雪(みだいふく)
雪(みだいふく)
雪(みだいふく)
目の前には衰弱しきった少年が居た
向かう先がないであろう少年は、恐らく違う誰かの血であろう血をつけて
とても穢れていた
そっち系の仕事でお金でも稼いでいたのだろうか
だとしても今は何故か衰弱しきっていて
左右への行き来で、まるで酔った状態の人間の乱歩のようだ
とりあえず俺は話しかけることにした
ロボロ
ロボロ
それだけ聞くと、こっちを睨んできて
少年
とだけ言って、また少しずつ歩き出す
ロボロ
ロボロ
ロボロ
そう問うと、また強く睨みつけてきて
少年
とだけ叫び返してくる
でもその目には、微かな涙がうかがえた
ギュッと、俺は少年を抱いてあげた
少年
そんな声も無視して、少年に抱きつく
そして、少年に
ロボロ
ロボロ
ロボロ
と言った
あまりにも、似ているのだ
少し前の自分と、似すぎているのだ
少年
こんな所まで、少年は本当に俺そっくりだった
だから、なんて言われたいのかだって、俺にはわかる
ロボロ
少年
急な俺の言葉に困惑する少年
でも、そんなのお構いなしに俺は言葉を続ける
ロボロ
少年
少年の目に涙が溜まっていく
でもまだ、一言続ける
ロボロ
ロボロ
ロボロ
と、そこまで言うと
少年
と、少年が尋ねて来た
ロボロ
そう返した瞬間
少年の目から沢山の雫が零れ落ちて来た
そして、暫くして落ち着いたころ、少年はぽつぽつと話し始めた
少年
ゾム
と、少年が話した内容をまとめると
少年、、ゾムは一家の中で、出来損ないと呼ばれていて
とうとうある日、家出をしたらしい
そこからは自分の得意な戦闘で、殺し屋をしていたらしい
そして今日も、人を殺して逃げて来たらしい
そこからは、俺の家に向かっていった
ロボロ
ロボロ
普通なら罰せられること、だから足跡が消えてくれるのはありがたい
にしても物凄く寒い
そのせいでのどが乾燥して声を発すとのどが痛くなる
ロボロ
ゾム
そうお互いに呟いた時、遠くから狐がコンコンと鳴く声が聞こえた
まるで俺ら(悪者)を探しているかのようだった
声にびっくりしたのもあり、咄嗟に近くの茂みに身を潜める
ロボロ
ゾム
肌に触れ、凍てつく雪の中
確かな熱を帯びた
それはゾムの熱じゃなくて、違う誰かの熱だった
荒く呼吸をして
まるで、のどが焼けるかのように痛くなるほど
荒っぽい声で叫んで
燃えているかのように瞳の赤い二人が
ゾムを制してしまう前に
その禊の火の様な目で、ゾムを綺麗にして
ゾムと言う存在を壊す前に
逃げ出そうとする
でも取り押さえられて、首にナイフを押し付けられる
こうなってしまう運命の縁の垣根を越えて
もっとゾムを知りたい
そして支えたい
そんなことも言えないまま、いつの間にか降っていた雪から
雨になっていた
俺達が出会った思い出が消えるようで、天気が変わってしまうのが嫌だった
そして、もうすぐ夜が明けるという少し前
赤目の男たちが「もしお前が何かしたらこいつが死ぬぞ?ええんか?」
そう言ったことで、ゾムは抵抗もしなくなって
赤目の男たちに連れられて、早々とこの場を立ち去ってしまった
さっきまでもずっと、ずっと泣いていたというのに
また涙が零れ落ちる
ゾムは去り際
ゾム
と、それだけ言って行ってしまったのだ
そんなこと言ってほしくなかった、もう会えないみたいだから
でも、きっともう会えない
だからこそ、置いて行かないでほしかった
帰って、、こられないから、、、!
きっと、ずっと、このまま
またいつか、夢の中で会えたとしても
きっとゾムのいる場所まで手が届くことはない
俺は此処で
目から流れる雫で袖を濡らしながら、ゾムが帰って来る事を夢見るだけ
そんな事を考えながらふと外を見る
ロボロ
あの時捕まったのはこの国の軍の人間だった
名前はトントンとグルッペン
あの後、事情を聞かれて話したところ、釈放された
それどころか、軍で面倒を見てくれるらしい
道なんて覚えている訳ないからあの場所にはもう行けないけど
そんな事を考えながらふと外を見る
ゾム
驚くほど、きれいな空だった
この明るくて、綺麗な朝ぼらけ
これを
ゾム
ロボロ
見ているだろうか
雪(みだいふく)
雪(みだいふく)
雪(みだいふく)
雪(みだいふく)
雪(みだいふく)
雪(みだいふく)
コメント
2件
見たいです!はちゃめちゃ見たいです!(語彙力捨ててきました)