目覚めると診療所のベットの上に居たイザヤ。
近くでは霽月と緑髪の少年がパイプ椅子に座っていた。
イザヤ
……ん?

霽月
あ、起きた。

霽月
イザヤ、起きたよ。

???
……分かった。薬を調合したから飲ませておいてくれないかな?

霽月
了解。

霽月
イザヤ、これ。薬。

イザヤ
あ、あぁ。どうもな……。

イザヤ
……どうしてリアムがここに居るんだ?

リアム
なんで僕がここに居るのか、か……。

リアム
イザヤさん、もう忘れたの?

イザヤ
……? 何の事だ?

リアム
前に作り方を教えてくれた薬。
それが出来たから持ってきたんだけど。

イザヤ
あぁ……そうだったな。すまない。
先客が居て、少しトラブルがあってな……。

リアム
その先客、冬凪研究所のゲントウでしょ?
そこの霽月さんについさっきあったことを教えてもらったから知ってるよ。

霽月
体調は大丈夫そう?

霽月
あたしが資料室から食堂に戻ってきた時には既に倒れてたんだけど……記憶ある?

イザヤ
倒れる前の記憶が、ぼんやりとな……。

霽月
そう。

リアム
僕は姉さんに頼まれてた事があるからもう行くけど、イザヤさんも無理はしないでね?

リアム
この前だって疲労で倒れたって聞いたよ。
今回はそれとは違うだろうけど。

リアム
……それじゃあ。

リアム
あ、食べ物はお粥なら作っておいたよ。
霽月さんが料理が出来ないって言うから。

とだけ言い残すと、リアムは病室の扉の向こう側に消えた。
イザヤ
……資料は持っていかれたか。

霽月
ほとんどあんたが差し出したようなもんだからね。あたしは資料室まで案内しただけ。

イザヤ
それもそうだな。
……まぁいいか。

霽月
あ、それと……

イザヤ
何だ……?

スイ
イザヤさん、大丈夫ですか!?

マドカ
足が早い先輩も素敵です♡
でも待ってくださ〜い!

イザヤ
スイとマドカ……?

スイ
私達が帰った後にゲントウがここに来たと聞いて……!

スイ
イザヤさんが倒れたとも聞いたので心配でお見舞いに来たんです。

霽月
スイとマドカにイザヤが倒れたって連絡しておいた。

霽月
あたしが。

マドカ
どうして倒れたんですか?
ゲントウは何を?

イザヤ
あぁ、それについてなんだが……

イザヤはスイとマドカに先程のことを話した。
話し終わった頃には、スイが苦虫を噛み潰したかの様な顔をしていた。
スイ
……。

霽月
スイが険しい顔してる。

スイ
資料は諦めるんですか?

イザヤ
あぁ。元はあいつらの物だったんだ。
返せと言われても何も言えない。

マドカ
にしても不思議ですね……。

マドカ
あの男は他人に干渉出来るということでしょうか?

霽月
……確かに。

霽月
イザヤ、それについてはどうなの?

イザヤ
あの男だけでなく、研究所自体も謎が多い。

イザヤ
俺はあいつが人間じゃないと言われても納得できるな。

スイ
それはどうしてですか?

イザヤ
今思い返すと、俺が研究所に預けられた時からずっとあいつの容姿が変わっていないんだ。

イザヤ
それも全くだ。身長が伸びていなければ髪型も変わっていない。

霽月
うわ……。

マドカ
ゲントウは人間ではない、ということですね?

イザヤ
あぁ。おそらくな。

霽月
まぁ、あんな常軌を逸してるような奴なら人間じゃなくても納得出来るね。

マドカ
で、結局ゲントウの謎の力の正体は何なんですか?

マドカ
人ならざる者特有の力とか?

イザヤ
その可能性もあるが……

イザヤ
研究所での実験の一環で俺の体に何か埋め込まれた可能性もある。

スイ
何か……チップとかですかね?

イザヤ
そうかもしれないな。

霽月
ふーん。

霽月
これからどうする?
研究所に殴り込みにでも行く?

イザヤ
蛮族か???

霽月
冗談だよ。でも結局どうするの?

スイ
やはり、研究所についての情報収集ですかね。

スイ
ゲントウが診療所に来たのは今回が初めてですか?

イザヤ
そうだな。
なぜ今のタイミングで来たのか……。

マドカ
それじゃあ、あたしと先輩は襲撃に気を付けながら情報収集をします。

霽月
……なんかデジャヴ。

スイ
イザヤさんが倒れる前にも似たような話しましたね。

イザヤ
それじゃあそういうことでよろしく頼むぞ。

霽月
勿論。

スイ
頑張ります。

マドカ
先輩と一緒なら何でもします!
