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闘病生活が続く中で、愁斗の体調には少しずつ安定の兆しが見え始めていた。

病院の白い天井を見つめながら、彼の心に新たな光が差し込んでいく。

治療は辛かった。

副作用で食欲が落ち、髪は抜け、体は思うように動かない日々。

それでも愁斗は諦めなかった。

毎朝、幸輝の笑顔が彼を支えていた。

ある日、医師から

「腫瘍が縮小している」

という朗報が告げられた。

その瞬間、愁斗の目に涙があふれた。

愁斗

こーき.....俺、また歩けるかも

幸輝

うん、絶対また一緒に歩こうな

二人は約束を交わし、これからの未来に向けて力を合わせることを誓った。

リハビリが始まり、愁斗はゆっくりと体を動かす練習を繰り返した。

痛みや疲れに耐えながらも、一歩ずつ前に進む日々。

幸輝は常に隣で励まし、時には愁斗の弱さに寄り添いながら支え続けた。

幸輝

しゅーと、もう少しやで。
無理せんと、ゆっくりでええ

愁斗

ありがとう、こーきがいるから頑張れる

少しずつ動けるようになった愁斗は、次第に外の世界を恋しく思うようになった

窓の外の青空、学校の校庭、友達の笑い声.....。

それらが彼の心に温かい記憶と希望を与えた。

そして、医師から退院の許可が下りる日が訪れた。

愁斗は不安と期待の入り混じる胸の高鳴りを感じながら、幸輝とともに新たな一歩を踏み出す準備を始めた。

愁斗

これからまた、普通の生活に戻るんだ

幸輝

うん、一緒に頑張ろう

二人の瞳には、確かな未来への光が宿っていた。

退院の日、愁斗は病院の玄関で立ち止まり、深く空気を吸い込んだ。

肌に触れる風のやわらかさ、 外の世界の音――

それら全てが、久しぶりに感じる“自由”の象徴だった。

幸輝は、そんな愁斗の隣で荷物を持ちながら、ゆっくりと微笑む。

幸輝

ようやく、帰ってこれたな

愁斗

...うん、ただいま

帰り道はゆっくり歩いた。

途中のコンビニの前、季節の花が咲く歩道、公園のベンチ……すべてが、変わらずそこにあった。

2人が住む家は、温もりに満ちていた。

玄関を開けた瞬間、ほのかに漂う洗剤の香りと、木の匂いが、愁斗の胸をじんわりと満たす。

幸輝

おかえり、しゅーと

愁斗

.....ただいま、こーき

それからの日々は、穏やかで静かだった

朝はゆっくり起きて、幸輝が用意してくれたお粥やスープを食べる。

テレビからはニュースが流れ、時折鳴るスマホの通知音が、ふたりの時間にやさしく混ざる。

愁斗の体力は、まだ万全ではなかった

階段を上るのもやっとで、食事の途中で疲れてしまうこともあった。

それでも、家の中にいるだけで、少しずつ笑顔を取り戻していった。

愁斗

こーき、俺、ちょっと庭出てみる

幸輝

寒ない?上着着てってな

愁斗

うん、ありがと

小さな庭に出ると、空が広がっていた。

陽だまりの中で風に吹かれながらまったりする時間は、どんな薬よりも心を癒してくれた。

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