忙しなくすぎる日々を超え
ついに迎えた祭事当日
イルマ
ラン
既に外からは国民たちの喧騒が聞こえてくる
ラン
たったそれだけで、今日という日をどれだけ楽しみにしていたのかが身に染みてわかった
この先起こるであろうことは、予想できている
イルマ
イルマ
いるまが真っ直ぐにそう言う
ラン
私も静かに頷いた
時は早くも夕方に差し掛かる
城には多くの姫や従者、関係者が集まり
今から開かれるのはこの祭事で最も大きなイベントである
舞踏会だ
スチ
ラン
辺りを見渡すと、昨年よりも多く人がいる
きっと声をかけられる姫も多いことだろう
特にこさめとかは言わずもがな可愛いし、年齢的にもあるかもしれない
スチ
ラン
スチ
スチ
ラン
スチ
そう言われて自分の装いを再度見てみる
舞踏会だからそれはいつもより高価で美しいドレス
いつも結んでいる髪はゆるゆると巻いて下ろしてあり、桜の髪飾りが散りばめられている
桃色を基調としたメイクは印象をより華やかに見せた
ラン
スチ
そう、今年の装いは全てこういうのに詳しいいるまに仕立ててもらったからだ
昨年やその前よりも似合っていると、周りは言ってくれるけど
あまりにも綺麗な装飾だから、私自身が台無しにしていないか心配になる
ラン
せめてもと私は背筋を伸ばして、
明るいその会場へと足を踏み入れたのだった
黄 side
国王様や王妃様からの挨拶が終わり、本格的に舞踏会が始まった
私は会場にある一画
料理が並んでいる場所からそっと姫様と王子様たちが踊るのを見つめる
ミコト
それぞれが順に組になって踊るその姿は、いつ見ても美しかった
スチ
ミコト
スチ
じっと目の前を見つめていると、聞き慣れた声が隣に並ぶ
舞踏会の準備があったから、最近は従者同士で過ごすことも多くなった
私がお城に入った頃早くに挨拶したこともあって、すちくんには今回も頼ることが多かったのだ
スチ
ミコト
スチ
ミコト
スチ
いつものように少しだけ前を歩くすちくんはずっと大人っぽく感じる
今日は執事服ではないのもあって、より違う印象を持たせていた
ミコト
そこで、気づいてしまう
立場は従者であるというのに、彼は周りの姫様たちの視線も沢山集めていた
それはきっと、人気者な桜花妃様の従者であるからという理由だけではない
スチ
ミコト
歳も離れているというのに隣に並ぶと感じる安心感
ミコト
そして自分も従者という立場であるから、そんな彼の隣にいられているのだということも実感する
スチ
ミコト
スチ
ミコト
……聞き間違いだったかもだけど
お世辞でも、目の前にいるそんな人が以前私を可愛いと言ってくれたことを
どこか真剣な眼差しで言った独り言を
ミコト
ねぇ、すちくん
お返ししてもいいですか…?
そうやって微笑む姿は、優しさは、
ミコト
独り言のように、小さな声で呟く
スチ
その言葉は、届いていないようだったけどそれでいい
ミコト
ミコト
この安心するような、心が温かくなるような…懐かしいような
そんな、不思議な感覚
……今はまだ、私だけのもので
水 side
コサメ
たった1人、舞踏会会場から抜け出し
ベランダから見える、真夜中の空を見つめていた
最初は会場にいたけど、なんか…そんな気分になれなくて
夜風に当たりながら、色んなことを考えていたところだ
ナツ
コサメ
コサメ
ナツ
コサメ
気づいたら、背後になつくんがいた
コサメ
一応こさめは…年齢的にも将来の婚約者様というものを考えないといけないわけで
そんな大事な機会なのに自分から逃げる人なんて普通ならいるわけがない
ナツ
ナツ
コサメ
ナツ
コサメ
ありがたいことに、こさめに声をかけてくれる王子様は何人かいた
踊りの間優しくリードしてくれる方だっていた
けど、きっとそんな人たちも
こさめのことを知ったら、いつか…失望するだろうから
ナツ
コサメ
そんなことを考えて逃げてきてしまった
ナツ
ナツ
コサメ
ナツ
ナツ
コサメ
ナツ
そう言うと、なつくんはこさめの横にそっと並ぶ
コサメ
姫とその専属騎士だから
並んでいるのはいつも通りなはずなんだけど
コサメ
ナツ
コサメ
何故か…それが心地よくて、思わず呟いてしまった
コサメ
コサメ
コサメ
ナツ
コサメ
ナツ
コサメ
ほんの少しだけど、とそっと付け足して呟く
横を向いて顔を覗くと、なつくんもこちらを見据えていた
肯定も否定もしない瞳
コサメ
ナツ
なつくんはたまに自分と重なるときがあるから
みこちゃんにすら話していないことを、喋ってしまいそうになるときがある
コサメ
ナツ
コサメ
コサメ
ナツ
コサメ
ナツ
コサメ
ナツ
コサメ
ナツ
コサメ
真夜中のもと、2つになった影が
少しだけ遠くから聞こえる舞踏会の音楽に合わせて美しく揺れる
今夜は、長い夜になりそうだ
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