めめあべ

あんなことがあってから 俺もみんなも前よりも頻繁に あべちゃんに会い来るようになった

みんな多分怖いんだと思う

あべちゃんを1人にしたら こないだみたいになって

フッとどこかに 行っちゃうんじゃないかって

あんな怖い思いもうしたくない

だから、なるべくあべちゃんの そばにいるようしようって 決めたんだ

今日1日、仕事がない俺は

朝からずっとあべちゃんに 手を握りながら 声をかけ続けている

それでも、あべちゃんが 手を握り返してくれることも 返事を返してくれることも 一向になかった

……ちゃん

あべちゃん

話しかけても返事はない

手を握り返してくれることもない

そう言って手をはなそうとしても なんでか分からないけど

その場から離れることが 出来なかった

いや、その状況を 理解することが出来なかったんだ

あべちゃんが手を握り返してくれた

だから、手を離すことが出来なかったんだ

そう問いかけると 静かに頷くあべちゃん

自然と涙が出てきた

俺は無意識に あべちゃんのことを抱きしめていた

あべちゃんもそれに応えるかのように ゆっくりと俺の事を抱き締め返して くれた

ココ最近抱えていた 悩みや、考え事なんて

こんなちょっとした事で、 吹っ飛んでしまった

あべちゃんが目を覚ましてくれた ことが嬉しくて、でもあべちゃんの 状態が気になって

質問ばかりしてしまう

でも、この質問に対して あべちゃんは弱々しく

「ニコッ」って微笑んでくれる だけだった

そう聞くとあべちゃんは ゆっくりと手を持ち上げて 喉を指さした

あべちゃんはいつもの笑顔で

首を横に振ってくれた

声がでてなくてもわかる

俺の予想は当たったらしい

ゆっくりと頷くあべちゃんを見て また涙が出てきた

涙が止まらないままあべちゃんを 見つめてる俺を見て

あべちゃんは手招きをしてくれた

素直にあべちゃんの元へ向かうと

弱々しく俺の手を引いて

俺の頭をポンポンしてくれた

このままちょっと甘えててもいいかな？

先生を呼びに行かなきゃ行けないことは 頭ではわかってるのに、 体が動こうとしない

先生ごめんなさい

もう少しだけ。

もう少しだけ、 このままでいさしてください

この落ち着く空間を

もう少し味わわせてください

あと、もう少しだけ