ここに搬送されてから約一ヶ月
私が寂しくないように
ほぼ毎日のようにいっちゃんは来てくれた
週末になるとたっくんも来てくれて
まるで本当の両親のように
拓郎
拓郎
郁美
美結
とても優しく接してくれた
もしここに母がいたら
こんなことをしてくれただろうか?
私はわずか一ヶ月で
母がどんな風だったかを
だんだん思い出せなくなっていた
その後も何度か母方の親戚が私に会いに来たが
その度にいっちゃんが追い返し
私と会わないようにしてくれていた
私が衰弱していた理由について
児童相談所の職員は虐待を疑い
何度も母の元を訪ねたが
母は父が亡くなったことによるショックで
私が食欲不振に陥ったと主張し続け
母方の親戚達がそれに同調して証言をしたため
職員はそれ以上の追求ができず
そして母は親戚達に
優香里
優香里
自分で要らないと言ったはずの私のことを
求めるような発言をし始めた
ある金曜の夕方
郁美
美結
郁美
美結
郁美
美結
郁美
美結
いっちゃんが帰る時間になると
急に寂しさが込み上げてきて
私は何度も確認して
約束の指切りをして
やっと安心して眠れるようになった
いっちゃんが帰ってからしばらくして
突然病室のドアが開く
美結
優香里の伯父
優香里の叔母
まだ幼かった私でも
これが嫌なことだと言うことはわかった
優香里
母の言葉を真に受けた親戚達が
いっちゃんのいない隙を狙って忍び込み
非常識にも面会時間外に堂々と現れ
私を母の待つ家へ連れ帰ろうとしたのだ
優香里の叔母
優香里の叔母
怖かった
優香里
母の言葉が再び頭を過る
錯乱状態にはならなかったが
怖くて全身が震えた
美結
優香里の伯父
優香里の叔母
信じられない
きっとまた嫌なことを言われる
もうそんな風にしか考えられなくて
美結
美結
そう呟いた直後
再び病室のドアが開いた
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