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りうら

ないくん、あとどれぐらい〜………?

ないこ

あとちょっとだよ〜

りうら

さっきからそればっかじゃん!

初兎

ないちゃん、距離感覚狂ってんちゃう?

ないこ

失礼な、そんな訳………

悠佑

あるやろ

ないこ

スミマセン

ないこ

…………でも、割とすぐだと思うんだけどな〜

りうら

“割と”?

ないこ

もうそんな遠くないはずなんだよ…………

初兎

どーだか

ないこ

………………、お

ないくんが、そう小さく声を漏らす。

ある一点を見つめて。

りうら

どうしたの?

ないこ

…………見えた

悠佑

お、ないこの言っとったことあながち間違っとらんかったな

初兎

着きそうなん!?マジ!?

ないくんの視線の先には、山の頂上にそびえる巨大な洋館。

くすんだ桃色の屋根、

そして門には紛れもなくないくんの実家の“紋章”が刻まれていた。

初兎

あそこ!?

ないこ

そうそう

初兎

でっけー!やべぇ!テンション上がるわ!

先程まで疲労困憊の様子でクタッと箒に乗っていた、 しょにだの顔が明るくなる。

それほどまでには、立派な家だった。

りうら

確かにデカい

悠佑

ほとけとかで霞むけど、

悠佑

ないこも相当金持ちやからな

ないこ

何か生々し…………

初兎

ここ泊まるんやろ!?

ないこ

う、うん………食い気味じゃん………

初兎

贅沢〜!

りうら

めちゃ綺麗

ないこ

お前らそんなに期待すんなよ?

りうら

するでしょ!

ないこ

やめてって………胸が痛い…………

悠佑

ないこ、庶民にとってはとんでもない贅沢なんよ

ないこ

うるせぇ………アニキも人の事言えねぇだろ………

悠佑

ほら、先に到着報告行かなくていいん?

ないこ

あー、言ってくる………

ないくんは、浮かない顔をして下へ降りていった。

ないこ

すぅー………………

ないこ

……………ふぅ

深呼吸をし、意を決して門の鐘を鳴らした。

…………前まではこんな緊張すること無かったのだが、

何しろテスト後の俺の騒動の根本は………

紛れも無い、俺の、兄に対する嫉妬心だったから。

会うのには、少し勇気が必要だった。

ないこ

(…………大丈夫、)

ないこ

(皆がいる)

使用人

ないこ様、お帰りなさいませ
無事に帰ってきて下さり何よりです

ないこ

…………うん、ありがとう

ないこ

今、家には誰がいる?

使用人

お父様も、お母様も、お兄様も、いらっしゃいますよ

使用人

ないこ様がご友人を連れてこられるということで

ないこ

……………そっか

ないこ

(………………兄さん、居るのか)

ないこ

兄さん、忙しいんじゃないの?

兄さんは、“魔法医術士”。

一流の魔法使いだけが就くことの出来る、

最高難度の職業。

その難易度故に人手不足が深刻だと耳にしたが。

使用人

今日だけ時間を空けてくださったそうです

ないこ

そ…………なの

使用人

ご友人の方々はどこにいらっしゃるのですか?

ないこ

すぐそこだよ、呼んでいい?

使用人

はい、勿論です

……………どことなく、言葉はぎこちなくなってしまった。

ないこ

皆ー!

ないこ

降りてきてー!

一体一の空間から解放され、少しだけ。

安心する自分がいた。

初兎

広い!

初兎

デカい!

初兎

豪邸ッッッ!!

ないこ

初兎ちゃん静かにしてよ………

りうら

ほぇ〜………すごいなぁ

悠佑

りうら、立ち止まってる場合ちゃうで

ないこ

そんな珍しいかな…………?

感嘆の声を上げるりうらと初兎ちゃん。

アニキは…………

流石、王国騎士の家系の生まれだけある。

少しも動揺していない。

使用人

ないこ様、お食事の準備ができましたので、
広間まで来ていただいてもよろしいでしょうか

ないこ

あ………うん、

初兎

すっげぇ、メイドや、メイド

初兎

執事もおるで

初兎

あれやな、“爺や”ってやつやな

ないこ

初兎ちゃんちょっとは黙れないの???

りうら

ご飯って広間で食べるの?

ないこ

うん、今日は多分フルコースかな…………

悠佑

豪勢やな

りうら

フルコースって?

ないこ

んー?

ないこ

西欧料理の正式な出し方のこと

ないこ

前菜、スープ、魚料理、肉料理、ソルベ、ローストの肉料理、生野菜、甘味、果物、コーヒー

ないこ

基本的にこの順だけど、

ないこ

花の国ではコーヒーを紅茶として出すことが多いかな

りうら

へー…………

りうら

よくわかんないけど高級ってことはわかったよ

ないこ

まぁ特に気にしないで食べていいよ

初兎

僕食ったことないわ

初兎

聞いた事だけあるけど一生口にせぇへんやろなぁと思ってた

悠佑

ぶっちゃけ俺もわからんから大丈夫や

ないこ

行こっか

ないこ

広間はこの廊下を右に曲がってそっから左、

ないこ

そしたら右手にトイレ見えるから、その奥の中庭を通って………

初兎

いい、いい!わからん!

りうら

ないくん案内してよ

ないこ

えぇ〜?

広間に近づくにつれて、

ないくんは酷く引きつった顔を浮かべていた。

…………緊張か、

もしくは、お兄さんへのトラウマか。

恐らく、どちらかだろうということだけ分かった。

悠佑

…………ないこ、お前顔真っ青

悠佑

大丈夫か?

ないこ

……………うん、大丈夫

悠佑

なわけないやろ、

ないこ

大丈夫ったら大丈夫

ないこ

ほら、行こ

ないくんは、平然を装い、震えた手で俺らを引っ張る。

冷たい。冷や汗までかいている。

体調が悪いのは明らかだったが、 もう誰もそれについては言及しなかった。

とある魔法使い達

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コメント

10

ユーザー

投稿ありがとですっ!✨ じーやw

ユーザー

コメント失礼いたします! 投稿ありがとうございます!!♡(´˘`๑) 4番さん心配だな…がんばれ!!

ユーザー

投稿お疲れ様です!!! 忙しい中ありがとうございますッ!! 感情の表現上手すぎますよ、 表現が1つ1つ丁寧なので 文章を読み取るのが苦手な 私でもめっちゃわかりやすく ストーリーを読んでる時 話の世界に入りこめます…、 尊敬です…、 続きも頑張ってください!!

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