ー流星sideー
誘拐されて1週間が過ぎた。
この人から、暴力振るわれたり、暴言吐かれたりしなくて、 逆に怖かった。今まで暴力でしか愛情を受けたことが なかったから。
温かくて美味しいご飯を毎日与えてくれて、狭いところに 閉じ込めずに自由にさせてくれて、ぐっすり眠れる環境に してくれて...
急に抱きしめられたりすると、最初は体が震えてたけど、 大ちゃんは何もしなかった。痛いことしなかった。 これが、愛なんやって。可愛がることなんやって。
こんなに大切に扱われたことなくて、こんな生活が送れるなら、 死ぬ理由がない気がしてきて。あんなに死にたくて 仕方なかったのに、大ちゃんのせいで よく分からなくなっちゃったやん。
深夜2時、大ちゃんが寝てるのを確認して、 大ちゃんがいつも刺そうとした時に使ってるナイフを探した。 早く死なないと、死にたくなくなるから。
いつも台所辺りから出してきてるよな... だからこの辺に...
あった!もう自分で刺しちゃえ...
大吾
流星
大吾
刺そうとした瞬間に、大ちゃんが起きてきて、止められた。
流星
大吾
流星
大吾
圧に負けて、大人しくナイフを置くと、腕を引っ張られて 寝室に連れ戻された。今度は僕がベッドから逃げないようにか、 壁側に寝かされて、抱きつかれた。
ならばと次の日も、大ちゃんを起こさないように ベッドから出て、あまり音がしない延長コードで 首を絞めようとした。
でも大ちゃんはまた起きて止めてきた。
大吾
流星
大吾
流星
大吾
流星
大吾
流星
そう言うと、大ちゃんは少しだけ眉間に皺を寄せたあと元に戻し、 また寝室に連れ戻された。
大吾
流星
大ちゃん、なんて思ったんやろ... 少なくとも、嬉しそうではなかった、ような...
それから何日経ったやろう。僕は今日、初めて 大ちゃんの笑った顔を見た。笑い声を聞いた。
大吾
流星
大吾
流星
大吾
流星
ホンマに血も涙もない!!
でも、ドキッてした。笑った顔見て。一瞬やったけど、 笑って細くなった目も見えて、このモヤッとした気持ちが、 自分でもよく分からなかった。
数十分してお風呂から出てきた大ちゃんは、長い前髪で 顔の半分は隠れてるものの、髪が濡れてるから フードは被ってない。
タオルを首にかけたまま、こっちに歩いてきた大ちゃんは、 僕の前にしゃがんで、ズボンの裾を上げた。
流星
大吾
流星
大吾
流星
いい子って、頭を撫でられて、そのまま大ちゃんは ソファーに座ってしまった。
何今の... さっき転んだやつ、怪我してないか...? この人ホンマは、ただの優しい人なんじゃ...
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