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夏のおもひで

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夏のおもひで

1 - 夏のおもひで

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2019年09月01日

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光一

まずいな、完全に熱中症だ。

人生において、これ程死を意識したことはこれまでなかった。

ここは愛知県のとある山。辺りは草木が生い茂りとても絶景。しかし何より暑かった。

自然を舐めていたとしか言いようがない。気分転換にと思い、軽い気持ち、軽い準備で山にハイキングに来てしまっていた。

光一

……死。

意識が遠退く。

い、い!

光一

…、

幻聴…??いよいよ本当にやばい…。

おい、おい!!大丈夫か!?

光一

…暑さにやられたな。ほらこれを飲め!

男はいかにも古風の古ぼけた水筒を手渡してくれた。

光一

ありがたい…!

一気に水を飲み干す。

光一

生き返った、ありがとう!!

うむ。もう大丈夫みたいだな、良かった!

ところでお前こんなとこで何してんだ?ここは散歩に来るような所じゃねーだろ?
それにそんな…変な服装で!

光一

確かにそうだ。でも目の前のこの男も大分変な格好をしている。 なんというか、古ぼけた布を巻いてるような、そんな格好だ。

光一

…まあ、気分転換にですね。

気分転換ー?

光一

…はい。実は仕事上の悩みが色々とあって、

ふーん。どういう悩みだ?詳しく教えてみろよ!

光一

……。

光一

僕、仕事が全然できない男なんです。

ほー。

光一

僕ね、サンダルを作ってる会社の営業マンなんですよ。

サンダルー?

光一

はい、でも全然売れないんです。

光一

俺、頭もよくないし、あまり喋るの得意じゃないみたいで…。

光一

そんなこんなだから仕事を辞めようか悩んでるんです…。

成る程ね。

まあ向いてないことは、バサッと辞めてみるのも1つの手だな。

人生色々な道がある。人には向き不向きがある。

適材適所ってやつだな!

光一

…そうですね。

光一

でも、多分僕には向いてることなんて無いんです。

光一

僕これまでに三回転職してて、今の会社が四社目なんです。

光一

僕、この会社のサンダルが好きでずっと履いてるんです。だからこの会社入れた時は嬉しかったんです。

光一

でも、やっぱり駄目みたいで…。人生に疲れたところです。

……

まあ確かにお前は頭は良くないかもしれん。

さっきから何言ってるか分からん部分が多いしな。

光一

…そうですか?

だけどな、絶対人には良いところがあるもんだ。

その良さが、強みになるときが来るかもしれん。

思いもよらないことが、人生を変えることは良くある。

光一

……。

失敗続きと言ったが、お前は会社で誉められたかとはないのか?

光一

…昔、お客さん時とキャンプをしたことがあります。

光一

その時お客さん、間違えて靴を川に落としてしまい、靴がびしょびしょになりました。

光一

僕、ずっと予備のサンダルを持ってるのでそれを差し上げたら、凄く喜んでくれて…

光一

その会社は今も大事なお客さんになっています。

ほら、あるじゃないか?それがお前のいいところだ。

光一

……。

自分の商品を愛する気持ち。誠実な心。それも立派な才能だろ?

俺は、誠実な心なんて持ち合わせてないからな!!笑

光一

……ふふ。

まあ、人生なんてそんなもんさ。
正解なんてありゃしないし、絶対なんてありゃしない。

俺もな、実は戦闘能力がめっぽう弱い。

光一

…戦闘能力?

それに、うちは貧乏だ笑。教育レベルも低い。

光一

…。

それでも野望は低くないぞ!男に生まれたからには目指すは頂点!!

光一

頂点…。

どんなに頭が悪くても、どんなに身分が低くても、どんなに家が貧乏でも、

自分がさだめた最高のゴールにゃ大して影響はないのさ

バカにされてもいいじゃねーか。見せつけてやりゃーいいじゃねーか

出来ない落ちこぼれの意地ってやつをよ…!

光一

…そうですね!!

光一

なんか、元気でました!ありがとう!

おう!じゃそろそろ俺は行くわ!

光一

あ、これ!

?なんだこれ?

光一

サンダルです!涼しいですよ!是非貰ってください!

おお!ありがとうよ!

…涼しいのか?なんか暑くねーか?

光一

ああ、ずっと鞄のなかに入ってたから暑くなっちゃたんですね。

光一

ほら、こうやって鞄を抱き締めてたから笑

………。

成る程。抱き締めてたから温かくなる…か

ふん、いいこと聞いた!人助けはするもんだ笑

光一

え?

なんでもねー、こっちの話だ。じゃ、気をつけて帰れ!

光一

はい、本当にありがとう!

おう、じゃあな!!

光一

最後に名前聞かして下さい!

俺はとうきちろうってんだ!

光一

とうきちろう…。

その時だった、後ろから車のエンジン音が聞こえてきた。 振り返ると、泊まっていた宿屋のおかみさんだった。

光一

おかみさん!!

光一

とうきちろうさん、ありがとう!じゃ、また……

光一

……??

車に気をとられたのは一瞬の筈だった。しかし振り替えると、とうきちろうの姿はきれいさっぱり消えていた……。

光一

おかみさんありがとう!助かりました!

女将さん

心配しましたよ。午前中には帰ると行ったのにこんなに遅くなるから。迷ってるんじゃないかと思って。

光一

まさにです。汗

女将さん

ここは危ないんです。午後になると急に温度が上がるから!

光一

ええ、だから熱中症になりました。
とうきちろう さんっていう方に助けて頂かなかったらヤバかったです。

女将さん

とうきちろう?こりゃまた縁のある名前の方に助けられたんですね。

光一

え?

女将さん

知りませんか?ここはかの有名な信長の拠点の1つだった山なんです。

光一

信長?

女将さん

ええ。そして後の天下人、豊臣秀吉が良くこの山に遊びに来てたという噂もあるんですよ。

光一

…秀吉。

女将さん

そうです。そして秀吉が昔名乗っていた名が、藤吉郞(とうきちろう)というんですよ

光一

え!?

その言葉を聞いて、とうきちろうの言葉を思い出す。

目指すは、頂点……。

光一

まさか……!!

豊臣秀吉についてこんな逸話がある。

彼は信長の草履出し係だった。 そして、彼は冬の間、草履を懐に入れ温めていた。 信長はその秀吉の配慮に感銘を受けていたという。

それがきっかけで、信長の側近になったという逸話があったり無かったり…。

光一

……人生、何のきっかけで大きく変わるか分からない……。

夢?現実? タイムスリップ?幽霊?? 答えは分からない。 でも、

光一

……懐に持ってたサンダルは…今はない。

これが、僕の

不思議な不思議な

夏のおもひで

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