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紫 side
俺は、与えられたことがない
幼い時から…ずっと
……
意味わかんないって思った?
まぁ…あくまで自認の話だけど
与えられるって、何だろ
充分な生活ができること?
幸せだと思えること?
そうだとするなら、俺は沢山のものを貰えてたんだろうな
けど、いつも
今でも
喪失感は拭えなかった
イルマ
それも…たった1人
俺だけに向けられた、愛という不明瞭なものを
受け取ってみたいなんて
イルマ
我ながら我儘だ
物心がついたときには既に
シクスフォニアの街の孤児院にいて
俺の隣に、家族はいなかった
気づいたときからいないから…寂しいとか、そういう感情すら湧いたことはない
孤児院の先生は優しく
仲間はみんな良いやつで
特に衣食住には困らず、それなりに恵まれた生活をしてきたと思う
モブ
君は本当に優しい子だね
沢山、何かを人に与えられる人だね
イルマ
先生…所謂、孤児院のお母さん
いつも笑いながら俺にそう言ってくる先生がいた
どういうことだろう、と意味は掴めなかったけど
先生がそう言うのだから、俺は周りに何かを与えることができているのだろうと
紛れもなく、孤児院が居場所だったから
だから…信じようと思った
その言葉はお守りのように俺自身に残っている
ある程度の年齢になって
自分だけで生活できるようになってから、孤児院を出た
最初は軽い気持ちから…
懲りもせずあの言葉を信じ続けて
誰かに何かを与えようと
きっと俺の生涯の使命はそれなのだと、人助けを始めた
モブ
イルマ
小さな何でも屋を営んで、はじめは小さな願いを叶えることから始めた
物探し、買い出し、仕事の手伝い
けど…いつしか少しだけ有名になった俺には
大きな依頼も届くようになってきた
イルマ
モブ
イルマ
剣を握るようになったのは、その頃からだった
誘拐された娘を助け出して欲しい
そんな依頼がきっかけ
依頼をこなしてからいつしか…人を手に掛ける、なんて機会もできてしまった
勿論、対象は犯罪者…悪い奴らだけだが
身体能力が昔から高かった俺は、剣の扱いにはすぐに慣れて
マフィアとか裏舞台の奴らがやりそうな、そんなこともするようになってしまったから
イルマ
強くそう感じたある日から、姿を隠して
国の管理下からも外れた特殊な人種として、何でも屋を続けることになった
イルマ
ナツ
ナツ
イルマ
途中から、倒れていたなつを拾って
それからは…2人で
桃 side
イルマ
ラン
イルマ
ラン
ラン
沢山の人に、与えてきた
誰かに幸せを与えていた
ただ1つ…先生からの言葉だけを信じて
ラン
ラン
イルマ
ラン
ラン
イルマ
ラン
ラン
ラン
ラン
イルマ
ラン
ラン
この命の最後まで
いるまを好きでいると誓う
だから、
ラン
ラン
ラン
檸檬色の瞳が、優しく細められる
私より一回り大きい手が頭に乗せられると
いるまは…嬉しそうに笑った
イルマ
ラン
イルマ
イルマ
イルマ
ラン
私たちは、指切りを交わした
やっと通じ合った想いは…限られた時間の中で
少しずつ…幸せへと向かっていく
お互いが何よりも大切だと、
そう感じながら
2つの影は重なっていた
寿命が近づく奏桜は、綺麗に…その花を揺らしたのだった