不在着信

香奈

香奈

たかしー

タカシ

わっ!やっベー!

タカシ

ごめん香奈!

香奈

もう30分待ってるんですけどー

タカシ

すまん!完全に寝坊した!

香奈

初デートで寝坊とかまじありえないから!

タカシ

そもそも朝9時待ち合わせとか早過ぎだって

香奈

寝坊して言い訳とかサイテー

香奈

いいから早く来てよね!

30分後

タカシは急いで待ち合わせ場所のカフェに向かった。

タカシ

なんでこんな時に限って寝癖直んねーんだよー

タカシ

えーっと、あそこのカフェか

タカシ

いたいた、香奈のやつ。ん?イヤホンしてんのか。じゃあこっそり近づいてびっくりさせるか

その時、周りにいる人たちが何やら騒いでいるのが目に入った。

何かから逃げているみたいだが、香奈は音楽を聴きながらスマホを見ていて気づいていない。

「何があったんだろう」とタカシが思う前に、悲惨な出来事は起こった。

目の前に雷が落ちたかのような音とともに、カフェの外に置いてあった椅子の脚がタカシのところまで飛んできた。

待ち合わせていたカフェに車が突っ込んでいたのだ。

タカシ

え...

タカシは目の前で何が起きたのか理解できず、言葉を失った。

その後警察や救急車が来てカフェにいた数十人が病院へ搬送された。

その日の夕方のニュースで、香奈を含む5人が亡くなったと報道された。

車を運転していたのは高齢者で、アクセルとブレーキを踏み間違えたことによって起きた事故らしい。

タカシ

俺が寝坊なんかしなけりゃ、香奈は...

タカシ

くそっ!俺のせいだ!

タカシは香奈との最後のLINEを見ながら、香奈が死んだことへの罪悪感に苛まれていた。

2日後

タカシ

はぁ...こんな俺生きてる資格あんのかな...

薄暗い部屋の中、タカシはおもむろに目の前にあったカッターに手をのばした。

タカシ

これで香奈のところに行けるかな...

タカシがカッターを手首に近づけたとき、電話が鳴った。

タカシ

もしもし

タカシ

...ん?

タカシ

もしもーし

タカシ

...無言電話かよ

電話を置いたタカシはもう一度カッターを手首に近づけた。

「ピンポーン」

今度はインターホンが鳴った。

タカシ

はーい。って誰もいねーじゃん!今時ピンポンダッシュかよ

タカシ

あー、イライラしてきた!

タカシ

そういえばあそこのカフェ、近くにビルがあったな。どうせならそこの屋上から飛び降りるか

タカシは事故があったカフェの近くのビルの屋上へ向かった。

タカシ

香奈はあそこで...

タカシは屋上からぐちゃぐちゃになったカフェを見下ろした。

カフェの近くで花を供えている人がいる。

供えられた白い花は心なしか少し黒ずんで見えた。

タカシ

待ってろ香奈...今そっちに行くからな...

タカシが屋上から飛び降りようとした瞬間、後ろから「待って」という声が聞こえた。

タカシ

え...うそだろ...

振り向いてみると、そこには香奈がいた。2日前に見たのと同じ服で。

タカシ

香奈...なのか?

香奈

うん、そうだよ。

タカシ

生きてたのか!?

香奈

ううん。私もうこの世にはいないよ。

タカシ

じゃあどうして...

タカシ

もしかして恨んでるとか?そうだよな、おれが寝坊しなきゃ死ななかったんだもんな。ほんとごめん。

タカシ

俺も今からそっちに...

香奈

違うよ!

香奈

恨んでなんかない!

香奈

自殺なんかしようとしないでって言いにきたの!

タカシ

え...

香奈

たかし、カッターで手首切ろうとするから、私止めようとしたのに今度はビルの屋上から飛び降りようとするんだもん。

タカシ

もしかしてあの無言電話とインターホン鳴らしたの香奈だったのか!

香奈

うん。お願いだから死なないで!私の分まで生きてよ!

タカシ

香奈...

香奈

初デートの約束は果たせなかったんだから、せめてこのお願いだけは守ってよね!

タカシ

...

香奈

あ、あとちゃんとお墓参りにも来てよね!

タカシ

...わかった!俺香奈の分まで幸せになる!

香奈

約束だよ。

香奈

バイバイ、たかし。今までありがとう。

タカシが溢れた涙を拭いて顔を上げると、もうそこには香奈の姿はなかった。

タカシ

ありがとう、香奈。

タカシは花屋で花を買い、2日前カフェで香奈が座っていたところにそっと供えた。

香奈が大好きだった真っ白なユリの花は、太陽に照らされて輝いていた。

1週間後

タカシは香奈の実家に行った。

タカシ

香奈さんとお付き合いさせていただいてたタカシです。突然すみません。お線香をあげにきました。

香奈のお母さん

あなたがたかしくん?香奈からあなたのこと聞いてたわよ。すごくいい人だって。

タカシ

この度は、僕のせいでこんなことになってしまって...

香奈のお母さん

もういいわ。ほら、頭をあげて。

香奈のお母さん

香奈は決して人を恨んだりするような子じゃないから、きっと運転してた高齢者の人にもあなたにも、幸せになってほしいって望んでいるわ。

香奈のお母さん

あ、そうだ。この前警察から香奈の所持品を返してもらったんだけどね、その中にほら、これ。

タカシ

これは...

香奈の母親からリボンのついた、形の崩れた小さな箱をもらった。

箱を開けると、砕けたクッキーが入っていた。

香奈のお母さん

あとこれも。

タカシは香奈の母親から手紙ももらった。

たかしへ(^。^)付き合って1ヶ月でやっと初めてデートできたね!この前チョコが好きって言ってたから、チョコクッキー初めて作ってみました(^^)口に合うかな?たかしはいたずらっぽいとこがあって、でも優しくておもしろくて、そんなたかしが大好きです!これからもよろしくね!香奈より

タカシ

香奈...

デート後に渡そうとしていたと思われる、香奈の想いが詰まったこの手紙はタカシを愁嘆させた。

タカシ

ありがとうございます。僕、これから香奈の分まで生きます!

その後、タカシは香奈の最初で最後の手作りクッキーを食べた。

泣きながら食べたせいか少ししょっぱく、そしてほろ苦かった。しかし、その中に確かに感じた甘さをタカシはしっかりと噛み締めた。

最後まで見ていただきありがとうございました!❤️押していただけると嬉しいです😊

この作品はいかがでしたか?

1,180

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚