第2話 「デスゲーム」
どうぞ〜ッ!
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狭いタンスの中。 出来る限り手前に 居させないようにか、 ないくんに抱き寄せられる。
ないくんの胸板に耳を 当てると聞こえる、 いつもより早い鼓動。
ペタッ…ペタッ…
息の音や鼓動すらも 聞こえてしまうほどの 恐ろしく静かな部屋。
静まり返った部屋に、 誰かの足音が響く。
息を潜め、音を立てない ようにタンスの隙間から 外を覗く。
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そこに居たのは
見たこともないような、 大きな口に大きく鋭い牙、 額を突き破って生えた 大きく歪な白いツノを持つ、 所々にヒビが入った 青色の皮膚の、 鬼のようなナニカだった。 恐らく、まろくらいは あるであろう背に猫背。
普通なら目があるであろう 場所は、元から何も無い かのように皮膚で覆われていた。
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ペタッ…ペタッ…
俺らが隠れているタンスへと 近づいてくる鬼。
……ピタッ ニヤッ
タンスの前で足を止め、 大きな口を更に大きく開けて ニヤリと不気味に笑う鬼。
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ゆっくりと、だけどしっかり 俺の手を握るないくん。
ガシッ バッッ
視界が反転する。
鬼に持ち上げられ、 倒されるタンス。
やはり、俺らの居場所は バレているようだ。
逃げるしかない。
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タンスを無理矢理開けて、 ないくんの手を引いて タンスから出る。
N
タンスの中では、暗くて あまり見えなかったが、 青ざめた顔をしている。
青鬼
俺らの匂いか足音に 反応したのだろう、 目のない顔がこちらを向く。
見れば見るほど不気味で、 腰が抜けないよう、 足がすくまないように しているのが精一杯。
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ないくんの手を引いて走り出す。
手汗が止まらないのか、 その手は湿っていて、 少しでも力を抜けば、 手を離してしまいそうだった。
青鬼
ノイズ混じりの低音で、 この世のものとは思えない 不気味な笑い声をあげながら 後ろを追いかけてくる鬼。
目がない、ということも あってか、俺らが あの部屋を出てすぐには、 追いかけてこなかった。
体力があまりないのだろうか、 そこまで速いという わけではない。 これなら、俺らの体力が 先になくなって追いつかれる ことはないだろう。
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そう思いながら、 出来る限り距離を取り、 匂いを感じ取れない くらいまで離れようと 走り続けていたその時
青鬼
何故か急に立ち止まる青鬼。
青鬼
と思えば、俺らの脳内に直接、 そして重低音で 雄叫びをあげる。
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意表を突かれた俺たちは、 思わず足を止める。
そして、青鬼の方を振り返ると
黄鬼
ひび割れた黄色い皮膚、 左の額から突き出す 青鬼の両ツノよりも長い 一本のツノ。 青鬼にはなかった目が あり、廊下の電気に 照らされて、 落ちそうなほどに 飛び出た、ギョロリとした 大きな黄色い目は 妖しく光っている。
青鬼と、他に大きく違う点。 それは、黄鬼は筋骨隆々で、 猫背ではなく、だが 背は俺よりも低い。
黄鬼
L
我に帰り、駆け出す俺ら。
1対2だったのが、 急に2対2になり、 同時に追いかけられる この状況。
更に黄鬼は、青鬼よりも かなり体力があるようで、 足も速く、物凄いスピードで 追いかけてくる。
恐らく青鬼は、自分の 体力や、1対2という 不利な状況をどうにか 改善しようと、雄叫びで 仲間を呼んだのだろう。
頭脳派の青鬼と、 運動神経抜群の黄鬼。
この連携プレイは、 かなりキツイだろう。
黄鬼
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N
少しでもスピードを 落とせば、後ろの鬼達に 殺されてしまうことは 分かっているから
スピードは緩めず、 足を止めず
無闇矢鱈に、目に入った 角を曲がり、障害物を利用し、 死ぬ気で逃げ続ける。
黄鬼
L
身体が宙に浮き、 足を動かしても 前に進めなくなる。
そして、恐る恐る 後ろを振り返り、 自分に起こった事を察した。
黄鬼に追いつかれ、 ないくんよりも体力がないため、 少し後ろを走っていた俺が 捕まり、後襟を掴まれ、 つまみ上げられているのだ。
スピードが落ちていた 気はしなかった。
実際、更にスピードが 落ち、遅くなっていた 青鬼の姿はもうかなり後ろ。
だとすると、黄鬼の スピードが更に上がった、 と考えるべきだろうか。
……いや、まさかそんなこと。
人間でないと言えど、 あり得るはずがない。
あり得ていいはずがない。
俺らはすでに、最初に 居た、隠れたあの部屋からは もうかなり離れているはず。
その間、青鬼以外は 速度は変わっていなかったはず。
…なのに、なのに何故
黄鬼は、息一つ 乱れていないのだろうか。
やはり、黄鬼は底なしの体力、 そして青鬼の方は、 目が視えないことも あるかもしれないが、 体力は、運動音痴の 人間に近い。 だがとにかく、異常に 頭の回転が早い。
鬼1体に対し、 逃走者は2人とかなり 不利なあの状況。 目が視えないはずなのに それを気配や匂い、 音などから感じ取り、 自分達に有利な 状況にする為に、 黄鬼を呼んだのだろう。
そして、わざわざ脳内に 直接叫んだと言うことは
黄鬼は耳が聞こえない ということだ。
青鬼の目が見えないように。
つまり、李音が言っていた 「足枷」とは、何かが 欠けている、ということ。
他の鬼達はもしかすると、 匂いが分からなかったり、 身体が思うように 動かなかったり、 四肢欠損なのかもしれない。
だからと言って、 油断はできない。
鬼達は恐らく、 何かが欠けていても、 人間離れした、秀でた 何かを持っている。
…って俺、鬼に捕まって んのに、よくこんな冷静に 分析してんな。
……あれ?そう言えば、 鬼に捕まったら どうなるんだろ?
牢屋か何かが、 どこかにあるのか?
N
L
それを考えるより先に、 とりあえず、 逃げなければならない。
L
俺の服の後襟を 掴み続ける黄鬼の、 くすんだ黄色の肌をした 腕に手を伸ばす。
思いっきり、その硬い皮膚の 腕を掴んでも、 揺さぶろうとしても、 ビクともしない鬼の腕。
L
N
転送後 青組side
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I
I
ハッキリとしない 視界と意識。 まだ瞼の上がらない目を こすりながらそう呟く。
辺りをぐるりと見渡すと、 そこには水色髪のアホ。
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H
I
大声で笑いそうに なるのを堪えながら、 幼い寝顔に微笑む。
I
I
コイツのほっぺは マシュマロか何かなん?
え、やっわッ()
一生つねっておきたい。
H
H
H
H
I
俺が頬摘んでるからか。 喋り方変なの。
H
りお…あの銀髪の ことだろうか。 アニキの弟とかいう、 あの…
正直羨ましい。()
H
…なんて言うてるか 分からへんわ
キィィィィィィィンッ
I
ゴミまみれの部屋。 埃にまみれ、全体的に 黄ばんでしまっている エアコンの近くに、 学校でよく見る スピーカーがある。
I
I
そう言って、大声で揺さぶる。
H
小さく喘ぎながら、 首を押さえ、 ゆっくりと身体を起こす。
その第一声は
H
だ。起こして やったのに、あまりにも 酷すぎる気がする。
I
(ビジネス不仲は その辺にしといてもろて。)
(あ、前回同様、 🦁→アニキ、🥀→李音で)
🥀「あ、あ〜ッ! マイクテス、マイクテスッ!」
H
I
🥀「おい今絶対誰か 声デカい言うたやろッ!」
I
I
いや、この"ゲーム"の GMなのだから、 監視カメラで監視する ことくらいはできるか。
🥀「まぁええわ。ほな、 鬼解放しま〜すッ!」
最初に見た時から、 なんとなくそんな 感じはしたが、 やっぱりノリが軽い。
I
正直、まだ流石に 実感は湧いていない。
始まってすぐ、 鬼に見つかって 追いかけられている 人もいるのだろうか。
そう考えていると
ふと、さっきから ほとけが全く喋らない ことに気づき、 後ろを振り返ると
グサッッ
I
心臓部を、誰かに ナイフで深く 刺されたようだ。
自覚した途端、 全身に激痛が走る。
焦点が合わず、顔を 見ることすらできない。
せっかく目が覚めてきたのに、 また朦朧とする意識。
自分の血のせいか、 服が湿って肌に張り付く。
あぁ、もう…あかんわ…ッ
ぜってぇクリアしろよ、 りうら、ほとけ、初兎、 ないこ、アニキ。 あと、こえたちも。
If 脱落 残り 49人__
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