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さかのぼること十数分前。

ヒメとマドカ(主にマドカ)から締め出しを喰らってしまったツヨシとカシンは、そのまま車内にて待機することなった。

ツヨシ

ナンバーズか……。あいつら、結局最後の最後までよそよそしかったよな。

ツヨシ

あんなことが起きる前までは、いかにも一軍女子って感じで幅を利かせていたのに。

カシン

まぁ、自分達のせいであんな事件が起きてしまったんです。

カシン

一応、人間としての遠慮みたいなのがあったんじゃないですか?

カシン

私達に対して申し訳ないって気持ちもあったかと。

ツヨシ

――どうだか。

ツヨシ

ほら、よくいうだろ?

ツヨシ

いじめた側はいつかそれを忘れるけど、いじめられた側は死ぬまでそれを忘れないってさ。

ツヨシ

もし、あんな事件が起きなければ、今頃は何事もなく、当たり前のように毎日を送っていただろうよ。

カシン

そこなんです。

カシン

日本の教育というものは、どうしても周囲との――。

ツヨシ

カシン、ちょっとストップ。

ふと、ルームミラーで後ろを見たツヨシは、やや小声で続ける。

ツヨシ

あいつ、見覚えないか?

ツヨシがミラー越しに確認したのは、この街中で軍服という目立つ格好をし、それよりも印象的なガスマスクを被った人物だった。

しかも、バイクに乗っており、加えて片手には鉄パイプらしきものが握られている。

下手をすれば、すでに誰かに通報されていてもおかしくはない格好だった。

カシン

――【革命軍】?

ツヨシ

どう見てもそうだろう……。

ツヨシが言いかけた時、停車していたツヨシの車両を追い越しざまに、そのガスマスクは鉄パイプを振り上げた。

時がゆっくりと流れ、ガスマスク越しではあるが、その人物と目が合ったような気がした。

と、次の瞬間、勢いよく鉄パイプが振り下ろされた。

ツヨシ

なっ、なにしやがんだよ!

鉄パイプは運転席サイドの窓ガラスに命中。

ツヨシの真隣の窓ガラスが粉々に砕ける。

ツヨシ

くっそ、これまだ5年以上のローンが残ってんだぞ!

カシン

いや、そんなことより逃げられますよ!

カシン

追いましょうよ【革命軍】を!

後部座席から身を乗り出すカシン。

ツヨシ

お前、明らかにこの状況に興奮してんだろ?

カシン

当たり前じゃないですか!

カシン

さっさと追って下さい!

カシン

窓ガラス分弁償させないと!

ツヨシ

あーもー!

ツヨシ

後でヒメとマドカに謝れよ!

カシン

逆にここで【革命軍】を捕らえたら手柄ですよ!

ツヨシ

どっちにしろ、俺の愛車に傷をつけたことは許さねぇ!

ツヨシはアクセルを踏み込むと、どんどん小さくなるバイクを追いかける。

カシン

この辺りは路地が多くて、立ち回りはバイクが明らかに有利です。

カシン

ですから、大通りのほうに先回りしてしまいましょう!

運転席の窓ガラスが割れてしまっているがゆえに、どうしても会話が大声になってしまう。

ツヨシ

先回りって言われてもよ――。

カシン

この辺りは住宅街の都合もあって、一方通行の道も多いです。

カシン

そして、何よりも特筆すべきは、この住宅街から大通りに出るルートは、一点に集中しているということ。

カシン

分譲タウンによくある構造ですね。

ツヨシ

お前、よくもそんなに詳しいな。

カシン

ヒメの実家の近所ですから――。

カシン

とりあえず、そこの角を右です。

カシン

比較的広い道に出ますから、それなりにスピードを出しても問題ないかと。

ツヨシ

お前がヒメのストーカーで良かったと思う日がくるなんてな。

カシン

ストーカーではありません、ナイトです。

ツヨシは小さく溜め息を漏らすと、右折する。

バイクはまだまだ遥か前方。

この日がど平日の昼間ということが逆に助かったか。

人通りも少なく、車通りもほとんどない。

平日の住宅街など、こんなものなのかもしれない。

だからこそ、あんな奇妙な格好で襲撃しても目立たなかったのかもしれないが。

カシン

とりあえず私の指示に従って下さい!

カシン

そうすれば、あいつが住宅街から外に出る前に、大通りに出るところまで先回りできますから。

ツヨシ

あぁ、分かった!

カシンの指示に従って車を走らせるツヨシ。

ツヨシ

よくもまぁ、こんな細い裏路地を把握できてるもんだ。

カシンの的確な指示に思わず感心してしまう。

いつしか追いかけていたはずのバイクは見当たらない。

知らぬうちに追い抜いてしまったようで、気がついたら大通りに出る手前の道に出ていた。

カシン

この住宅街から出ようとすれば、必ずここを通らなければなりません。

カシン

待ち伏せをして叩いてやりましょう。

ツヨシ

待ち伏せするって、どうやってバイクを停めるんだよ?

カシン

――どうやら私の仕事はここまでのようだ。

カシン

ここから先はツヨシ、君の仕事です。

ツヨシ

なるほど、面倒だから丸投げするってわけな。

そうこうしている間にバイクのエンジン音が聞こえてくる。

ツヨシ

まず、ちょっと通行の邪魔になるかもしれないけど、大通りに出る道を封鎖させてもらう。

そう言いつつ、大通りへと出る道路を遮るようにして車を停める。

もちろん、一般人にすぎないツヨシに、そんな権限はなく、事情を知らない人間からすれば良い迷惑だろう。

しかしながら、こうするより他に方法が思いつかない。

ツヨシ

こうしておけば、あっちも迂闊に動けないだろうよ。

運転席でバイクが来るのを待つ。

エンジン音が徐々に近づいてきて、バイクの姿が見えた。

ツヨシ

来たぞ!

カシン

……うーん、こっちの姿は丸見えなわけですから、こうも露骨に待ち伏せてしまったら、相手に逃げられるような気がするんですけど。

ツヨシ

いや、そういうことは先に言えよ!

カシン

ツヨシのことだから、何か考えがあるのかと思って。

ツヨシ

ねぇよ、そんなもん!

このままでは間違いなく逃げられてしまう。

住宅街の中に封じ込めはできても、それ以上はどうにもならないだろう。

追いかけるには車が必要だが、しかし大通りへと続く道を封鎖する車を動かすわけにはいかない。

と、ツヨシがあれこれ迷っている間にバイクはどんどんと近づいてくる。

ツヨシ

あいつ、引き戻すつもりはないってことか?

カシン

強行突破するつもりかもしれません。

ツヨシ

くそ、舐めやがって!

ツヨシ

こうなったら、俺もやってやるぞ!

ツヨシは車から降りると、仁王立ちになってバイクの前に立ちはだかる。

ツヨシ

来いよ!

ツヨシ

俺とお前、どっちがビビりなのか証明してやるよ!

ツヨシはそう叫ぶと、バイクに向かって地面を蹴った。

さすがに予期しないことだったのであろう。

バイクは急減速する。

その瞬間を見逃さず、ツヨシはバイクにまたがる【革命軍】に渾身のタックル。

それでも、まだバイクのスピードは出ていたため、ツヨシは【革命軍】と一緒に弾き飛ばされてしまった。

バイクが地面に擦れる音、後に聞こえた小さな衝突音。

ツヨシ

痛ぇ……。

ツヨシはゆっくりと立ち上がると、自分の愛車の姿を見て唖然とする。

愛車の脇腹に、横になったバイクが突き刺さっていたら、そりゃオーナーとして言葉を失う。

カシン

ツヨシ、実力行使にもほどがありますよ。

カシン

もう少し後先を考えたほうがいい。

後部座席から転がるようにして降りてきたカシンは、そのまま倒れている【革命軍】の元へ。

カシン

……ツヨシ、今すぐマドカ達に連絡を。

カシン

確かに、こいつは31人目の3年D組なのかもしれませんね。

【革命軍】は気絶をしているらしく、そのガスマスクを剥ぎ取ったカシンが呟く。

ツヨシ

ってことは――こいつがナポレオンってことか?

ツヨシはカシンの元へと向かい、そして気を失っているであろう【革命軍】の素顔を見て言葉を失った。

ツヨシ

こいつ、まだ刑務所にいるんじゃないのか?

カシン

私に聞かれても困りますよ。

2人が見たその顔は――。

ツヨシ

担任の志賀じゃねぇか。

かつての【3D事件】の事実上の実行犯、担任だった志賀であった。

上野原高等学校革命同好会

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コメント

2

ユーザー

えっ?めちゃくちゃ予想外なんですけど… 脱獄した?

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