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陽子

(あー…仕事疲れた)

陽子

ただいま〜

ガチャッ

陽子

(…って、寝てるか)

誰もいない薄暗い玄関を見て 陽子は溜息をつく。

腕時計を見ると、 時刻は既に23時半を過ぎていた。

陽子

寝る頃には日付超えるなぁ

陽子

夕飯軽く食べたら食器洗って
あと洗濯機回して…

陽子

それからお風呂も……
シャワーでいっか

ギィィ…

部屋のドアが、軋みながら開いた。

ゆか

おかえり…

陽子

起こしちゃった?

眠そうに目を擦りながら 部屋に入ってくる娘に声をかける。

ゆか

ううん、喉乾いちゃって

陽子

お茶飲んだらすぐに寝なさいね

陽子

朝起きれなくなっちゃうから

ゆか

うん

ゆか

陽子

どうかした?

陽子

お茶なら冷蔵庫のドアポケットに…

ゆか

もしもの話だよ

陽子

ゆか

もし、猫になれるとしたら

ゆか

お母さんはどうしたい?

陽子

どうしたの、急に…

ゆか

何となく聞いただけ

ゆか

学校で友達とそういう話
したから…

ゆか

ゆか

おやすみなさい

早口でそう告げて、 ゆかは廊下へ出て行った。

陽子

(そういえば最近忙しくて
学校の話とか聞いてあげて
なかったっけ…)

陽子

寂しかったのかな

ー陽子の寝室ー

陽子

もし猫になったら…かぁ

陽子

何するかなぁ…

陽子

一瞬、脳裏を過ぎったのは 10年前の記憶のままの母親だった。

それを振り払うように首を振る。

陽子

…ゴロゴロ寝たりするのかな

陽子

せっかく猫になるんだし、ね

翌日?

陽子

(……あれ?)

陽子

(ここ…どこ?)

寝室で寝ていたはずなのに 目の前には外の景色が広がっている。

懐かしい景色だった。

陽子

にゃー

懐かしいと口にするはずが 間の抜けた猫の鳴き声が口から出る。

陽子

!?

陽子

(どういうこと?)

慌てて周りを見て気づく。

座っているにしても低すぎる視線。 見下ろすと足元にあるモフモフの脚。

陽子

(猫に……なっている…)

非現実的だった。

でも実際、猫になっているのだ。

美智子

あら、猫

聞き覚えのある声が降ってくる。

陽子

に゛ゃっ

体が簡単に持ち上げられた。

陽子

(お、お母さん…!)

陽子

(何でここに?)

よく考えたら当たり前だ。 ここは陽子の実家のすぐ側だった。

美智子

可愛い子だね
名前はなんて言うの?

陽子

……

美智子

言葉は通じないわよねぇ…

美智子

オバサンの独り言に
付き合ってくれる?

陽子

……

美智子

そう、付き合ってくれるの
優しい子だね

陽子

(身動きが取れない…
相変わらず力強いな)

逃げる術もなく、猫になった陽子は 実家に連れていかれるのだった。

ー美智子の家ー

美智子

それは仏壇っていうの
悪さはしちゃダメよ

陽子

(捕まってんだから
できる訳ないでしょ)

美智子

これはね、娘の写真

美智子

もう10年以上会ってないから
古い写真だけどね

美智子が写真立てを手に取り 寂しげな目で眺める。

陽子

(うわ、懐かしい写真…
こんなのまだ持ってたの)

美智子

昔は勉強ができて
優秀な娘だったのよ

美智子

厳しく育てた反動なのか
恋人と駆け落ちして
それっきり……

美智子

お腹に子供がいたとも聞いたけど
どうなったのか音沙汰もなくてね

美智子

喧嘩別れしたままだけど
娘の顔はやっぱり
見たいものなのよね…

美智子

なーんてね
難しい話、猫には
わからないわよね

陽子

(知らなかった…
そんな風に思ってたなんて)

陽子

(家を出る時すごく
怒ってたし…)

美智子

いいわよねぇ、
猫は気楽で…

美智子

ふふ

美智子

美智子

美智子

陽子、いつでも実家においで

翌日

陽子

(すごくリアルだったのに…
まさかの夢オチ…)

目が覚めたらベッドの上で 猫になったのは夢だった。

陽子

(まぁ猫になってなくて
よかったんだけど…)

ゆか

おはよ、お母さん

陽子

おはよう

陽子

……

陽子

そういえば、昨夜の
もし猫になったらって話…

ピーッピーッ 電子レンジの音が鳴り響く。

ゆか

え?何?

ゆか

何て言ったの?

陽子

…ううん、何でもない
何でもないの

あんな夢の話、やめておこう。 陽子は首を振った。

ゆか

えー

陽子

そんなことより、さ
この週末…

陽子

おばあちゃん家行こうか

ゆか

おばあちゃん家?
私行くの初めて?

陽子

そうだよ

陽子

おばあちゃんに
元気な顔見せに行こう

はしゃぐ娘の頭を撫でながら 今更ながら過去のことを 謝ろうと心に誓うのだった。

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コメント

1

ユーザー

初作品です🙌拙い文章&長くなってしまったのですがよろしくお願いいたします🙇‍♀️🙇‍♀️

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