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おと
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あとがき
スマートフォンがまだなかった時代
今では「ガラケー」と呼ばれる
画面と文字盤がセパレートしている 端末を
中高生はこぞって使っていた
スマートフォンで使えるような SNSもなければ
豊富なアプリもない
写真を撮ったりメールでのやりとりをすることはできたが
今とは「ケータイ」を取り巻く状況が 全く違っていた
今の若者がソーシャルメディア主体で盛り上がるように
当時のティーンエイジャーはメールでのテクストのやり取りに昂じていた
そのシステムを逆手に取った悪戯は いつの時代も流行するものだ
2000年代後半
ほとんどの高校生はケータイを持っていた
そしてとある都市伝説が
彼らの間に蔓延った
通称「チェーンメール」
「不幸の手紙」のメール版だ
「これを回さなければ死ぬ」という脅し文句が書かれているメールが
それを恐れて あるいは遊び半分で回され
全国の学校中に広まった
教育委員会は直ちに 注意喚起を行い
当時高校生だった私にも 「保護者へのお知らせ」として
「絶対に回さないでください」という内容の
プリントが配布された
当時、悪意旺盛だった私は それを題材として
2週間ほどでひとつの小説を書き上げた
これが本作の前身となる 「chainLetter チェインレター」である
高校の文芸部の 文化祭で配布する冊子にこれを寄稿したが
当時の部員たちは全員掲載に猛反対だった
「部誌に載せるには長すぎる」
「内容が不謹慎でグロテスク」
「誰がこんなものを書いたのか」
ところがこれが当時の校長先生の耳に入ったらしく
先生は直々に私に話しかけてくれた
「この不条理は 今回の部誌に載せる価値のあるものだ」
その一言で文化祭で冊子が配布され
「チェインレター」は 読者を混乱と恐怖の坩堝に叩き込んだ
さらに小説投稿サイトにも改稿したバージョンを掲載し 多くの反響をいただいた
今ではすっかり状況は変わってしまったが
この時代だからこそ もう一度あの恐怖を取り戻したい
そういう思いが強くあり
この度再び「チェインレター」を王政復古させることにした
最初に発表されてから
実に18年の歳月が流れたが
今でも私の書いた小説の中で
異彩を放つ一作であると自負している
「チェインレター」時代から 「チェインレター・リローデッド」に至るまで
この小説に携わってくださったすべての方に感謝を捧げる
とりわけ当時の文芸部の参与の先生、校長先生 部員の皆さん
ケータイ小説投稿サイトにて レビューで激励してくださった方々には
一方ならぬお力添えをいただいた
ここに改めて謝意を表します
物書きとして至らぬ部分が多く 例えていうなら「骨粗鬆症」のような私ではありますが
本作を足がかりに
まだまだ書きたいものがたくさんあります
ぜひまたお付き合いください
そして本作を「あとがき」から読んでおられる方
絶対にラストから読まないでくださいね
2026年9月
山根利広
コメント
3件
あとがき、読ませてもらいました。18年前の高校時代の話からこの作品が生まれたんですね。「これを回さなければ死ぬ」というチェーンメールが実際に学校で流行っていた時代、その空気感が伝わってきます。校長先生が「この不条理は載せる価値がある」と背中を押したエピソード、ぐっときました。そして最後の「ラストから読まないでくださいね」、ちゃんと守って最初から読みます!