わたしの初恋は幼稚園生の時だった。 正直、あれは本当に恋だったのかすらわからない。
幼稚園生だった時の記憶はだいたい覚えている。 でも、初恋らしき相手とのことはあまりおぼえていない。
幼稚園を卒業してからは、全くその人の名前も顔も見ていない。
彩華
ななせおはよー!
菜々瀬
おはよ、あやか。もう入学してから1週間だね
彩華
そうだね。担任の先生はかわいくて、やさしいし、
同じクラスのたいがくんはかっこいいし、さいこうかなー!
同じクラスのたいがくんはかっこいいし、さいこうかなー!
わたしたちは小学1年生で、お互い小学校ではじめてできた親友だ。
菜々瀬
あやかはほんとにたいがくん好きだよね~
彩華
だってかっこいいじゃん!
菜々瀬
まあ、そうだけど。たいがくんモテモテだな~
彩華
告白とかしちゃう?
ふと廊下を見ると、 かっこいい男子2人が仲良さそうに話しながら歩いていた。
彩華
あ、たいがくんだっ!今日もかっこいい~!
菜々瀬
もう1人はだれ?あの人もかっこいいね!
彩華
どこかで見たことあるような…あっ!
菜々瀬
?
その人は、わたしがはじめて好きになった人、なぎだった。 いまはもう、すきじゃない。でも、あの笑った顔はおぼえていた。
彩華
なぎだよ
菜々瀬
え?なに?知り合いなの?
彩華
うん。わたしの初恋の人。いまはもうすきじゃない。
彩華
幼稚園生だったから、恋かどうかもわからない。
ほとんどおぼえてないし…
ほとんどおぼえてないし…
菜々瀬
なるほどね…
彩華
うん。
先生
おはようございます、みなさん。ホームルームを始めますよ!
なぎもたいがくんのように、よくモテた。 あのクシャっとした笑顔が魅力的だからだ。
ほとんどないなぎについての記憶の中で、一番おぼえているのは、 私にも向けてくれたあの笑顔。そして、他の女の子にも向けてたその笑顔。
ー放課後ー
菜々瀬
あやか、いっしょにかえろう!
彩華
うん!
とある女子
すきです。
虎
ありがとう。でもゴメン
たいがくんは、教室のすみで告白されていた。
とある女子
なんで?
虎
俺、女の子への好きとかわからなくて。
とある女子
そっかぁ…わかった。
涙目になりながらその女子は去っていった。
廊下にいたなぎは、たいがくんに話しかけた。
凪
たいが、お前マジでモテるな!
虎
そんなことねーし!そもそもお前が言うな!
凪
てかなんで断っちゃったんだよ?
虎
正直俺、女の子を友達としてしか見れないというか。
俺に恋する女子嫌いっていうか。
俺に恋する女子嫌いっていうか。
凪
なんだそれ。まあ、いいや。帰ろう。
虎
おう。
この会話を聞いて、私の恋はまた散った。







