叶
叶
そう言いながら 君の手をにぎるんだけど
やっぱり反応はなくて
君の手には 包帯がぐるぐる巻きなせいで 肌の温かさは感じない
僕はまた涙を零した
ふと携帯の画面を見る
LINEの通知来てる…
不破湊 : ご飯、持って行こうか?
僕はいらないとだけ 返してスマホの電源を切る
真っ暗な画面に泣いて腫れた目と目の下の濃いクマと笑顔の作り方すら分からなくなった自分が映った
見たくなかった自分なんて
携帯を放り投げて顔を伏せる
誰かとの会話すらも憂鬱になった
寝れなくなった
ご飯は喉を通らなくなった
食べると気持ち悪くなる しまいには吐いてしまう
医者からは鬱だと言われた
今の僕を君が見たら
何を思うだろう__。
叶
そう思っても空桜は起きなくて
寝れない夜が過ぎてまた明日が来る
スマホのLINE画面を開いて
返事が来るのを待った
『いらない』
の文字が浮かんでくる
俺は返信をしようと思った
『ちゃんと食べないといけな』
までうったけど
俺は考え直して
結局文字を消した
いまはそっとしておいてあげよう
俺はホスト衣装を脱ぎにいくために更衣室に向かう
今日の仕事は終わり
腕時計を見た
昨日にとっての明日 今日になっている
帰らなきゃ。
帰っても
空桜の
『おかえり』
はもう帰ってこないんだよなぁ、w
明那とまゆ ちゃんと飯食べたかな
魂が抜けたように自室に籠るみんなと病院に入り浸る叶さん
他のみんなの分も
不破湊
寝れない夜は
もう明けたんだから__。
私は空桜ちゃんとの 写真をスマホで眺めながら
深い深い溜息をついた
星川サラ
空桜ちゃんが誘拐されたあの日
私が家に居れば誘拐を 防げたんじゃないか
私があの夜もっと速く駆けつけていたら怪我も少しで済んだんじゃないか
考えれば考えるほど
自分が悪いような気がして どんどん苦しくなる
コンコンというノックの後
ふわっちが
『飯、ドアの前に置いとくから』
と扉越しに話しかけてきた
私は
星川サラ
とだけ答えて
ふわっちの足音が 遠くへ行くのを待った
きっと他の人にもこうやってご飯を渡しに行くのだろう
申し訳ないなぁ、、
扉を開けてご飯をとる
食欲がないことをわかって うどんを作ってくれている
ふぅー、ふぅーと 冷まして
するっと口に入れる
舌に温かさがジーンと伝わって
泣きそうになった
ふわっちに全部任せて
自分は悲しみから部屋にこもって 仕事もしずに
病院にだって顔を出していない
ふわっちだってあの場に居合わせたのだから私より悲しいはずなのに
あんなにみんなのために 頑張ってくれている
なのに、私は
星川サラ
夜じゃなくて朝
A.M.1:30
遅めの晩ご飯 早めの朝ご飯
ねぇ、空桜ちゃん
私貴方が居ないと
人生楽しくないや。____
ごちそうさま。
私が食べ終わったのは
うどんじゃなくて
貴方が居ないことへの憂鬱
星川サラ
俺はみんなで住んでいる この家の屋上で
遠くの空を、月を、星を、
見つめていた
肌寒いぐらいのちょうどいい気温
しかも満月
死んだらあの星になるのだろうか
みたいな馬鹿げたことを考えて
1人で自分を嘲笑った
契約したものの
一命を取り留めただけで
まだ本当に生き続けられるかはわからないと医者から言われた
最初はあのヤブ医者、嘘つき
と文句を言っていたものの
今にも起きそうな君の
目を覚さないことを 目の当たりにして
俺は理解した
嗚呼、あの医者 本当のことを言っていたんだって
だけど信じたくない
こういうところが俺の長所でもあり短所でもあるよって
空桜が言ってたっけ。
朝日が少しずつ昇って
月が少しずつ消えてゆく
叶の心が鬱になった時 俺は何もしてやれなかった
実際今もそうだ
そばにいることぐらいでも してやればいいのに
俺はずっと部屋のベッドで 一日を越す
本当に頼りない相方だよなぁ
『葛葉は僕の1番の愛方』
ふと叶の言葉を思い出した
葛葉
今はそれが俺の出来る精一杯のことだ
仕事も飯も手をつけられなくなった馬鹿な俺でも
少しは進めたでしょうか?___
葛葉
コメント
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それぞれの視点で描かれていてとても感動します!
ガチ泣くんだが……
ガチで泣いちゃう 夢小説で泣いたことないのに( ;∀;)