テラーノベルの小説コンテスト第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで

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月の光を辿って

第6話 - 第6話後輩を守るため

175

2025年02月25日

#一次創作

#ファンタジー

#バトル

宵月シノ

スイ

1年生はマドカちゃんの学年です。
早く助けないと───

霽月

ちょっとスイ、ひとまず逃げた方がいいんじゃない？

霽月

あたし、この世界の魔物がどの位強いのかなんて知らないけどさ。

霽月

魔物と戦争して、戦場での生き残りが見つからなかった位には強いんじゃないの？

イザヤ

……そうだな。

イザヤ

魔物の強さは個体によって変わるが、近頃は魔物も段々と強くなってきている。

イザヤ

ここは助けに行くより後輩の無事を祈って避難した方がいいかもしれないな。

魔物が1年生フロアに襲撃してきたことを知り、マドカを助けなければと魔物の居る1年生フロアに向かおうとするスイ。

霽月とイザヤは危険を避け避難しようとスイに促すが、スイは完全にマドカを助けようとしている。

スイ

……私、行きます。
マドカちゃんを助けます。

イザヤ

はぁ……。
お前って意外と頑固だよな。

イザヤ

分かった、魔物退治は俺も手伝う。

霽月

あたしも……って言いたい所だけど、
どうしたらいいの？

スイ

……！

スイ

ありがとうございます！

生徒

よ、よく分からないが気を付けろよ。

スイ

1年生のフロアはこっちの方です。

スイ

マドカちゃんは授業に向かうと言っていたので、まだ逃げていなければ1年生フロアに居るはずです。

イザヤ

……そうだ。霽月にこれを渡しておく。

霽月

……銃？

霽月が受け取ったのは一丁の拳銃だった。霽月は何故か妙に慣れた手つきで弾の数などを確認する。

イザヤ

……？使い方を知っているのか？

霽月

うん、多少はね。

霽月

記憶を失くす前によく使ってたのかも。

イザヤ

……診療所に戻ったら、お前について分かっていることの整理でもするか。

霽月

ん。でも今はスイの後輩を助けないと。

スイ

こっちです！

3人が1年生フロアに向かうと、そこにはフロア内の設備を壊して暴れているゴブリンが居た。

スイ

ゴブリン……？

イザヤ

通常のゴブリンよりも2回りは大きいな。
何があった？特殊個体か？

スイ

特殊個体でこんなに大きなゴブリンは未だ発見されていないですし……

スイ

───遺伝子操作、ですかね。

霽月

遺伝子操作？

イザヤ

……その可能性もあるな。

霽月

遺伝子操作って？

イザヤ

魔物を中心に研究をしている研究者がよく魔物の遺伝子操作をするんだ。

イザヤ

その場合は研究所の檻に収監されているはずだが……檻を破って出てきたのかもしれないな。

イザヤ

もしくは、研究者本人がここにその遺伝子操作をしたゴブリンを放ったか。

霽月

遺伝子操作したゴブリンを学校に放つって……。

霽月

それ、普通に問題じゃない？
ゴブリンが人を殺したらどうするの？

イザヤ

……それが目的かもしれないな。

スイ

とにかく、マドカちゃんを探してゴブリンも倒さなければなりません。

イザヤ

この状態じゃ、その“マドカちゃん”を探すのより先にゴブリンを倒すことになりそうだな。

霽月

……よし。あたしは戦えるよ。

スイ

私も準備出来ました。

スイは剣を構えながらそう言った。

戦闘の準備が出来た2人を見て、イザヤも自身の武器であるライフルを取り出した。

ゴブリン

ア？

ゴブリン

アア？

霽月

随分とガラの悪いゴブリンだなぁ……。

イザヤ

行くぞ。

イザヤがライフルを構えて1発発砲する。それに気付いたゴブリンは3人の方を振り向き踏み潰そうとした。

咄嗟に3人は避け、それぞれ別の場所に向かった。

ゴブリン

ア？

ゴブリン

……。

突然視界から消えた3人を探して、ゴブリンはロッカーなどを踏み潰した。

スイ

───こっちですよ！

ゴブリン

アア！？

まだ潰れていないロッカーの陰からスイが現れ、ゴブリンの足元まで走って行く。

スイはゴブリンの足元まで行くと、ゴブリンの足を斬った。

ゴブリン

ア”ア”ア”ア”ア”！

イザヤ

……このゴブリン、中々硬いぞ。
銃弾も通りづらい。

霽月

じゃあどうするの？

イザヤ

薬だ。

霽月

……薬？

イザヤ

スイが物陰に隠れていた時に剣に弱体化の薬を塗っていた。その内効くはずだ。

ゴブリン

───ア”ア”ア”ア”ア”ッ”！

ゴブリンは叫びながらその場に蹲る。スイが剣に塗っていた弱体化の薬が効いた様だ。

イザヤ

よし───霽月！

霽月

は、あたし！？

霽月

何であたしが……！

パァンッ───

ゴブリン

……ア°？

霽月の撃った弾はゴブリンの右目に当たり、ゴブリンは右目を失明した。

すかさずスイがゴブリンに一気に近付き、ゴブリンの腹に剣を突き立てた。

そして、ゴブリンの腹を引き裂く。

ゴブリン

ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”！！！

霽月

うっるさ……！

イザヤ

……とりあえずこれで解決だな。
学校側に報告をするぞ。

スイ

疲れました……。

マドカ

あれ……先輩！？

マドカ

どうしてこんな危険な所に居るんですか！？

マドカ

ここはどこかからやって来たゴブリンが暴れてて……！

マドカ

───って、え？

「ゴブリンが暴れていて危ない」と言いかけたマドカは、目の前で倒れているゴブリンに気付いて唖然とした。

マドカ

い、いつの間に……？

スイ

そこの2人と協力して倒したんだよ。
マドカちゃんが心配だったから……

マドカ

トゥンク……。

霽月

（それって口で言うやつなの？）

マドカ

やっぱり先輩はかっこいいですね♡

マドカ

よぉし、こんなクソゴブリンなんてちゃっちゃと解体してしまいましょう！♡

？？？

───おっと、そうはさせないぞ。

霽月

は……？

いつの間にか4人の目の前には白衣を来た男の姿があった。白衣の男はゴブリンを見遣りながら話した。

？？？

こいつは死んだがこれでも立派な実験道具だ。
お前達に解体させる訳にはいかない。

スイ

まさか……貴方がゴブリンをここに解き放った犯人なんですか？

？？？

おっと、そう怒るな。
オレはお前達と仲良くしたいだけだ。

？？？

これもコミュニケーションの一環だ。

霽月

遺伝子操作したゴブリンを解き放つのがコミュニケーションだなんて……。

霽月

近頃の研究者は、思考がズレてるコミュニケーションが取れない奴らばっかりなの？

イザヤ

……。

？？？

ははは、そうなのかもしれないな。

？？？

───なぁ、イザヤ？

？？？

お前はオレのことをそう言っていたな。

霽月

……は？

霽月

あんたはイザヤの知り合いか何か？

？？？

知り合いなんて言葉で片付けられたら良かったんだがな。

？？？

あいにくオレ達はそんな関係じゃないんだ。

イザヤ

───俺達に何の用だ、ゲントウ。

ゲントウ

……はははっ！
わざわざ名前を覚えていてくれたんだな？

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第6話公開しました🌙 次回更新は2025年3月4日を予定しています！

トゥンク…恋の始まりの音🎉🎉 ｴｯ…イザヤさん！？…なんだろう…研究者仲間…とか…？？

宵月シノ

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