テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
902
ぴよたろう
377
開いたエレベーターの扉の向こう、誰もいない静かな会社のロビー。 手首を掴む勇斗の大きな手は、まだ微かに震えていた。 真っ直ぐに俺を射抜くその瞳は、まるで捨てられた大型犬のように不安げで、だけど必死に俺の答えを待っている。
佐野勇斗
もう一度、絞り出すようにそう聞いた勇斗の胸元に、俺は片手を置いたままだった。 スーツ越しに伝わるドクドクという速い鼓動が、俺の体温まで引き上げていく。 俺は、繋がれたままの手首を少しだけひねり、今度は俺の方から勇斗の大きな手のひらをギュッと握り返した。
佐野勇斗
勇斗が驚いたように目を見開く。
吉田仁人
佐野勇斗
急にしゅんとする勇斗を見ていたら、なんだか愛おしさが限界を迎えて、俺の口元からフッと笑みがこぼれてしまった。 俺は、ずっと泳がせていた視線を、今度は真っ直ぐに勇斗の目へと合わせる。
吉田仁人
佐野勇斗
吉田仁人
勇斗の口癖をわざと真似して言うと、俺の耳は自分でわかるくらい熱くなっていった。 照れ隠しで口調が強くなってしまうのは、俺の悪い癖だ。
吉田仁人
そこまで一気に言うと、俺は恥ずかしさのあまり勇斗の胸元に頭を押し付けるようにして顔を隠した。
吉田仁人
コメント
2件

ギュン!!💕
うわ、良かった……! 勇斗の震える手と速い鼓動がそのまま伝わってくるような描写で、こっちまでドキドキしました。仁人が「俺も同じ」って握り返すところ、そして「お前だけじゃないから」って言い直す照れ隠しの口調、すごくリアルで愛おしい。二人の距離が一気に縮まった感じがして、読んでて温かい気持ちになりました。続きがすごく気になります!