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腕に激痛が走って、痛いと叫ぼうとしてやめた。
ないちゃんのことで皆忙しいのに、僕に作業をまわさせるわけにはいかない。
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ないちゃんと違って、僕のは薬でなんとかできるもの。
我慢すればいい。
僕の種族は天使。
だからか、あるとき急に、僕の体は天使になろうとする。
腕から羽なんて生やしても、天使にはなれないのに。
よくからかわれた、「お前は失敗作だ」とか、暴言や暴力もされたけど、がんばって耐えた。
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そう、天使の存在意義は、人を幸せにすること。
こんな僕じゃだめだと思い、インターネットの世界に飛び込んで、歌を投稿してみた。
「声好き!」 「rapかっこいい」 「今日も幸せです」 「ありがとう!」
アンチなんてどうでもよかった。
ただ、僕を好き。と、僕のおかげで幸せだ。と言ってくれる人たちがいれば、それで。
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腕をさすってみる。
真っ白な羽が、床に落ちていく。
たしか、この羽には、治癒能力や幸運をもたらす能力があるんやっけ。
「その力が人一倍強いのが、あなたです」
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昔、お母さんと一緒に行った占い。
占いといっても、種族やその強さをあらわにしたりするだけ。
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自分にそう言って、自分の部屋から出ようとした。
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部屋の扉がノックされる音が響く。
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羽を隠してから答える。
ばれるのだけはごめんだ。
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最近ストレスかなにかのせいで羽が生えすぎている、そのせいか、あまり掃除などもできていなかった。
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悠くんは普通の人間だから、僕の気持ちなんてわからないだろう。
でも、それでいい。
同じ立場でもなんでもないのに、無理に同情される方がきもちわるい。
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ないちゃん、大丈夫かな…
部屋を片付けていないとさすがに怪しまれるので、片づけることにした。
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そう言ったあと、僕は静かにあくびをした。
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