医者
じゃあ、麻酔を始めますね。
医者
ゆっくり、安心して眠ってください。
ひな
はい。
私の意識がゆっくりと薄れていく。
ひな
ゆ、うだい、、
ありがとう。
大好きだよ、、
ありがとう。
大好きだよ、、
私はもうろうとする意識のなかで、君の名前を呟いた ゆうだい、君との思い出は、全て素晴らしいものばかりだったね。 ありがとう。
あれは10ヶ月前の事
母
じゃ、じゃあ、ひなはもう助からないって言うんですか?
医者
その可能性は極めて高いかと。
医者
今回の手術はとても難しい手術です。
もし手術が成功したとしても、ひなさんの肝臓が正常に動かなければ、助かりません。
もし手術が成功したとしても、ひなさんの肝臓が正常に動かなければ、助かりません。
母
そんな、、、そんな。
母
先生!ひなを、ひなを助けてください!
医者
全力を尽くしますが、、必ず助かると、保証は出来ません。
奇跡を信じるしかないでしょう。
奇跡を信じるしかないでしょう。
母
そんなぁ、、
母が隣で泣きじゃくっているのを見てたら、ああ、もう、私は死ぬんだなって、助からないんだなって、じわじわと実感してきた。 2年前、私が肝臓のガンだと分かったときは、絶対に助かるって、信じてた。 でも今は、よくわからない感情が私のなかを渦巻いていた。 悲しいわけでも、辛いわけでも、怒っている訳でもなくて、ただずっと、ぼうぜんしている私がいた。 なぜだか、涙でさえも出なかった。






