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ミラ

デススケルトン――。

ミラ

確か、3回目のパッチ更新があった時に追加されたモンスターだったはずや。

とある病院の診察室。

ようやく午前中の診療が終わり、一息をつこうとしていたところで、ミラは例のアプリから通知が届いていることに気づいた。

通知の内容は、パーティーが成立したことと、どのコンテンツに行くことになったのかを知らせるもの。

コンテンツは――デススケルトン殲滅戦。

突入までの残り時間が記載されており、どうやらちょうど月曜が終わると同時にコンテンツに突入することになるようだ。

ミラ

あまり時間がないけど、こうやって戦う前に相手が分かるのはいいかもしれない。

ミラはスマホで、かつてのアルストリア戦記攻略サイトである【串カツ】にアクセスする。

ミラ

デススケルトンの攻略法も、ここにあるはず……。

ネット上に表示されたものを、一言一句逃さないように頭へと叩き込む。

デススケルトンは素早さに長け、通常の状態だと攻撃が当たらない。

その圧倒的に俊敏さに、なす術もなくやられてしまうパーティーが当時は頻発した。

そこで、あるプレイヤーが、電撃属性によって、デススケルトンの動きを封じることが可能なことを発見。

そこからは、なし崩し的に攻略法が広がり、デススケルトンは簡単なコンテンツへとなっていった。

電気で止めて物理で殴ればいい――なんて名言まで生まれたくらいだ。

ミラ

電撃で止めて、あとはみんなでタコ殴りか――。

ミラ

下手に魔法しか効かん相手より、まだやり方がありそうやが――。

ミラ

問題はどうやってデススケルトンに電撃をお見舞いするかやな。

ミラは小さくため息を漏らすと、スマホを手に取る。

ミラ

みんな、もうアプリからの通知が行ってると思うけど、一応確認させてくれ。

ミラ

俺達の次の相手はデススケルトンになる。

ミラ

突入時刻は次の火曜日に日付が変わるのと同時や。

オニ

この辺もゲームと同じように通知してくれるんだな。

オニ

まぁ、突入までここまでの余裕があるのは初めてだが。

カズ

でも、その分準備もできる。

カズ

どうする?

カズ

ざっと攻略を見たが、電撃属性の武器がないと話にならんぞ。

カズ

スタンガンでも用意するか?

ミラ

俺もそれは考えたんやが、デススケルトンはそもそも電撃を喰らわせる前の俊敏性が化け物並みや。

ミラ

ゲームの中なら離れていても魔法で一発だったけど、現実となるとそうもいかん。

ミラ

できるだけ安全に、尚且つ確実にデススケルトンに電撃を叩き込めるようにしたい。

シエル

でも、そんな方法ある?

ミラ

あー、ひとつ俺に考えがある。

ミラ

シエルン、俺と一緒に【ブルーゼリー】とやり合った時のこと、覚えてるか?

シエル

あ、うん。

ミラ

あの時、コンビニの電気は点いてたか?

シエル

あ、点いてたよね。

ミラ

ということは、あの現実だか異世界だか分からん世界でも、インフラは生きてるって推測できる。

とねこ

もうちょっと私にも分かるように話してよ。

ミラ

つまり、電気、水道、ガス――それらは生きてるってことや。

ミラ

それを利用することができれば、デススケルトンの動きを止めることはできる。

ミラ

ただ、俺の記憶が正しければ、それでもかなり硬いモンスターだったと思う。

ミラ

武器関連はオニさんに全面的に任せるからな。

オニ

それは構わんけど、君ら銃って使ったことあるか?

オニ

拳銃だけじゃなくて、趣味でやってるマタギ用の猟銃も持ち込むつもりでいる。

カズ

さすがは田舎の警察官やな。マタギやっとるのは、前に聞いたことがあったけど。ちなみに、当然ながら扱ったことはないけど、俺ガンマニアってやつやでな。

カズ

ある程度の扱いはできると思う。

オニ

だったら、猟銃は俺が使って、拳銃はカズさんに渡すか。

オニ

もう一丁、スタンダードな拳銃を用意できそうだけど……。

シエル

あ、だったら。

オニ

シエルンはへっぽこだから駄目。

オニ

下手すると味方を撃ちかねん。

ミラ

とにかく、俺も含めて手探りな部分が多いし、どこまでやれるかを確かめながらやりたいというのもある。

ミラ

そこで、ちょっと相談がある。

ミラ

今のパーティーリーダーは俺やから、突入した時点で俺のいる場所がバトルの舞台になると思う。

ミラ

それを利用して……。

ミラはある策略をみんなに話す。

カズ

おー、かなり大掛かりになりそうやなぁ。

オニ

それ、実際に可能なんだろうか――。

ミラ

デススケルトンの持ってる剣。あれの鋭さを利用できれば大丈夫だと思うんや。

とねこ

でも、それってミラさんが大丈夫なの?

とねこ

もし仮にデススケルトンに勝てても、戻った時に捕まっちゃうんじゃ――。

ミラ

その時は「道に迷いました、すいません」でごまかすから心配いらん。

とねこ

でも……。

ミラ

いやいや、なんの手も打たずにみんなが死ぬくらいなら、多少の住居不法侵入くらい屁でもないわ。

ミラ

それじゃ、とりあえず各々準備だけはしておいてくれ。

ミラ

特に心の準備をな。

ミラはスマホをしまうと、適当にコンビニで買っておいた、おにぎりを口にする。

ミラ

デススケルトンか――。

ミラ

【串カツ】でも、デススケルトンとやり合うことになった報告は多数あるが、その後、倒したという話題が出てきていない。

ミラ

それが何を意味するのか――。

ミラはそこで首を横に振る。

ミラ

いや、俺がビビってどうする?

ミラ

俺はこんなところで死ぬわけにはいかんのや。

準備はできているし、デススケルトンに対抗する手段も決まっている。

しかし、一抹の不安がミラの周囲には取り巻いていたのであった。

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