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こさめ
人通りの少ないところで小さな声が響く
安定しない呼吸音
必死に走る足音
「逃げなきゃ」
本能がそう言っているから走る
こさめ
小さな呟きは
誰の耳にも届かずに空気に溶けていく
気がつけば人が多くなってきていた
すれ違う人は全員睨んでくる
それもそのはず
今どきボロボロの半袖を着て走っているのだから
こさめ
こさめ
呟いてみた
今度は誰かの耳に届いたはずなのに
「こさめ」という存在が空気に溶けていった
走り続けてたら雨は止んでいて
日は沈みそうだった
これだけ走っても
この街からは抜け出せなくて
こさめ
こさめ
彼処...つまりこさめが元々いた施設
ここから"家"に帰るにはバスで9〜10停くらい
こさめ
前を通った施設長は今でも元気そうだった
しばらく歩いて着いたのは
何処かも分からなかった
周りが真っ暗で
足下も分からなかった
こさめ
こさめ
気が付けば目を閉じていて
眠っていた
こさめ
こさめ
朝が来て
木漏れ日が差していた
こさめ
今日も
あの日の事を思い出す
こさめの人生が狂った日
こさめ
嫌な思い出が出来た日を
こさめ
最近はフラッシュバックがよくある
宛先もないまま
只歩く
見慣れた道だった
こさめ
何も考えないまま歩く
歩いたら花畑にいた
こさめ
このまま...
「こさめ」って人が...子供が..元から....
居なかったことにならないかな...
こさめ
もしも
もしもこの世界に"かみさま"が存在するならば
って何度思った事だろう
このまま消えれたらって
こさめ
こさめ
ドサッ
冬の花が辺り一面に咲いている中
寒さに凍えていた