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テラーノベル(Teller Novel)

20XX年

紛争地帯

青年

敵の動きはどうだ!

仲間

どんどん撤退しています

仲間

あ!でも、

仲間

数人の部隊がそっちへ向かっていきます!

青年

分かった、排除する

青年

そっちはどうだ?

仲間

撤退していきました

仲間

全員無事です

青年

良かった

そう言って青年は通信を切り、やってきた敵部隊と対峙する

青年

悪いが、死んでもらう

相手部隊は4人いる

普通だったら数で殺されるだろう

四人も相手にするなんて例え相手が銃を持っていなくても危険だ

普通ならば

青年は敵に向かって小型のマシンガンを放つ

そのまま走り、相手に狙いを定められないようにする

マシンガンごときでは相手の装甲を破壊できない

それでも良かった

青年はそのまま敵に接近し、装備に出来たヒビに向かってナイフを突き刺す

敵は血を流して倒れた

残りは三人だ

そのまま身を翻して銃弾を避け

二人目の頸動脈を切る

そして高く飛び上がり

三人目に回し蹴りを喰らわす

これで倒しきることは出来なかったが

気絶させることまでは出来た

青年は四人目、最後の敵に向き直る

完全に戦意を喪失していた

青年

悪いが、任務だ

青年はそう言って最後の敵を撃った

ついでに気絶してる奴も殺っとく

青年

任務完了

青年には戦闘の才能があった

仲間

お疲れ様、アラン

仲間

怪我は?

アラン

大丈夫だ

アラン

今、戻るよ

紛争地帯の中を駆け巡る

アランはそんなレジスタンスの一員だ

10年前

日本

新井いつき

相変わらず模試判定はE

新井いつき

何をやっても、変わらないんだ

自分は無才だ

それは前から分かっている

親には軽蔑されて、友達もいない

自分は必要なのだろうか

もう、いっその事……

そんな事を考えながら家路につく

新井いつき

ただいま

いつきの母

おかえり

いつきの母

また模試判定Eだったのでしょ

新井いつき

だから、何

いつきの母

馬鹿なことを言わないで頂戴

いつきの母

あと受験まで2ヶ月しかないの

いつきの母

今から猛勉強した所で受かるのかも分からないのに

いつきの母

なんなのその危機感の無さは

冷静に、鋭くついてくる

新井いつき

…………………………

もう何も言い返す気にもなれない

何を言っても無駄だ

母の望む学校に入るには二十万人近くが受ける模試の中で最低でも五十番台に居ないといけない

自分なんてまだ百番台だ

いつきの母

いつき、聞いてるの?

いつきの母

全く……陽菜は出来る子だったのに…

新井いつき

陽菜……

陽菜というのはいつきの姉だ

皆から天才と呼ばれ勉強なんかしなくても模試でトップ3に入っていた

将来を期待された彼女だが

2年前、通り魔に襲われた自分を庇って亡くなった

陽菜の死は家族と親族

それに、陽菜の目指していた大学の方まで悲しんだ

死んだのが貴方だったら良かったのに

世の中は残酷だな

天才を殺し、無才を生かすなんて

陽菜ちゃん、可哀想に

皆口々にそう言って姉を失った自分の事など気にとめなかった

いつきの母

とりあえず、合格出来なかったらこの家を出ていって貰います

いつきの母

陽菜のお陰でせっかく家は名家として期待されてたのに

もうこんな対応慣れた

もういい

早く死んでしまおう

翌日

学校 屋上

新井いつき

いい景色だな

死ぬ前の最期の景色には相応しい

無才の自分なら死んでも母は悲しまない

やっと、解放される

いつきは屋上の柵を跨いだ

少し前 屋上への通路

アラン

聞こえるか!?

アラン

応答頼む!

アラン

くっそ……通信途絶か

アラン

ところでここ……

戦場のレジスタンスのアランはあたりを見渡す

構造から察するに学校だろう

何となく見覚えがある

アラン

まさか!

近くの柱に貼ってある校内マップを見る

アラン

嘘……だろ

自分の通っていた学校だった

アラン

まさか今日は……

アランは屋上へと走り出した

いつきは柵を跨ぎ身を大空へと投げる

まるで親の呪縛から抜けたようだ

このまま果てしない空を見ながら死ねるなんて

何という幸運だ

アラン

やめろ!

そう思っていたのに

いきなり誰かに手首を掴まれた

見上げると、見たこともない人が自分の手首を掴んでいた

このままだと相手も落ちて死んでしまう

新井いつき

助けないでください!

新井いつき

手を今すぐ離して

新井いつき

あなたも落ちますよ!

アラン

悪いが、俺にとってはお前が死なれると困るんだ

相手はそう言って自分の事を引き上げた

新井いつき

何故助けた……!

相手が座り込む自分に銃口を突きつけた

本物の銃だと直感した

アラン

死にたいのか?

アラン

死にたいならこのまま殺してやるよ

アラン

飛び降りる度胸があるんだから、撃たれるくらい平気だろう?

怖い

そんな感情が脳を占めていた

正直言って、落ちるのなら最期何も感じないんじゃないかと思っていた

けど、銃で撃たれたら絶対痛い

自分は死にたかったんじゃない

現実から、逃げようとしていただけなんだ

死にたくない!

生きたいよ!

そんなことを思っていると、相手は銃を下ろした

新井いつき

……はぁ…はぁ

冷汗がつたるのを感じる

アラン

怖かったか

いつきは必死にうなづいた

アラン

日本は贅沢な国だな

アラン

何もしなくても生が保証されるなんて

アラン

明日も当たり前に生きてられるからこそ

アラン

お前は死を選んだんだろう?

新井いつき

そうだよ

新井いつき

生きててももう意味は無い

アラン

ならどうして銃口を向けただけであそこまでビビる?

アラン

普通なら平気だと思うが

新井いつき

それは…………

言葉に詰まる

確かに相手の言っている事は正論だ

アラン

お前は何がしたい?

アラン

親の理想でも押し付けられてんだろう?

新井いつき

どうして……

アラン

俺もそうだったし、お前

アラン

あの時の俺と同じ顔してる

新井いつき

はぁ…………

アラン

お前は何がしたい?

アラン

夢を、聞かせてくれ

新井いつき

夢……

子供の頃から夢はあった

現実性は無いし、親からも反対されたが

新井いつき

兵士…です

新井いつき

紛争地帯とかで、困ってる人の為に戦いたいんです

新井いつき

そういう所に行きたければ医者になればいいと思うかも知れませんが

新井いつき

僕は戦いたいんです

新井いつき

その方が感謝されるし、戦いを終わらせることだって可能だと思います

新井いつき

子供っぽくて、阿呆らしいですよね

赤の他人に何を熱心に語っているんだろうといつきは赤面した

でも、相手は笑う様子もなく

アラン

だったら紛争地帯に行けばいい

アラン

外国語が話せれば軍隊に入れる

新井いつき

でも、海外に行く為のお金はありません

アラン

それなら海外の軍に入りたいと1日10本以上連絡してみろ

アラン

そうしたら在日軍ならやってくる

アラン

そこで戦闘能力が認められればいい

アラン

そこは心配しなくていいと思うが

新井いつき

なぜですか?

アラン

才能だ

アラン

恐らくお前には戦闘の才能がある

アラン

推測だがな

新井いつき

親に反対されたら

アラン

勉強して、成績上げて正面から戦えばいい

アラン

親と縁切る覚悟でな

その覚悟はとっくに出来ていた

アラン

どうだ?生きる気力は湧いてきたか?

新井いつき

はい!

アラン

なら一つ教えてやる

アラン

戦場では明日があるかは分からない

アラン

当たり前のように食事があって生きていけるわけじゃない

アラン

生より近くに死がある

アラン

そして、この平和が幻想である事を知るだろう

新井いつき

幻想……?

アラン

今は分からないかもしれないが

アラン

とりあえず頑張れよ

新井いつき

はい

新井いつき

あの、貴方の名前を教えて下さい

立ち去ろうとしていた青年は立ち止まって少し考え

アラン

アラン、本当の名前はそのうちお前が知ることになる

そう言って去って行った

10年後

いつきはレジスタンスのリーダーとして紛争地帯で戦っていた

夢を叶えることが出来たのだ

新井いつき

任務完了

いつもの様に政府の軍を倒し、仲間に無事を報告する

仲間

お疲れ様、『アラン』

今の自分の名を仲間が呼ぶ

自分は今、生きている

そう実感した

この作品はいかがでしたか?

231

コメント

7

ユーザー

うおああ…ですか。なるほど……

ユーザー

うおああってなりました

ユーザー

そうですね。才能は誰にだってありますし、良い学校に行っていい仕事をするのが全てでもありません 好きなものをやる事こそが生きる意味だと僕は思います

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