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テラーノベルの小説コンテスト 第3回テノコン 2024年7月1日〜9月30日まで

ノルン

ウルターニャさん…私…私……

魔王

ハイハイ分かった分かった…

ノルン

あの剣はこの闘技場のある場所に封印されてたものなんです…

ノルン

ここに連れ去られた時に逃げようと思い

ノルン

闘技場内を走り回ってて……

ノルン

それで偶然見つけたのがあの剣なんです…

ノルン

でもあれが…

ノルン

あれが魔剣だなんて私思わなくて……

魔王

そんな過ぎたことはもういいだろ?

魔王

私としては今こうして”本当”のノルンが帰ってきてくれた

魔王

それだけで私は嬉しいからな

ノルン

ウルターニャさん…

魔王

まぁこうして感傷に浸るのはここらで辞めないとな

ノルン

え?

魔王

お前がその魔剣に体を奪われてた時その魔剣からあること言われててな

ノルン

何を言われたんですか?

魔王

お前との試合は時間稼ぎだってこと

ノルン

それって?

魔王

そのまんまの意味だと思うよ?

魔王

そろそろ黒幕がやってくる頃だろうし

ノルン

黒幕…

ノルン

まさか!

魔王

そのまさかってね

ナルク

クックック……

ナルク

思っていたより早かったですねこの試合

魔王

よぉ…

魔王

私の大事な仲間を道具として扱ってくれたみたいだな?

ナルク

何を言ってるのでしょうか?

魔王

おいおい笑わせんなよ

魔王

魔剣が盗まれてたの知っててノルン泳がしてたくせにな

ナルク

さぁ?なんのことでしょうね

魔王

で?このあとはどうするつもりだ?

魔王

お前の右腕は今こうして失われてるんだぞ?

ナルク

ふっふっふ……

ナルク

何を勘違いしてるのでしょうか?

魔王

なに?

ナルク

魔剣シグマから聞いてないのですか?

ナルク

あくまでその女は時間稼ぎと…

ナルク

その女を使い時間を稼ぎその間に私はある魔導書を手に入れていたのですよ

ナルク

この闘技場が作られてからずっと封印されていたある魔導書がね

魔王

それが手に入ったところでなんだと言うのだ?

ナルク

簡単なことですよ

ナルク

その魔導書を使えば私は絶対的な力を得られる

ナルク

その代償として私は自我を失いますけど

ナルク

そんなものは大した問題ではありません

魔王

いまいちお前の目的が見えないな

ナルク

死にゆく者に教える必要は無いですが

ナルク

まぁ簡単に話してあげましょう

ナルク

私の目的はこの世界の崩壊です

ナルク

人間も魔物もみなこの世界から消し去ろうという私の計画です

魔王

それであんたが1から自分の理想の世界を創り上げると?

ナルク

いえいえ…そんな在り来りな考えは無いです

ナルク

ただこの世界を壊したいそれだけですよ

ナルク

人間と魔物が争いを続けることになんの意味があるのでしょうか?

ナルク

それぞれの種族がこの世界の上に立ちたいのでしょうか?

ナルク

だとすれば心底くだらない問題です

ナルク

人間と魔物が手を取り合うなんて理想郷を唱える人もいるのでしょうが…

ナルク

そんなもの反吐が出ますね

ナルク

知性ある生き物同士手を取り合うことは絶対出来ないのですよ

ナルク

何故なら彼らには欲がある

ナルク

手を取り合うなんて言っていてもそのうちまた争いが生まれる

ナルク

世界から戦争が無くならないのはその尽きることない欲望なんですよ

ナルク

富 権力 名声 これらに果たして価値はあるのでしょうか?

ナルク

まぁあるという人もいるでしょうけど

ナルク

私からすればそんなものはゴミと同じです

ナルク

そのゴミが欲しいが為に世は争いを続ける

ナルク

そのゴミを欲する者たちは各種族の有権者達だけだ

ナルク

そんなもののために権力を持たざる者は彼らの思想を現実のものとするため使われる

ナルク

どうです?大変汚いと思いませんか?

魔王

…………

ナルク

ほら?考えてみてください

ナルク

貴女も利用されてるひとりなんですよ?

ナルク

勇者の子供と言うだけで強制的に魔王退治を命じられて

ナルク

でもそれって君たち人間の有権者達が世界を牛耳ることをしたいが為のものだと思わないか?

ナルク

それをして君は何を得ることが出来る?

ナルク

名声か?富か?権力か?

ナルク

だがそれらは全ては得られないだろう

ナルク

魔王を倒したという事実は残る

ナルク

それは世界を救ったものとして人間達から崇められるだろう

ナルク

つまりは名声が手に入る事となる

ナルク

しかし他二つは得られないだろう

ナルク

さらに言えば時が経てばその出来事も改変されていき君の頑張りは無と帰す事になる

ナルク

そう考えた時君に残されたものは罪なき魔物を殺めたという罪悪感と背徳感

ナルク

そして自分は利用されたと気づき湧き上がる憎悪なんかだろう

ナルク

………

ナルク

これは私の世界に対する復讐なのだ…

ナルク

魔物と人間の間に生まれたのがこの私だ

ナルク

私という存在は中立の立場に常に立っていた

ナルク

どちらの血も引いてるからね…

ナルク

私はその中立の立場にいたが片方につかないといけなくなった

ナルク

だがそれでも私は自分の立場を考えどちらにもつかなかった

ナルク

もちろん両親達も私を庇ったくれた…

ナルク

しかしそれが悪手だった…

ナルク

私を庇った2人はそれぞれの種族の有権者達によって殺された

ナルク

そして邪魔するものがいなくなりその2つの種族は私を取り合う事を始めたのだ

ナルク

それに私は嫌気がさしてこの闘技場まで逃げた

ナルク

そこにいる者は皆何らかの事情があり

ナルク

必ず何者かに対する憎悪で満ちていた

ナルク

私もそこで自分の両親を2つの種族に殺されたという事思い出す

ナルク

そしてそれを思い出した私は行き場のない怒りと各種族に対する憎悪が膨らんだ

ナルク

それからだ…

ナルク

私がこの世界を壊したいと思うようになったのは

魔王

………

魔王

世界を壊す理由はそれか?

ナルク

あぁそれだけだ…

ナルク

だがそれで十分だ

ナルク

親を殺されたその辛さがお前らには分からないだろう

ナルク

私という存在がいたから2人は死んでしまったのだ

ナルク

ならば私も死んでしまえばいい

ナルク

だが、そんな簡単に私は死なない

ナルク

この腐れ切った世界に多大なる傷をつけて私は死んでやる

魔王

憎しみによる破壊行動は虚しいだけだ

ナルク

綺麗事で私の怒りを静められるとでも?

魔王

変に同情する方が良かったかな?

ナルク

そんなものは望んでない

魔王

まぁ…お前の言ってることは正直正しいと私も思う

魔王

人間と魔物の価値観の違いだけでなく

魔王

有権者達による世界支配もおかしい

魔王

だが、だからと言って全てを壊すのは私は違うと思う

ナルク

なんだと?

魔王

当時のお前の願いはなんだったのだ?

ナルク

そんなもの教える必要は無い

魔王

家族との幸せな時間だろ?

ナルク

……

魔王

さっきの話を聞いたところ両親が亡くなったことがきっかけでこの計画を立ててるはずだ

魔王

お前の家系は人間と魔物のふたつの種族が暮らしていた

魔王

だがそれ故に生まれ落ちたお前を狙い親が殺された

魔王

この出来事があったから魔物と人間が手を取り合うなんてものを嫌うのだろう?

ナルク

何が言いたい?

魔王

うーん…上手く言葉に出来ないが

魔王

私は魔物と人間が手を取り合うそんな世界を目指している

魔王

それらは不可能に近いかもしれない

魔王

それをするには私が人間の1番上に立って管理しなければならない

魔王

それがどんなに難しいことだろうと私は諦めはしない

魔王

そしてお前の願いである家族との幸せな時間

魔王

今この世界でもそれを望むものは少なからず1人はいるはずだ

魔王

それすらもお前は壊そうとしている

魔王

まだ世界を破壊するには早いのではないか

魔王

もう少しでいいから待ってみようという考えは無いのか?

ナルク

………

ナルク

残念ながらそれは出来ない

ナルク

もう私は決めたのだ

ナルク

説得は諦めてもらう

魔王

はぁ…悲しいものだなこの世界は

ナルク

あぁ悲しいな…

ナルク

お前のような考えの持ち主が私のすぐ側にいたのなら私の考えも変わっただろうに…

魔王

確かにこんな世界は私も嫌いだ…

魔王

この出来事がもう二度と起きないように今ここでお前を倒し世界を変えてやる

ナルク

私も同じく今ここでお前を倒し知性ある生き物……ゴミをこの世界から消し飛ばしてくれる!

明かされたナルクの過去…

ナルクの世界粛清の理由を知って尚…いや知ったからこそ

ウルターニャは負ける訳にはいかない

蒼月照らすその地の元で世界をかけた試合が始まろうとしている…

お気の毒ですが魔王は勇者になりました

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