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鬼神丸

鬼神丸

ここは……

よぉ?

鬼神丸

君は……

鬼神丸

君は一体何を考えている?

鬼神丸

僕の目的である共存の道を阻むのか?

おいおい…困るなぁその言い方

鬼神丸

なに?

俺はお前を助けてやったんだ

鬼神丸

僕は助けを乞うてない

んなことぁ知ってる

だが、お前がくたばれば必然的に俺もくたばってしまう

だからお前の代わりに俺が出てきただけだ

鬼神丸

君がいなくても僕は善戦できた

嘘は良くないなぁ?

防戦一方だったくせに何をぬかす?

あの場面から逆転勝利なんて思っていたなら相当めでたい頭してるな

鬼神丸

くっ…!

まぁ、お前が弱いならそのままがいいがな

鬼神丸

なに?

その分俺が出てくる機会が増える

俺が現れる頻度が増えれば増えるほど

お前の意識は薄れていき、いずれ所有権は俺に渡って来る

それが嫌なら俺を超えるほどの”力”を欲することだな

鬼神丸

鬼神丸

それでも…

鬼神丸

それでも僕は力を欲することはしたくない

鬼神丸

力に飲まれたくはない

だが、世の中はそう上手くは行かない

今の戦闘でそれを学んだはずだ

そして感じたはずだ…力がある奴が好まれ世を生きてく術であると

鬼神丸

………

事実ミツルギは俺の力を見て歓喜していた

お前が出て戦っていたよりも、な

鬼神丸

僕は……

もっと言えば神無月とか言うやつから受け取ったあの刀

アイツは妖刀とも言われる品物なんだろ?

それをあそこまで扱えたのはどっちだ?

俺かお前のどっちだと言われたら軍杯が上がるのは俺の方だろう

鬼神丸

僕だってあの刀を使って炎の居合を見せた

鬼神丸

君が特別なわけじゃない…

だが、その力をお前はミツルギとの戦闘で見せることはあったのか?

一切なかったよなぁ?

なんならその力を使いあぐねていたはずだ

それに比べ俺は貴様のように炎を纏わせて刀を振ることは無かった

代わりに圧倒的に使いこなせていた

鬼神丸

………

求められるのは特別な力ではない

常に発揮される純然たる力なんだよ

俺とお前の違いはそこにある

理想を掲げて戦うお前と、常に現実を見て殺すことに躊躇のない俺

この少しの考え方の違いで戦闘力は大きく左右されている

お前の掲げる理想…共存の道を開拓するのに誰の血も流れないのか?

流さないと言い切るのなら別に止めはしない

だが、それを口にしたからには敵も味方も誰一人として殺すなよ?

鬼神丸

そ、それは……

言葉に詰まるってことは無理だと自覚がある証拠じゃねぇのか?

お前の掲げる理想は”理想”でしかない

誰も傷つかない道は最初から存在しない

お前が心掛けている”活人剣”という考え

爺さんが話した内容とお前が解釈したものとでは似ても似つかない

活人剣は人を殺さないという考えではない

必要に応じて人を斬らないといけないのだ

守る者のためにその剣を振るう

守るべき対象に危害を加えるものは生かさず殺すのだ

活人剣とはそういうことを言う

誰一人として殺さないことが活人剣ではなく、最低限の殺しはするが

それは何かを守るための行動ということだ

だからお前の掲げる活人剣は根本から違う

鬼神丸

………

誰かを斬ることを怖がるなら貴様に共存の道を志す権利はない

鬼神丸

僕は…

鬼神丸

僕は………

今の言葉を聞いてもなお己の理想を掲げて行きたいなら

俺にみせてみろその生き方を…

鬼神丸

鬼神丸

はっ!?

蓮爺

気が付いたか?

鬼神丸

こ、ここは……

蓮爺

暁の塔の一室だよ

蓮爺

神無月とワシがお主を運んでここまで来た

鬼神丸

そうですか……

鬼神丸

鬼神丸

それよりあの鬼は!?

蓮爺

彼ならもうこの付近にはいないだろう

蓮爺

近辺を防衛しているもの達から鬼が引いていくのが確認できたと報告があった

蓮爺

彼らのリーダーであるその鬼が撤退命令を出したのかもしれんな

鬼神丸

そうですか……

蓮爺

蓮爺

鬼神丸よ

鬼神丸

蓮爺

お主の目的は人と妖の共存よな?

鬼神丸

は、はい…

蓮爺

その共存の道を開拓する上で

蓮爺

お主は犠牲を出さないつもりか?

鬼神丸

………

蓮爺

全ての事象にリスクとリターンがある

蓮爺

必ずリスクが伴いそのリスクが降りかかることがある

蓮爺

それをお主は考えたことはあるか?

鬼神丸

それは……

蓮爺

今世界で行われているのは戦争だ

蓮爺

この瞬間でもどこかで争いは起き

蓮爺

人も妖も関係なく命を散らしている

蓮爺

争いをする以上誰も傷つかない道は最初から存在しないんじゃよ

鬼神丸

……

蓮爺

お主はそれを理解してるのか?

鬼神丸

………

鬼神丸

僕の掲げる目標は理想なんですかね…

蓮爺

不殺という考えを持ってるなら理想じゃ

蓮爺

誰も死ななくていい世界なんてものがあるなら

蓮爺

こんなチンケな争いはしてない

鬼神丸

そうですよね……

蓮爺

お主が目指す共存の道

蓮爺

それは両者が望むことではある

蓮爺

彼らにだって誇りがある

蓮爺

みな自分の守りたい何かのために戦っている

蓮爺

それは理解しておいてくれ

鬼神丸

はい…

蓮爺

その中でお主は共存の道を選び、さらに不殺というイバラの道を選択した

蓮爺

しかし現実はそうもいかない

蓮爺

ならば斬る対象を最小限に抑えるしかない

蓮爺

自分の意思を貫き通すために立ちはだかる敵は斬るしかない

蓮爺

お主の前に現れるということはその者にも成し遂げなければならないことがあるということ

蓮爺

互いの譲れないものを賭けて戦うのだ

蓮爺

それが戦争というものだ

鬼神丸

………

蓮爺

お主の振るうその力は虐殺のための力ではない

蓮爺

未来を切り開く力なのだ

鬼神丸

はい……

蓮爺

最初に問うたはずだ

蓮爺

覚悟はあるのか、と

鬼神丸

………

蓮爺

世界を敵に回すだけじゃない

蓮爺

そこに誰かを殺すことも含まれている

蓮爺

それを忘れられてはお主の夢は叶わないだろう

鬼神丸

はい………

蓮爺

再度問うぞ

蓮爺

お主……覚悟は出来たか?

鬼神丸

鬼神丸

出来ました…

鬼神丸

守りたいもののため

鬼神丸

変えたいもののため僕は戦います

鬼神丸

僕一人が汚れるだけで世界が変わるなら

鬼神丸

僕はもう迷いません

蓮爺

……よろしい

蓮爺

なら、まずはその傷を癒すところから始めようかのぉ

鬼神丸

はい

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