お母さん
ずっと隣の家空き地だったじゃん
捺葵
…。
お母さん
でもやっと住人が決まったらしいわ
捺葵
そうなんだ。
お母さん
聞いた話によると捺葵のひとつ上の男の子がいるらしいわ
捺葵
…。
私は立ち上がった。 玄関ドアを開けると夏の生暖かい 空気が襲った。
お母さん
何?どこ行くの?
靴がなかなか履けない。
捺葵
捺葵
学校。
お母さん
今日日曜日よ?
捺葵
そうだね。
捺葵はそう言って家を出た
捺葵
たまには
捺葵
違う道から
捺葵
学校行きたい。
なぜだか分からないけど 外を出たくなった。 海が煌めいている。 海に呼ばれているような 気がした。
捺葵
綺麗。
靴を脱いで
海の中に
飛び込んでいく。
砂浜にクラゲが打ち上げられていた。
捺葵
なんでクラゲ?
こんなに近くに
クラゲは居ないはずだ。
捺葵
ありえない。
捺葵
もしかしたら夢かも。
捺葵は
手を叩いた。
捺葵
普通は頬叩くかな
それでも頬についた
夏の風を
払いたくなかった。
灯羽
変なの
灯羽
クラゲこんな所にいるの。
捺葵
気づいたら知らない人が声をかけてきた。
灯羽
俺、灯羽
捺葵
私、捺葵
灯羽
最近引っ越してきたんだ
捺葵
へえ。
捺葵
どこから?
灯羽
東京
捺葵
…ここ田舎すぎて
捺葵
つまらないでしょ
灯羽
いや。
灯羽
海とか神社とか
灯羽
すごく綺麗だし気に入った
捺葵
そんな事思う人いるんだ
灯羽
世界にはそういう人もいるよ。
灯羽
やべ。もう行かないと
灯羽
クラゲなんでこんな所にいるんだろうね?
捺葵
うん。
灯羽
じゃあまた
捺葵
うん。
捺葵はその頃。
学校へ行こうとしていた事を
もうすっかりと忘れていた。
捺葵
久しぶりに遊んで
捺葵
疲れた。
捺葵
バスに乗って帰ろう。
バス停から空をみた。
捺葵
あと、何年ここで遊べるんだろう。
捺葵
大人になったら空を見ることさえ
捺葵
出来なくなるのかな。
捺葵
ただいま。
お母さん
遅かったね
捺葵
そうだね。
お母さん
早く手洗って
お母さん
ご飯食べるよ。
捺葵
今日のご飯何?
お母さん
唐揚げ
捺葵
捺葵
美味しい
お母さん
良かった
お母さん
そうだ
お母さん
お隣さん星野さんっていいんだけどね。
お母さん
星野さんと話したの。
捺葵
どうだった?
お母さん
すごく気さくで話しやすかったわ。
お母さん
星野さんの息子灯羽君って言うんだって
お母さん
受験生で転校するなんて大変ね。
捺葵
捺葵
灯羽?
次回に続きます。 良かったら💗ください。







