こさめ
ッ...ッハ
人通りの少ないところで小さな声が響く
安定しない呼吸音
必死に走る足音
「逃げなきゃ」
本能がそう言っているから走る
こさめ
ッ...助けて...ッッ
小さな呟きは
誰の耳にも届かずに空気に溶けていく
気がつけば人が多くなってきていた
すれ違う人は全員睨んでくる
それもそのはず
今どきボロボロの半袖を着て走っているのだから
こさめ
ッ...
こさめ
助けて...ッ
呟いてみた
今度は誰かの耳に届いたはずなのに
「こさめ」という存在が空気に溶けていった
走り続けてたら雨は止んでいて
日は沈みそうだった
これだけ走っても
この街からは抜け出せなくて
こさめ
結局戻って来たじゃんッ...
こさめ
彼処に...
彼処...つまりこさめが元々いた施設
ここから"家"に帰るにはバスで9〜10停くらい
こさめ
ッ..ハァ...ハァ..
前を通った施設長は今でも元気そうだった
しばらく歩いて着いたのは
何処かも分からなかった
周りが真っ暗で
足下も分からなかった
こさめ
...ッ..
こさめ
...ね..む..ぃ.......
気が付けば目を閉じていて
眠っていた
こさめ
...スー...スー..
こさめ
ん"ッ...ぃたた..
朝が来て
木漏れ日が差していた
こさめ
...今日...も..
今日も
あの日の事を思い出す
こさめの人生が狂った日
こさめ
.......
嫌な思い出が出来た日を
こさめ
ッ...ハァッ
最近はフラッシュバックがよくある
宛先もないまま
只歩く
見慣れた道だった
こさめ
......
何も考えないまま歩く
歩いたら花畑にいた
こさめ
.....
このまま...
「こさめ」って人が...子供が..元から....
居なかったことにならないかな...
こさめ
もぅ...消え..たぃ....な
もしも
もしもこの世界に"かみさま"が存在するならば
って何度思った事だろう
このまま消えれたらって
こさめ
かみ..さま....に
こさめ
ぁって..みた....ぃなぁ..笑
ドサッ
冬の花が辺り一面に咲いている中
寒さに凍えていた






