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誰が最初に裏切ったのかなんて もう、どうでもよかった。
気が付けば何かを失っていた。
信じたもの、守ろうとしたもの、
差し出したもの_____
全てがあの夜に置き去りにされたままだ。
取り返せると思っていた。 どんなに深い傷でも、時間が癒してくれると。 ...でも、甘かった。
1度、心の奥まで踏み込んでしまえば もう引き返す道なんてどこにも残っていない。
「力」が欲しかった。 いや、正確にはどうしても守りたかっただけだ。
なのに、
...なのに、、
気づけば何もかもを壊していた。
仲間も、信頼も、自分でさえも_____
あの日、自分で切り捨てたものが、 今でも夜の底でじっとこちらを見ている気がする。
名もない後悔と、名を失った思い出が、 冷たい泥のように心に絡みつく。
けれど、
泣いたって戻らない。 叫んだって届かない。
『最善の一手』を選んだはずだった。
誰にも見えない場所で、誰にも気づかれぬように。 声一つ上げず、ただ手を伸ばしただけだった。
それがどれ程の重さだったかなんて、 ___その時は知らなかった。
夜は深く、静かでやけに耳が澄む。 遠くで誰かが笑っている気がして、
けれどそれは、 記憶の奥底に沈んだ誰かだったのかもしれない。
帰る場所も、名前も、 もう、とうに手の届かない所へ零れ落ちていた。