???
今日もまた先輩の為に頑張りました……!

???
どうですか? あたし、頑張ってますか?
頑張ってますよね!

スイ
……今度は皆に何をしたの?

スイ
また誰かから何か取り上げたの?

???
えぇ? そうですね、まずは……

スイ
そのネクタイ、昨日までつけてなかったよね。
誰かから盗んだものなの?

???
あ、はい!
隣の席の人が凄くウザかったので!

???
あたしにかかればあんなの楽勝でしたよ!

???
でも……そういえば先輩、いつもつけてるリボンはどこに行ってしまったんですか?

???
先輩だけの特別な可愛らしいリボンだったのに……。

スイ
女の子はみんな私と同じだよ……?

???
そんな訳無いです!
どこぞの有象無象と先輩は雲泥の差ですよ!

???
ですから先輩、今回もあたしを褒めてください!

???
あたし、先輩の為に頑張りましたよね?

スイ
……マドカちゃん、ごめんね。

スイ
私、流石に今回のことはマドカちゃんのことをあまり褒められないかも。

???
……。

???
……あはっ。

マドカ
先輩が言うならそうですよね!
あれは辞めますね!

スイ
(いつもこうだと助かるんだけどなぁ……。)

マドカ
あと、先輩……

マドカ
先輩の可愛らしいリボンはどこなんですか?
まさか他の奴とリボンを交換して───

スイ
失くしちゃっただけだよ。
明日までには見つけるから安心して。

マドカ
良かったです。

マドカ
あたし、先輩の卒業式の日に先輩とこれを交換してネクタイ姿の先輩を見たかったんです。

マドカは自身が今身につけているネクタイを軽く摘み、
持ち上げながらそう言った。
スイ
……でもそれ、他の子から奪ったものなんだよね?

スイ
私がそのネクタイをつけたら───

マドカ
ああぁぁあぁあ”! そうでした!

マドカ
クソ! あたしのこといつまでも困らせやがって!

マドカ
あたしは先輩のことが何よりも大切なだけなんですよ! それなのに貴方は!

マドカは突然身につけていたネクタイを解き、
地面に向かって何回も力強く叩きつけた。
マドカの怒声を浴びせられたネクタイは元気を失い、
色も先程より濁っている様にも見えた。
マドカ
あはははははっ……はぁ……♡

マドカ
先輩、この薄汚れたネクタイはきちんと隣の席の奴に返しておきますね。

マドカ
あたしが身につけるネクタイはあたしがきちんと買いますから……

マドカ
だから他の男のネクタイなんてつけないでくださいよ……。

マドカ
あたしは先輩と交換したいんです。
どこの馬の骨とも知れない奴のモノなんていらないんです……。

スイ
……あのね、マドカちゃん。

スイ
私、他の子とネクタイとリボンを交換するなんて一言も言ってないよ……?

マドカ
……。

マドカ
…………。

マドカ
………………。

マドカ
そうですよね! あははっ♡

マドカ
では、あたしはお先に失礼します!

マドカ
あぁ、一分一秒でも早くまた先輩を拝みたいです……!

スイ
(マドカちゃん、本当にどうしちゃったんでしょう……。)

スイ
(ここに入学してからずっとこの調子みたいですし……。)

イザヤ
どうだ? 「お話し合い」は終わったか?

スイ
イザヤさん? それに霽月さんも?

霽月
……話、聞いてたよ。

霽月
あんた、随分個性的な奴に好かれてるんだね。
……なんというか、ご愁傷さま。

スイ
な、なんでですか!?

霽月
……イヤ?

霽月
タダ?
アイガアルナァッテオモッタダケダヨ?

スイ
どうしてそんなカタコトなんですか!?

イザヤ
……そうだ、お前の後輩が強烈過ぎて本来の目的を忘れる所だった。

イザヤ
ほら、これ。
お前のリボンだぞ。

イザヤ
名前が書いてあるから間違いない。

スイ
あ……ありがとうございます。
でもどこにあったんですか?

霽月
診療所の食堂。イザヤが見つけたんだってさ。

スイ
ありがとうございます!
これが無くて困っていたので……。

イザヤ
それじゃあ、俺達はここで───

霽月
……は?

スイ
何があったのでしょう……。

生徒
おーい!!!

生徒
魔物が襲撃してきたぞ!!
早く地下シェルターに逃げろ!!

生徒
って……ん?
スイ、そこの2人は誰だ?

スイ
えっと……知り合い? お友達? だよ。

生徒
まぁいい……とにかく逃げろ!

生徒
魔物が1年のフロアで暴れているんだ!
早くしないと俺達も襲われるぞ!

スイ
1年生の……!?

イザヤ
1年か。可哀想にな……。

スイ
……1年生はマドカちゃんの学年です。
早く助けないと───

霽月
……え
