テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
224
174
#暗め
告白の日から数日。 ○○には最近、一つ気になっていることがあった。 それはーー。
○○
夕方。 授業を終え、お互いの長屋へ戻る間の廊下でのお話。 並んで歩きながら何気なく口にすると、伊作がきょとんとした顔になった。
善法寺 伊作
○○
その言葉を言った瞬間、自分で恥ずかしくなった。 ○○は慌てて顔をそらす。 伊作は少し驚いたようだったが、すぐに小さく笑った。
善法寺 伊作
○○
正直に答える。 恋仲になったからといって、何もかも変わる訳ではない。 それは分かっている。 けれど、周りの恋仲たちを見ていると、名前を呼び捨てにしたり、特別な呼び方をしている人もいる。 少しだけ羨ましかった。 伊作はしばらく考え込むように黙った。
善法寺 伊作
○○
善法寺 伊作
善法寺 伊作
善法寺 伊作
○○
善法寺 伊作
○○
善法寺 伊作
○○
二人で顔を見合せ笑いあった。 すると、伊作が不意に足を止めた。
善法寺 伊作
○○
伊作は少しだけ耳を赤くしながら言った。
善法寺 伊作
○○
善法寺 伊作
伊作も少し緊張しているようだ。 ○○は思わず背筋を伸ばした。 なんだか実習より緊張する。 伊作は一度深呼吸し、そして。
善法寺 伊作
優しい声だった。 たったそれだけ。 たった名前を呼ばれただけなのに。 胸の奥が熱くなる。 今まで何度も名前を呼ばれてきた。 でも違う。 「○○ちゃん」ではなく「○○」。
その一言が特別に聞こえた。 ○○は顔を真っ赤にしたまま固まった。 伊作が慌てたように笑った。
善法寺 伊作
○○
二人とも照れてしまい、しばらく顔を見られない。 沈黙が続く。 けれど不思議と嫌な沈黙ではなかった。 やがて小さく伊作が笑う。
善法寺 伊作
○○
善法寺 伊作
○○は顔を上げる。 伊作の表情は穏やかだった。
善法寺 伊作
その言葉に胸が高鳴る。 伊作は少し照れながらも続けた。
善法寺 伊作
○○
嬉しさが隠せない。 伊作も安心したように笑った。 そして再び歩き出す。 並んで歩く二人。 少ししてから。
善法寺 伊作
また名前を呼ばれた。 ○○は思わず振り返る。
○○
善法寺 伊作
伊作は悪戯っぽく笑った。 ○○の顔がさらに赤くなる。 そんな様子を見て伊作は楽しそうに笑う。 恋仲になっても大きくなにかが変わる訳ではない。 けれど。 名前の呼び方一つ一つで、こんなにも幸せな気持ちになれるのだと○○は知った。 夕焼けに染まる道を歩きながら、○○は何度も心の中でその声を思い返す。 ーー○○。 その響きが、いつまでも胸の奥で優しく残り続けていたーー。
コメント
1件
愛さん、第29話読み終えました〜!呼び方を変えるって、たったそれだけなのにこんなに幸せな空気になるんだなって感動しました。伊作先輩が照れながら「○○」って呼ぶシーン、すごく印象的でした。恋仲になってからの、ゆっくりした距離の縮め方が丁寧で、読んでてこっちまでドキドキしました。素敵なエピソードをありがとうございます!