TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで

――小学生が、大好きだ。

 あどけない笑顔。

 生意気そうな目。

 純粋な心。

 未発達な体。

 瑞々しい太股。

 ――小学生が、大好きだ

木崎姫歌(きさき ひめうた)

 ……。

 いや、すまない。誤解を招く言い方をしてしまった。

 これでは春先に現れるデンジャラス生命体だ。

 わたしは違う。わたしに犯罪的要素は、一つもない

 「小学生」というと、最近は妙な邪推をする輩が増えて困っているが、何て事はない。

 わたしにとって彼らはアイドルのようなものなのだ。

 「嵐」と聞けば何であれときめく、そこらへんの女子達と大差ない。

 中年のおっさんが「女子高生」と聞いてときめくのとは、訳が違うのだ。

 ――ということで、

 学校を出て十分後。わたしは小学生をストーキングしている。

 いやいやいや、違うよ? 前言撤回とかしないよ?

 だってこれは犯罪ではないから。

 ストーカーというのは性的嫌がらせであることから犯罪なのであって、未だストーキングを発見されていないわたしの存在は、性的嫌がらせになっていない。

 つまり、わたしは犯罪者ではないのだ!

そんなわけあるか!

 と天から声が降ってきた気がしたが、わたしは気にせずストーキングを続行した。

 ストーキングの対象は小学五年生男子、相羽尊(あいばたかし)君。

 去年引っ越してきた、近隣に住む運動神経抜群の活発な少年だ。

 成績は中の上。

 整った鼻梁にツンツンした黒髪が特徴的。

 その将来イケメンになる確率一〇〇%のご尊顔により、近所の奥様方からの人気も高い。

 同年代に至っては言うまでもなく、異性からの人気は爆発的。同性からは嫉妬と羨望の眼差しを一身に受けている。

 しかしそんな彼だが、放課後は異性と遊ぶ時間も同性と遊ぶ時間もない。

 何故なら、彼は地元の少年ソフトボールチームでエースを張り、チームを全国大会に導くため日夜野球道(ソフト道?)を邁進しているからだ。

 時間的に見て、今はその練習に向かうところであろう。

 ふふ、いい……!

 あの幼い顔が汗を流しながら、練習の苦痛に耐える様、実にいい!

 わたしははあはあと肩を上下させながら、尊君の背をうっとりと眺めていた。

 後ろから強烈な視線を投げかけるストーカーに気付かない鈍感なところも、非常にポイントが高い。

 などと彼について言及している内に、いつの間にかグラウンドに辿り着いていた。

 そう、彼が所属する少年ソフトボールクラブが練習に使っているグラウンドだ。

 尊君はグラウンドに入るなり、練習の準備を始めた。

 それを認めてわたしは、呟くように言った。いつものように、決め台詞を。

さあ、苦痛に歪む顔を、わたしに見せてみろ

 わたしは興奮していた。非常に興奮していた。

 これから尊君が練習を始め、そのハードさに顔が歪む瞬間を思い描いて。

 だからだろう、背後の気配に気付かなかったのは。

 気配は、わたしの肩をつついた。

天樹奈琴(あまぎ なこと)

何してんの、ヒメちゃん?

ファウル・ファイブ

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

1

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚