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耀聖(ようせい)
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𝒩𝑜𝒶 𑁍𓏸𓈒
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設楽理沙
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コメント
1件
うわ、春くんのあの“もかは郁也を頼りにしてるんだね”……嫉妬ってやつだこれ(笑) やっぱり医学部受験でピリピリしてるのかな、でも普段優しい春が急に棘のある言い方すると、こっちまでドキッとする。 あと、もかちゃんが夜中まで“おっさん育成ゲーム”にハマってるの可愛すぎるんだけど、洗濯洗剤で皿洗うのは笑ったw 次どうなるんだろう、“やきもち”ってタイトル通り、ちゃんと拗れるフラグかな? 続き楽しみにしてます🌙🤍
春に想いを告げてから、ちょうどひと月が過ぎた11月。
そろそろ、本格的に寒くなる季節が近づいてきた。
夕食後、食器を洗おうと水道水の蛇口を捻る。
冷たい水の温度が肌に刺して痛い。
スポンジを手に取って洗剤をつけた時、ダイニングテーブルの席でスマホを眺めていた郁兄が、眉間に皺を寄せながら私の元に近寄ってきた。
郁也
郁也
もか
手元に視線を落として固まった私を見て、郁兄はスマホをポケットに仕舞った。
郁也
郁也
郁也
もか
郁也
もか
もか
言い訳しながら慌ててスポンジを見る。
確かに異常な粘り気と、強い洗浄力で水垢が溶け始めていた。
郁也
郁也
郁兄の小言に凹みながら皿をすすぎ直す。
確かに、このところの私は睡眠不足気味だ。
就職活動の多忙で……と言いたいが、実のところ違う。隙間時間で遊んでいたアプリのゲームに沼ってしまったのだ。
推しキャラの限定イベントで夜更かしし続けた結果がこれだ。
もか
もか
郁也
郁也
もか
キッチンに向き直って洗い直しを始める。
ため息を吐きつつスポンジを握り直した時、もう一人の気配が後ろから近付いてくるのが分かった。
春樹
もか
もか
春樹
泡だらけのプレートを春に渡すと、慣れた手つきですすいでくれる。
こうして2人で家事をするのも、当たり前の我が家。
自立の前提として『炊事・掃除・洗濯・買い出し』は等分で割るのが桐谷家の掟。
とはいえ、最近の私は家事の手際が悪くなっていて申し訳ない。
それもこれも、毎日夜中の3時頃まで、おっさんを育てるアプリのゲームに勤しんでいたのが悪いんだ。
今も、ちょっと眠いし。
もか
禿げたらゲームオーバーになるという、謎の育成ゲームだ。
おっさんの命(毛根)は今、私の手に託されている。
春は今、受験生シーズン真っ只中。
家でも学校でも、ずっと机に向かって勉学に励んでいる。
国立大の医学部となれば、生半可な学習量では合格だって難しい。
学力テストが終わっても、「解放感が全然ない」なんてボヤきながら、受験対策用のプリントや参考書と毎日睨めっこしてる。
でも春は、うちの高校でもトップクラスの成績優秀者だ。
先生方にも期待されてるし、模試判定もA判定だった。
気さえ抜かなければ、大丈夫じゃないかな?
もか
ちなみに担任教師に、「私が医大に合格する可能性はありますか」って訊いてみたら、途端に先生の空気が氷点下に変わった。
「お前はまず六の段を言える様になれ。話はそれからだ」
とも言われた。
失礼すぎない? 六の段くらい言えるし。
ちなみに就活組の私ですが、実は、既に地元の会社から内定を貰っている。
今は社会人に向けた準備や、必要な資格の勉強に取り組んでいる最中だ。
パソコンの基本操作とか、WordやExcelの基礎を学んだり、あとは自動車教習所にも通い始めた。
来年の3月までに、普通自動車の免許を取得できたらいいんだけど。
地元のコンビニでバイトもしながら、家を出る日の為に貯蓄も始めた。
これも郁兄の助言を借りながらやっていること。
……18歳以降の自立を条件に育てられてきた私達。
その日が刻一刻と近づいている。
春樹
食器を洗い終えて、最後のコップをすすいでいた時。春がぽつりと切り出した。
春樹
春樹
もか
春樹
もか
もか
桐谷家のご両親は、3年ほど前から海外に長期滞在中。
仕事柄、会える日が限られている。
今年はみんなでお正月を過ごせたらいいな、なんて期待していただけに残念。
でも仕事なら仕方ない。
春樹
春樹
もか
春樹
もか
胸がドキリと跳ねた。
"――俺達のこと"
つまり、私達の交際の話。
本当は、医学部試験の合格発表後に伝えたかったけれど、3月にご両親が帰ってこられない可能性が高いから――という理由だ。
もか
春樹
春樹
春樹
もか
不安な気持ちを押し殺して頷く。
春のご両親に認めてもらえるかどうか。交際を始めるなら、避けては通れない壁。
私達はまだ、正式に交際はしていない。
けれど、両想いなのがわかった今は、毎日が楽しくて仕方ない。
学校で会う度に胸が躍るし、家で一緒に過ごす時間も心が満たされる。
家族として当たり前だった日常が、恋人未満の関係に変わっただけで、こんなにも輝いて見えるなんて思わなかった。
もか
ふと、あることが気になった。 郁兄のこと。
もか
春樹
もか
一応、私達の保護者的な立ち位置にいる郁兄。
弟と従妹が付き合うなんて話、頭ごなしに反対しそうなイメージはない。
でも郁兄は、誰よりも公平で厳しい人。
私達の選択が正しいかどうか、第三者目線で意見を貰った方がいいんじゃないか、って。
春樹
もか
春樹
不意に放たれた言葉に、私は首を傾げた。
なんだろう。いつもの春の話し方とはちょっと違う。
どこか嫌味っぽい……棘があるように聞こえたのは気のせい?
もか
春樹
もか
春樹
春樹
もか
春樹
もか
春はそう言って、話題を打ち切るように視線を逸らした。
なんだか釈然としないまま、私は春の背中を見送ったけれど。
もか
もか
去り際、困ったような笑顔を浮かべていた春の姿が脳裏によぎる。
胸の奥に、小さな棘が刺さったような感覚だけが残った。