風の隙間に＿風穴を開けた

四

「糸」

ｷﾞｷﾞｨ

またいる。

“逃げて”

そう言われてしまった。

鬼殺隊は鬼を狩る者、

人間に必要以上に危害を加えることは ご法度なのだ。

もう柱には連絡が云っているだろう。

この人も糸で繋がれているのが見える。

”それ“を私は淡々と切る

隊員さんは驚いたのか、疲れたのか

腰を抜かして、座り込んだ。

そう伝えると、

御礼を言われた。

そんな筋合いはない。

だから無視する。

ｷﾞｷﾞ…ｷﾞｷﾞｨ

鬼の血が近くなったのだろう。

＿＿＿

何か落ちて来た。

後ろに下がる。

「別に邪魔しているつもりはないのだけれど、」

と、心底思う。

好きで来ているわけじゃないから。

よく声が出るなと、少し感心する。

この鬼は“頸”がない。

急所がないのならば、

八つ切にしてみる。

そんなことを考えながら、構える。

此方に向かって来ているようだ。

でも、「関係ない」。

呼吸を使うまでもなく、

ただ、刀を上下に動かすだけの 簡単な仕事だ。

呆気なく終わる。

ほんの少しだけ、

鬼の気配が濃くなった。

興奮しているのだろうか。

何方にせよ、急いだ方がいいのは 確かだ。

大正コソコソ噂話

仭惺梼は基本的に呼吸を使わずに、鬼を倒せる。 利き手は左利きなんだとか。

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