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赤side
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マップ通りに進んで ゆっくりと部屋に入り、 ドアの鍵を閉めると、 そのままフラフラと、 吸い込まれるように ベッドに倒れ込む。
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枕に顔を埋めて、 目を瞑ると浮かぶ 死に際のないくんの姿。 痛みに歪んだ顔、 ありえない方向に 何度も折られた脚、 千切られ散乱した腕
それにまた、 涙が零れる。
それから、知らぬ間に 散ってしまったまろのこと。
俺は暫く、泣き続けた。
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少し落ち着いたので、 部屋を探索して みることにした。
ゆっくりと立ち上がり、 まずは目の前にある 服が入っているであろう クローゼットの取っ手に 手を伸ばす。
キィィィッ
少し錆びているのか、 動きが悪い。
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そう、そのクローゼットの 中にあったのは
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全て、本当にりうらが 持っている服だった。
恐怖を覚え、腰が抜ける。
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ゆっくりと、震える手を 伸ばし、ないくんやまろ、 そしてアニキやほとけっち、 初兎ちゃんが誕生日に くれたアクセサリーや 服を掴む。
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鮮明に蘇る、幸せだった いれいすが"6人だった" 頃の思い出。 思い出したくなんてない。 もう、忘れたかった。 でも、どうしても、 『これは、悪い夢 なんじゃないか』と 希望を抱いてしまう。
それは、メンバーの 死を目の当たりに しても尚、変わらなくて。
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分かってるよ、そんなこと。 ないくんは、本当に 優しいんだもん。 そもそも、ないくんが 死んだのだって、 りうらを庇ったからだし。
天井を見上げて そう呟いたのもきっと、 ないくんの優しさに 甘えようとしていたから。 『りうらは悪くないよ。』 って、『大丈夫だよ』 って、ただそう 言って欲しかった。
りうらのことを大好きで いてくれるないくん。 リーダーとして、誰よりも 頑張るないくん。 歌も企画も仕事も、全部 本気で挑んでいるないくん。 弱音なんて吐かずに、 ただ前を見続けるないくん。 メンバーの誰かが アンチに苦しんでいたら 寄り添って、自分の ことのように傷ついて、 怒って、最後には 『絶対見返してやろう』 って微笑むないくん。 りうらたちが、いれいすで いられるのは、ないくん いてくれるから。
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俺はそう言って、何度も 元気と勇気をくれた彼と 同じようにニカッと、 涙でぐしょぐしょに なった顔で微笑んだ。
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ずっと想っていたのに。 結局一度も伝えられなかった。
ないくんの、りうらに 対する『好き』と、りうらが ないくんに抱いた『好き』は きっと別物だって分かってた。
だから、怖かった
大好きな彼に、 否定されるのが。
嫌われるくらいなら、 今のままで良いと思った。
優しい彼のことだから、 きっと否定はしないと 思うけれど。
正直になれない自分が、 冷たくしてしまう自分が、 大嫌いだった。
君と過ごした時間が、 君とたわいもない話を した時間が、君の ことを想う時間が、 とても幸せでした。
せめて、言わせて欲しい。 答えなんて求めないから。
嫌われたって、 罵られたって良いから。
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(回想)
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白side
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焦点の定まらない目で、 ベッドに仰向けで寝転がり、 天井をぼーっと見つめながら 誰にともなくそう呟く。
おかしくなってしまったのか、 泣きたいのに涙が出ず、 出るのは乾いた笑いだけ。
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薄情かもしれないが、 メンバーが死んだことよりも、 大好きな相方に 裏切られたことの ショックの方が強かった。
信じてたのに。 一瞬見えたいむくんは、 まるで他の誰かのようだった。 天真爛漫で明るい、 いつものいむくんは そこにはいなかった。
僕が見たのは、全身に 返り血を浴びて、 僕のことを、獲物を狙う 獣のような目で見下ろす 殺気を纏ったいむくんだった。
その後、悲しそうな顔で 微笑んで『ごめんね、 初兎ちゃん。』と 言って、いむくんは 血塗れのナイフを取り出した。
一瞬、本気で死を覚悟した。 『あぁ、もうダメなんや。』 『よりによっていむくんに 殺されるとはなぁ…』 と思い、目を閉じた。
だけど、いむくんが 震える手で僕に向けた ナイフは、いむくんの 手を離れ、畳の上に落ちた。 驚いて目を開くと
『あぁ、やっぱり僕には できないや…相棒を 殺すなんて。』そう言って 涙を流し、悲しそうに笑った。
そしていむくんは、 僕の前から立ち去った。
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立ち去る直前、僕に背を 向けて、『初兎ちゃん、 僕、いふくんのこと、 殺しちゃった……ッ』 と、掠れた声で、確かに そう言った。
彼にも、罪悪感は あるようだった。
それに僕は、殺されなかった。
だけど、僕は いむくんが怖くなった。
いむくんにも事情が あるとは思うけれど、 その言動でいむくんが 内通者であることは、 もうほぼ確定した。
だが、"本当の彼"が 望んだことなのかは 分からない。
もし本当に自ら志願した とするのならば、僕の ことも躊躇なく刺したはず。
『殺しちゃった』なんて 言わないはず。
あの、獣のような 目の彼は、本当に 彼なのだろうか。
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僕はそう小さく呟いて、 無理矢理口角を上げて ゆっくりと笑った。
今回はここまで。
次回 第8話 『悪夢』
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今日か明日に次話 あげる可能性もある。