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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで

“《白いカラス》を見つけたら幸せになれる──”

最初そんな噂を耳にした当初は半信半疑だった

“白いカラス”なんて本当に存在するのだろうかと、頭の中で疑問に思った

あの日までは……

カァ

公園を横切ったとき、一羽のカラスが木の枝に留まっていた

 

え?

思わず目を疑った

カラス(白)

カァ、カァ

白いカラス

 

…………

呆然と見つめる

本当に存在するなんて……

しばらくして白いカラスはどこへと飛び立った

3日後

混雑した社内食堂で前から気になっていた“あの人”と同席になった

まさかの展開に少ししどろもどろになる

わずかな時間だったけれどもその人と会話ができてよかった

 

(もしかして、これが《白いカラス》の噂の効果?)

後日もう一度あの公園へ行ってみたが、白いカラスが現れることはなかった

ネットで《白いカラス》についていろいろ調べた

“《白いカラス》を見つけたら幸せになれる。 羽根を手に入れるとさらに幸せになれるとか──”

 

……羽根

それを手に入れれば──

翌日の昼休み、“あの人”から声をかけられた

今夜時間あるかな?

一緒にご飯でもどう?

 

…………

誘われるとは思わなかった

ダメ……?

慌てて頭を振り、『大丈夫です』とだけ答える

“あの人”は相好を崩し『よかった』と言って、お互い連絡先を交換した

2時間後

“あの人”と一緒に食事ができて夢のようなひと時を過ごした

 

(……まだ帰りたくないな)

でも明日も仕事だ

名残惜しいけれど『また明日ね』と別れた

 

…………

本当に“あの人”は素敵な人だ

自分なんてもったいないくらいに──

 

(それでも……)

“あの人”への思いは強くなる一方だった

翌日

今日も社内食堂は混んでいる

運よく空いていた席で黙々と食事をした

 

…………

密かに“あの人”へ視線を向ける

同僚と楽しそうに会話していた

自分にもう少し勇気があったら……

 

……はぁ

思わずため息が出る

あっという間に週末になった

どうすれば“あの人”と付き合えるか?

 

(──思いきって告白する?)

でも断られたら……?

振られるのが怖くてできない

夕暮れ時に公園を歩いていると──

カァ

鳴き声をした方へ振り向く

カラス(白)

カァ

白いカラスがいた

カラス(白)

カー

何かを夢中でついばんでいる。こっちに気づいている様子はなかった

 

 

……羽根

周りに自分以外の人間はいない

白い羽根さえ手に入れば、“あの人”と──

やっと手に入れた

白いカラスはぐったりと横たわっている

カァ……、カァ……

強引にむしり取ったため出血していた

 

(案外簡単だったな……)

美しい純白の羽根

 

(これで幸せになれる)

そしたら“あの人”に──

白いカラスをそのまま放置し、その場から離れた

1週間後

ここ最近体調がすぐれなかった

 

……はぁ

けれど休むほどでもないし、“あの人”にも会いたかったからなんとか会社へ出勤した

ミカ

ミカ

おはよー

 

……おはよう

同僚のミカが挨拶してくる

ミカ

ん? なんか顔色悪くない?

じっと見つめてきた

 

……平気だよ

ミカ

ホントに?

視線をそらす

 

…………

ミカ

まぁいいけど

ミカ

無理はしないでね

 

……うん

あっという間に10分休憩になり伸びをする

 

…………

ミカ

昼休みまであともう少し

ミカ

がんばるぞ

“あの人”は上司と話し込んでいる

 

…………

ミカ

そんなに鞍野さんが気になる?

 

え、あの、その……

ミカ

仕事できてイケメンで、人気者だしね

二つ上の先輩、鞍野涼二(くらのりょうじ)──それが“あの人”の名前

ミカ

でも鞍野さんって、確か……

ミカ

ミカ

まぁそれよりもさ

急に話題を変える

ミカ

《白いカラス》の噂、知ってる?

 

……うん、知ってる

 

“《白いカラス》を見つけたら幸せになれる”

 

“羽根を手に入れるとさらに幸せになれるとか──”でしょ

ミカ

そうそれ♪

ミカはそういう噂が大好きだ

ミカ

実は《白いカラス》に絶対にやってはいけないことがあるって、知ってた?

 

……絶対にやってはいけないこと?

ミカ

それはね……

〜〜♪ 〜〜♪

ちょうど、電子チャイムが鳴った

ミカ

あ、残念

ミカ

またあとでね♪

ミカは自分のデスクへと戻る

 

…………

聞きそびれてしまった

気にはなったが仕方ない。今は目の前の仕事をこなそう

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