正志
正志
一人孤独にパソコンで求人サイトをみている男がいた
ポチッ ポチポチ
正志
正志
正志
求人情報
深夜営業レンタルルーム施設 フロントスタッフ募集!
勤務地 : 〇〇市〇〇区 (最寄り駅から徒歩5分)
勤務時間 : 22:00〜翌5:00 (シフト制、週2日〜OK)
給与 : 時給〇〇円〜 (深夜手当含む)
業務内容 ・フロントでの受付業務 ・電話対応 ・施設の簡単な清掃 ・防犯カメラのモニターチェック ・貸出備品の管理 ・ ・
正志
正志
レンタルルーム施設のフロントに立った初夜
22時少し前、制服に着替えた彼は、 先輩スタッフの案内でカウンターの内側に立った
初めての職場特有の緊張感が、じんわりと体を包む
坂本
そう言ったのは、女性の社員の 坂本だ
柔らかい笑顔で、手際よくカウンターの設備を説明していく
正志
それからチェックインの流れ、カウンターに置かれた端末、電話対応、清掃手順、防犯カメラのチェック、貸出備品の管理について教えられた
坂本
坂本
坂本
坂本
正志
坂本
坂本はふと真剣な顔つきになり、声を潜めた
正志
坂本
正志
正志
正志
ドッペルゲンガー
ここの施設で何度か目撃されているのだそうだ
人間の姿をコピーして本人に成り代わる存在の総称
ドッペルゲンガーなんて架空の存在だと思っていたから初めて聞いたときは驚いたし・・
この仕事の時給が高いことの訳が分かった
坂本
坂本
正志
正志
坂本
坂本
坂本
坂本
坂本
坂本
坂本
坂本
坂本
正志
その後、ドッペルゲンガーに遭遇した時、どう行動すればいいかの説明と・・
過去のドッペルゲンガーが関わった事件について詳細を聞かされた
坂本
坂本
坂本
坂本
坂本の優しい言葉に正志は深く息を吸い込んだ
こうして、彼の初めての夜勤が静かに幕を開けた
正志
アルバイトを始めて3ヶ月が経った
仕事にも慣れ、上の者からも「ここまで長く続けられるのは凄い」等、褒められたこともあった
ひたすら立ってるせいで足が疲れる
正志
正志
正志
正志
正志はそんなことを考えながら、監視カメラのモニターを見てみる
正志
正志は細心の注意を払いながらドッペルゲンガーがいるかどうかを確認しながら、務めていた
正志
正志
精神に結構きやがる
正志
と、カウンターの下にある赤いボタンを見ながら言った
ドッペルゲンガーに遭遇したらこの"ボタン"を押してすぐに逃げてくれと言われてある
上の者に押したらどうなるかについては聞いてみたが、教えてくれなかった
何か教えちゃいけない理由でもあるのかと思ったから、あんまり深くは追及するのはやめといた
次の日、正志が出勤すると坂本から声をかけられた
坂本
正志
そう言いながら、正志はシフト表を確認した
そこにはいつも見る名前の他に、「渡辺凛」「渡邉蓮」という名前が加えられていた
正志
正志
正志
正志
正志
正志
坂本 洋子 〇 神田 正志 〇 渡邉 蓮 〇
正志
最初の30分は特に変わったこともなく、常連の客の対応をしながら時間が過ぎた
坂本
坂本
正志
坂本さんが奥に行ったのを確認してから2分後…
ガチャ
扉が開き、1人の男がやってきた
制服は着ているが、どこか不慣れな様子で辺りを見回している
わたなべ
わたなべ
わたなべ
正志
正志
正志
わたなべ
正志
正志
わたなべ
正志
わたなべ
わたなべ
わたなべ
正志
ガチャ
正志
3分後…
ガチャ
正志
扉の開いた音がした方を見ると…
女性が1人いた
???
渡邉 蓮??
は?
正志
渡邉 蓮??
おかしい
"渡邉 蓮"は既に来ている
頭の中で警鐘が鳴る
正志
ドッペルゲンガー??
正志は震える手でカウンター下にある赤いボタンを触れようとした
ヌルッ…
渡邉 蓮??
正志は反射的に身を沈めた
シュン
直後、重たい鈍器が空を切り、耳元で鈍い風切り音が響いた
正志
正志は咄嗟に距離を取る
振り返るとそこに立っていたのは制服姿の"渡辺 凛"だった
正志
渡邉 蓮
その表情はどこか歪み始め、人間の模倣に失敗したかのような不気味さを孕み始めた
正志
正志
スー
ズゾゾ
ドッペルゲンガーは無言のまま、ゆっくりと正志に歩み寄る
渡邉 蓮
その瞬間、背後から震える声が聞こえた
正志
正志は手を引き、施設の出口へと走り出した
ヌルッ
ヌワン
ヌル
ヌァン
ゾゾッ
ゾゾゾゾ
しかし、背後から影のように迫るドッペルゲンガーの速度は恐ろしいほど速かった
正志
渡邉 蓮
正志
蓮は一瞬躊躇したが、正志の真剣な眼差しと声に押され、出口へ向かって走り出す
正志
正志はカッターナイフを握りしめ、迫ってくるドッペルゲンガーに立ち向かう
正志
正志
俺、アルバイトやぞおおおお!!!
ドッペルゲンガーも駆け寄ると、再び鈍器を振り上げた
正志
今度は、真正面から右に避ける
そのまま正志は反撃に転じ、相手の懐へと踏み込み、刃先を射し込もうとする
ヌルッ
が、ドッペルゲンガーは人間とは思えない異様な柔軟性で身をしならせ、かわす
は?
ドッペルゲンガーの顔が不気味に歪み、伸ばした腕から鈍器を振り下ろす
ポタッ…
ポタッ…
正志の額から血が床に滴り落ちる
正志
駄目だ
このままじゃ持たない
何か
使えるものは…!
周囲を見渡すと、視界の端に消火器が目に入った
正志
素早く消火器に手を伸ばし、勢いよくピンを引き抜く
白い煙がドッペルゲンガーの視界を覆い、動きを鈍らせた
タッ!タッ!タッ!
正志
正志
バタッ
正志
正志
あの後、初めて目を覚ましたのは、病院のベッドの上だった
渡邉 蓮さんが警察と救急車を呼んでくれたらしい
今だから分かるが、消火器を使った後、俺はその場でぶっ倒れたらしい
ドッペルゲンガーは何処かへ行って行方が分からないらしい
ただ、ショッキングな出来事として…
坂本さんは施設の倉庫で遺体となって発見されて…
渡辺 凛の遺体が自宅で見つかったことだ
それでも、不幸中の幸いとして、渡邉 蓮さんと俺は無事だった
正志
アルバイトはもう既に辞めてる
正志
正志
スッ…
通帳を取り出し…
正志
正志
正志
今でもあの姿を思い出すと、ゾッと背筋が凍ってしまう