桃赤
一途なだけ
''ストーカーリクエスト''
朝の駅のホーム
着崩した制服と
耳に空いたピアス。
桃
電車の音を横目で聞きながら
盛大に出た欠伸を
思いっきり噛み殺す
さっきから欠伸ばかりしているせいで
少し涙目に視界がぼやけた。
駅のホームには
学生らしき姿はもう見えない
そりゃそうだ
俺の学校ではもう1時間目が始まる時間
見てわかる通り
彼はれっきとした不良である
無断欠席、遅刻は当たり前
面白くないと思った授業はサボる
しかし顔はイケメンでモテるのだが
女子曰く
素行さえ悪くなければ....
''ちょっと残念イケメン''
だそうだ。
制服のポケットに入れていた
AirPodsを耳に突っ込み
ランダムに曲を流しながら
また欠伸をひとつ。
昨日新作のゲームを夜通しやっていたら
このザマだ。
するとポケットに入っていた
スマホが震えた。
''きょーもまた遅刻?''
送られてきたメッセージは
友達の青からで
俺は''うっせ''だけ返すと
電車に乗り込んだ。
だから知らなかったんだ
あんな可愛い子が
毎朝電車に乗っているなんて。
そんなある日の朝
無駄に目覚めがよく
二度寝する気にもなれず
普通の学生いわく
通常通りの時間に
電車に乗った。
やはりこの時間は混んでいて
早く来るんじゃなかったと
舌打ちしそうになったその時。
俺の向かいに
天使が座ったのだ
零れ落ちそうなほど
綺麗な大きな目と
通った鼻筋にほのかにピンクな唇
サラサラの赤い髪
華奢な体には
大きめのセーターで
鞄を膝に置く手は萌え袖
まるでお人形さんのようだった
ドクドクと脈打つ心臓を抑えて
目の前の彼をぼーっと見つめてしまう
その子はテストでも近いのだろうか
英単語の本を開いていたが
眠くなってきたのか
大きな目がとろんとしてきて
うつらうつらし始める
だがハッと我に返り
目をゴシゴシ擦った
可愛い....可愛すぎる
頭の中でそんな事を連呼していると
その子は俺の降りる1つ手前で
単語帳を慌ててしまい降りていった
....確かあの子の制服は
俺の高校の近くのやつだったはず。
ニヤける顔を抑えながら
どうやってあの子に近づこうか
そればかり考えるようになった。
それから俺は
あの子を見るために
アラームを3重、4重にもかけて
重い体を無理やり起こし
彼と同じ時間の電車に乗るようになった
そもそも夜更かしをしなくなったし
体調は万全なので結果オーライだ
先生も青も
俺が最近遅刻を全くしなくなったことに
随分驚いていた
いつも俺の真正面に座るあの子は
今日は文庫本サイズの本を
片手に読んでいる
その本が面白いのだろうか
時折ニコニコしたり
驚いた顔になったり
....ほんとに可愛すぎる
ガン見したいところだが
あまり見ても不審がられるだろうし
スマホを片手に彼の様子をチラチラ見ていた
幸せな時間はあっという間で
その子はいつも通りの駅で
席を立ち上がった....と思ったら
無意識にガン見していた俺と
バチッと目が合ってしまった
突然の事に驚き
とりあえず笑顔を作ろうとしたが
慌ててその子は俺から目を逸らし
足早に降りていった
.......
ちょっとだけ....悲しくなったのは
気の所為ということにする
いつかまたもう一度目を合わせて
彼と話せる日が来るのだろうか....
桃
いつものように
青と昼休みを過ごしていた俺は
思わず呟いた
青
青は呆れたように
バナナを剥いているが
そんなの気にしない
青
桃
青
''桃くんっていうんだね! かっこいい!''
1人でにやにや妄想して悶える
一目惚れなんて
漫画やアニメの世界だけだと思っていたのに
まさか自分が経験するなんて
夢にも思ってなかった
そんなある日の事
いつも通り俺の前に座る
彼を見て
思い切って話しかけてみる事にした
ただ見ているだけじゃ何も変わらない
青にもムカついたし
桃
話しかけようと真正面ではなく
彼の横に座ろうと立ち上がると
彼は鞄を握りしめて
プルプル震え始めた
そしてぎゅっと目をつぶり
拒否するような反応をする
え....
もしかして怖がられてる??
マジマジと自分の不良みたいな格好を見て
そりゃそうだと納得してしまった
仕方なくまた立ち上がり
彼の少し離れた席に座ると
その子は安心したのか
ほっと、握りしめていた鞄を膝に置いた
あまりのショックに
俺はその日学校をサボった
待って....w もっとドロドロ系にしようとおもったんです.... 書いてて無理だと思って諦めましたw 続きます?
コメント
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時差コメ失礼します めちゃくちゃ好きです…可愛すぎました😭
遅れましたが、めちゃくちゃ好きでした() 続きみたいですっ!!()
好きすぎます😍💞💕 良ければ、続きお願いします🙏🙏