待ちに待った三日後のデ-ト当日。
待ち合わせ場所の喫茶店に私が向かっているところ、
約束の時間の十分前に店に来ていた大毅に、4トントラックが突っ込んだ。
居眠り運転だった。
私が誘わなければ死ななかった。
私が告白しなければ死ななかった。
何もする気力もでず、食事も喉を通らず、学校へも行かずに自分の部屋に閉じこもって、
大毅と私の好きだった曲を流した。泣いて、自分を責めて、自分を呪い、また泣いた。
ママ
ハル、起きてる?
私が手をつけなかった食事を、ドアの前から片付けながら、ママが話しかけてくる。
ママ
そろそろ部屋を出てきて。前を向いて。ちゃんと生きて
生きる気力なんでこれっぽっちもなかった。
私はただ、好きな人を失ったわけじゃない。
私の行動が好きな人の運命を変えてしまったんだ。
それは、私が殺したのも同然だ。
ママ
まぁ、ママもハルの事は言えないけどね
小さな溜息がドア越しに聞こえる。
ママ
あの時に自分がああしていればって、今でも思う時があるから……。
パパの事だ。
四年前の夏休み。
大阪にあるパパの実家に行くことになった。
当日、駅に着いてからママが新幹線のチケットがないことに気づいて、時間がないからと
パパが、一人でチケットを取りに家まで走った。
その途中でタクシーにはねられた。
即死だった。
出かける前にちゃんと確認しなかったからだと、ママは自分を責めた。
ママ
でも、わかってるの。
ママ
自分を責めるのは筋違いだって。
ママ
ママがどうにかすればパパが生きられたなんて、おこがましい考えよ。
ママ
人の命の事を決めるのは、人じゃない。人ごときに人の生き死にを決める力はない。
ママ
だから、ハルが感じてる罪の意識は間違ってるの
ハル(私)
─人が決められないなら、何が決めるの?
ママ
やっと喋ったわね
ママはよどみなくこう答えた。
ママ
運命よ
ハル(私)
運命ってなんなの?
ママ
神様が決めた、変えられないこと。大抵、理不尽な事だけどね。
ハル(私)
そんな目に見えないものに決められるなんて、納得出来ないよ。
ママ
見えたら簡単に変えてしまえるでしょ。
ママ
運命は見えないから変えられないし、選べない
晩ご飯はちゃんと食べるのよ──ママの足音がとおのいていった。
後編では、なく中編で、行かせていただきます
後編だと、思っていた方、すみません!一日じゃ投稿出来ないかも知れません!