テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
#大衆食堂
#コメディー
#すれ違い
#追放
あたし、和彦さんにときめいているんだけど……セクシームードにはなれないお話だったな、今日のはまるで単なる会合
それでも、和彦の未来にわずかながらでも灯りを灯せてあげられたような気がして、やはり優華は喜んでいる。
ただ気がかりが1つ。そう、それは耕太の彼女である麻衣子ちゃんのこと。 彼女がキャバクラでさえ働くことを嫌がっていた耕太だ。もっとハードなお店に変わったなんて……。
仲間のことを放っておけない性分の優華。しかし和彦はああ言っていた。
今は耕太君のこと、見守るしか出来ないかな……。お節介なんかせずに
そして優華は思った。
人の恋路よりもまずは自分だわ!
和彦は自分のことを『綺麗』『可愛い』『座敷童』と言ってくれた。でも……『好き』とは聴かない。
友達感覚なのかなあ……
優華は和彦ともっと親密な仲になりたい。
優華
幸せな悩みだね~。恋をしている、それだけで充分素敵じゃないか! 優華。
***
――――翌日。
駅前のいつもの場所に和彦の姿がない。
社長と話したのね、きっと。それか、社長が聞き入れずとも和彦さんはスカウトをしない気ね
好きな人に朝の挨拶が出来なくなった淋しさがちょっぴり。
――――今日も『大衆食堂時家』は始まるぞ。
優華
ママさん
大将
優華がエプロンを取りに行こうとすると、お手洗いから耕太が出て来た。
優華
耕太
あれ? 元気がないな。もしかして彼女がハードなナイトワークに変わったことが耕太君の知るところとなり、揉めてる?!
『耕太君』と呼び止めたくなった。のどまで名前が出掛かった。でも優華は押し留めた、和彦の言葉を思い出して。
そうよ。決めつけてあれこれ先回りして心配しちゃいけないわ。見守ろう、この大事な弟分を
隆
いつも明るい隆がやって来た。
隆
ママさん
耕太
大将
耕太
優華は気が気じゃない。でも、自分が声を掛けたところでどうなろう。万が一、耕太が麻衣子ちゃんの仕事のことで悩んでいるとしても、それは二人のことであって優華はなにも口出し出来ない。 それでもなんだか落ち込んで見える耕太の表情を見ていると胸が痛む。
優華はせめてもと、耕太の仕事のフォローに徹底的に回る。
お客の殺到するピーク時が過ぎた13時半ごろ、ホール係の男二人がなにやら立ち話をしている。
テーブルを拭きつつ、耕太と隆の会話に耳をそばだてる優華。
隆
耕太
やっぱり麻衣子ちゃんのことだ
優華は一度店先に出て深呼吸をした。ただそうしたかったから。
丁度和彦がやって来た。
優華
微笑む優華。
和彦
優華
和彦
大将
和彦
ママさん
和彦
お客は丁度引けたところだった。店内のお客は和彦のみ。
耕太
皆驚き、一斉に耕太を見た。
言葉を投げつけられた和彦は、真面目な顔のまま黙っている。
ママさん
耕太
大将は厨房の隅の丸椅子に座りタバコをふかしている。
優華
和彦
耕太
優華は我慢ならなくなって来た。
優華
和彦
耕太
隆にもたれ掛かり泣き出す耕太。
隆
そう言いながら子どもあやすように背中をさすってやっている。
大将
男性客がスポーツ新聞を見ながらしかめっ面をしてに店に入って来た。
優華はサッと、和彦とそのお客のテーブルへお冷とおしぼりを持って行った。
優華は涙ぐんでいる。耕太が辛いだろうと思うとやり切れない。それと、懸命に新しい道を模索している和彦にショックな言葉が浴びせられ傷ついている。大好きな和彦に。
他のお客がいるので、耕太の話は宙ぶらりんなまま時家は回転して行った。
和彦は店の混乱を避けるためだろう、いつもより早くに食事を済ませ店を出て行った。
出て行く刹那、耕太に向かい
和彦
と頭を下げた。
大将もママも黙っていた。
耕太は、他のお客の手前だろう、言葉を噛み殺した。
――――昼チームの上がりの時刻が来た。
タイムカードを押し外へ出た耕太に話しかける優華。
優華
耕太
優華
そこまで優華が言うと、振り切るように耕太は言った。
耕太
耕太は自転車に乗り行ってしまった。
――――帰宅し、たまらず優華は和彦に電話を掛けた。
優華
和彦
優華
和彦
優華
和彦
やだ! 和彦さんに逢えなくなるなんて
優華
和彦
優華
優華はべそをかいている。
和彦
優華
和彦
優華
和彦
優華
優華のほっぺの涙の粒がもう渇いた。
和彦
優華
和彦
優華は嬉しくてたまらない。顔も身体も、全身火照っている。
優華
和彦
優華
くいしんぼうの本性が全開になる優華。
優華
和彦
優華
優華の頬が夢色に染まっている。今の優華の表情をもしも和彦が見ていたらイチコロだったに違いない。
和彦
優華
――――和彦との電話を切った後、優華のワンルームはお花畑と化した!
夢見心地……