君になりたくて

ー文化祭 2日目ー

光は追ってくるクラスメイトから逃げていた。

光は人混みを避けながら、廊下の角を曲がった。

その時、グイッと腕を引っ張られる。

腕が引っ張られたまま、光は準備室に連れていかれた。

バタンッ…と扉が閉められる。

陽真は光から手を離した。

すると陽真はじーっと光の顔を見つめた。

光はガチッと真っ赤になって固まってしまう。

2人は出店している教室から出た。

陽真は脱出ゲームについて子供のように楽しく語っていた。

光はその横顔をじーっと見つめる。

陽真はかぁ…と顔を赤くさせた。

その顔に光はキュン、とさせる。

その時、2年2組の前で立っていた修也が手を振って声をかけた。

2人は修也の方へ歩み寄る。

すると修也はにやっと口角をあげた。

2年2組の教室を見ると、「占いの館」と大きく書いてあった。

光と陽真は紙に必要事項に記入し、それを占い師に提出した。

占い師は分厚い本をペラペラとめくりながら、口を開ける。

ドキッ……

その時、「お時間でーす」という声が聞こえた。

2人は教室から出た。

陽真はニコッと笑った。

ドキッ…

陽真は口を開けて笑い、光の頭を優しく撫でた。

光の顔はかぁっと赤くなる。

本気にしちゃった

……ほんと、1人だけ振り回されてバカみたい

光が止まるのを見て、陽真も歩みを止めた。

多分、

私はキャプテンが好き

キャプテンは天然なのか、どこか抜けている

そして私を「女の子」として扱ってくれる

それらがわざとなのかもわからない

今は自分の気持ちを伝えたい

いや、止まらない

陽真は光の言葉に被せるように

言葉を放った。

ズドン、と重い物が光の頭上に落ちた気がした。

そして光はクルッと向きを変え、歩き出していった。

陽真は光の背中を黙って見つめていた。

ツーと汗が陽真の頬を伝っていた。