ガチャンッ…
2人は近くのロッカーに 身を潜めた。
猫船
結衣
ゆっくり静かに
お願いします。
猫船
ギィィッ…
猫船
ロッカーの外から 何かを引きずる音が聞こえた。
猫船
結衣
結衣は音に気をつけながら ロッカーを少し開ける。
2人は隙間から 外の様子を覗くのだった。
第31話
『内通者』
カタカタッ…
ロッカーの隙間から 人の後ろ姿が見えた。
男性は警察の格好をしており、 パソコンを操作しているようだ。
結衣
一人ですね。
結衣が相手に 聞こえないよう小声で言った。
結衣
他メンバーが捜査の
はずですが…
結衣
情報を見に来たかと、
猫船
結衣
こちらとしては
好都合でしたね。
結衣
漏らされては
困りますので、
結衣
捕まえましょうか。
猫船
ガチャンッ!!
結衣が勢いよく飛び出し、 男性の後ろから瞬時に喉元へ ナイフを突き立てる。
猫船
猫船
ナイフ持ってたんだ…)
結衣
結衣
分かりますよね?
結衣
しない方が
身のためですよ。
猫船
男性の様子がおかしい。
この状況にも関わらず、 男性から反応がない。
声を発することも 身体を動かすことも無かった。
結衣
不審に思った結衣は ナイフを首元に 突き立てながら男性の顔を覗いた。
すると、彼女の顔は 驚きの表情になる。
結衣
猫船
猫船も男性の前に 移動し顔を見た。
猫船
結衣
なさそうですね。
男性の目は閉じており、 意識がない。
さらに、 頭を怪我しているようで 顔の左半分は血が流れている。
猫船
結衣
まだ時間が
経っていないと
思います。
結衣
怪我が頭ですので
早めに治療が必要ですね。
結衣は手袋をつけて ハンカチを取り出し怪我の部分を 止血し始めた。
猫船
普通に動いて
ましたよね?
結衣
猫船
入ってきて
動かしてた?
結衣
結衣
ありませんでしたので、
猫船
結衣
結衣
キープしてる
んでしょうか?
猫船
猫船
意識ないなら
倒れるよね?)
猫船
猫船
なんだろう??)
男性の後頭部から 細い糸が伸びている。
猫船
気づかなかったけど、)
猫船
来た穴の出入口に
続いてる。)
猫船
この糸から
魔力を感じる。)
猫船
これ…
シュッ!
猫船
目を逸らした瞬間、 男性の頭から何かが 飛んできた!
猫船
猫船は間一髪で 左に避けて回避する。
結衣
猫船
それは、 先端が細く鋭い針。
糸に繋がって 生き物ようにくねくねと 動いている。
猫船
猫船は腰あたりにある 武器の柄を持つ。
シュッ!!
直後、針は猫船に 再び襲いかかる!
ブンッ!
カンッ!!
結衣が投擲したナイフが 針に当たり、 猫船への標準をずれる。
ブンッ!!
ズバッ!!
その隙に、猫船は針に繋がった 糸を双剣の片方で断ち切った。
カランッ!
針は床に落ちたが、糸は 吸い寄せられるように 穴の出入口へと消えていった。
結衣
猫船
結衣
猫船
頭に刺さってたんだと
思います。
猫船
結衣
結衣
この針を刺し
操っていた…と、
猫船
この人が
犯人じゃなくて、
真犯人は…
結衣
結衣
見つかった時の罪を
なすりつける身代わり
でしょう。
猫船
結衣
大丈夫です。
結衣
猫船
猫船
結衣
医療室に運びましょう。
猫船
猫船
追跡するんだろう?)
結衣
闇桜さんの様子は?
猫船
猫船
いるんだった。)
猫船
猫船
猫船
闇桜~~!)
猫船
聞こえない。)
猫船
猫船
声かけてくれるよね…)
猫船
真っ黒テレビ画面を見ながら、 男性は独り言をつぶやく。
そして、男性の手には 先端のちぎれた糸が 吸い込まれていく。
刺して操ろうとしたのに、)
避けられるとは
思わなかった。)
白樹の秘書が
捜査してるとはな。)
只者ではないな。)
既に見た。)
俺を捕えるなんて
出来ない。)
何人もいるからな。)
記憶はないし、)
絶対にない。)
もう使えないから
別の方法を考えないとな。)
より厳しくなるし、)
ないわよ。
チャリリリッ!!
男性の身体が 黒い何かに巻き付かれて 拘束される。
闇桜
今日で全て
終わりだからね。
闇桜
先端の針を脳に刺し、
刺激を送ることで
操ってたのかしら?
闇桜
機密情報を入手して
たなんて、
闇桜
ところだったわ。
闇桜
闇桜
辿っただけ、
闇桜
黙って出てき
ちゃったけどね。)
闇桜
何かおかしいかしら?
まだ早いぞ。
チャリンッ…
闇桜
男性を拘束していたはずの 鎖が地面に落ちる。
闇桜
出来る。
もので縛るのは
不可能だ。
闇桜
犯人が俺だって
知ってるのはお前だけ、
始末すれば
問題ない!
ポワッ
シュッ!!
黒い魔法陣から 複数の糸が闇桜に向かって放たれる!
闇桜は軽やかに避けてた。
闇桜
捕まえられないか。)
闇桜
別に大した驚きでは
ないわね。)
闇桜
いいのだから…)
絶対逃がさない。
言えないまま
殺してやる。