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おとぎ。

第22話 - アイを告げる華言葉 9

2023年06月22日

#青春恋愛

#ホラー

#一次創作

#ミステリー

#感動

#切ない

R e g e n *☂︎*̣

愛白

（もう少しかかりそうかな？）

愛白

（イヴィさん何してるんだろう…）

愛白

（…）

────可哀想に

愛白

！

愛白

また、声…？

ｸｽｸｽ

棄てられたのね

クスクス

愛白

（え…）

愛白

（知らない人…っ！？）

愛白

な、何のこと…ですか…っ！？

─そんなのだから

──愛されないのね

愛白

っ…

可哀想に

安心なさい、ここに地獄はありませんよ

思い出さなくて良いの

──お姉ちゃん、大丈夫？

愛白

ひっ…！

愛白

さっ、触らないでっ…！！

タッタッタッ…

…？

あの子、大丈夫かしら？

急に叫び出して、ねぇ…

…

イヴィ

お待たせしました────

イヴィ

…？

イヴィ

愛白さん？

タッタッタッ…

愛白

はぁっ…はぁ…！！

愛白

っ…

愛白

どうして…何で…っ…！

愛白

（なんで、そんなこと、｢知ってる｣の…っ）

愛白

…！

愛白

（知ってる…？）

愛白

（え、なら…）

愛白

（あの人達が言っていたことって───）

───愛白様！

愛白

っ！？

ご安心ください！

クルエダ

私でございます…！

愛白

クルエダ、さん…？

クルエダ

…そんな……

クルエダ

…さぞ傷つかれたでしょう

クルエダ

どなたに、その様なことを…？

愛白

い、色んな人です…

愛白

……子供も、いました…っ

クルエダ

……子供も…？！

愛白

うぅ……どうして、私が…！

クルエダ

…

クルエダ

愛白様、少し落ち着かれる場所に移動しましょう

クルエダ

…ここでは身体が凍えてしまいます

愛白

っでも、人が……

クルエダ

この近くに、私の家がございます

クルエダ

今は誰も居ないので

クルエダ

そこへ移動しましょう

愛白

はい…あ、ありがとうございます…

タッタッタッ…ッ！

──ガシッ

──ちょぉっと、待ったっ！！

愛白

っえ…！？

クルエダ

？！

失礼、この子に言ったのさ

愛白

…！

愛白

…｢アネモ｣さん…？！

アネモ

如何にも！

愛白

ど、どうして…

アネモ

…とその前に……

愛白

…？

愛白

（耳栓？）

アネモ

これ付けて、目を瞑ってて

アネモ

それで、僕の後ろにいてね

アネモ

終わったら肩たたくよ

愛白

え、あ……は、はい…？？！

愛白

（ど、どういう、ことだろう…）

クルエダ

…

クルエダ

──その方は、お身体の調子が優れないとの事で

クルエダ

自宅で療養させていただこうと思いまして

クルエダ

…勿論、ご本人の合意も受けております

クルエダ

ですので、早めにお連れしたいのですが？

クルエダ

…｢アネモ｣様

アネモ

──嫌だね

アネモ

それは、本当に合意だったのかい？

アネモ

…｢クルエダ｣？

クルエダ

本当に、とは…？

クルエダ

私を見られて

クルエダ

｢はい｣とおっしゃっておりましたよ

アネモ

…その瞳

アネモ

──｢虚ろ｣じゃなかったかい？

クルエダ

えぇ…と…

クルエダ

何をおっしゃるのですか？

アネモ

まぁ、つまりは……

アネモ

早く｢治さ｣なければならないということさ

アネモ

僕らの研究所の方が、クルエダの家より近いからね

アネモ

それに───

アネモ

｢大通り｣を通るからね

クルエダ

…！

クルエダ

大通りは、大丈夫なのですか…？

アネモ

耳栓もあるし、目を瞑ってもらっているよ

クルエダ

─かしこまりました

クルエダ

その様な事でしたら、お任せします

クルエダ

……愛白様、お大事になさってください

クルエダ

アネモ様も、お元気で

アネモ

あぁ、そちらもね

愛白

（……何話してるんだろう？）

愛白

（っと……？？）

愛白

お、終わりましたか……？？

アネモ

…そっか、耳栓してたんだったね

アネモ

んー、と……

アネモ

一瞬ならいいかな…

愛白

わっ？！

アネモ

手、握っててね

愛白

？？？

アネモ

で、早く耳栓つけて

愛白

は、はいっ……？！

イヴィ

…ここが、研究所、なのですね

ケイド

あぁ、凄いだろう

イヴィ

本日は連絡に応じていただきありがとうございます

ケイド

何、問題は無い

イヴィ

……それで、愛白さんはどちらでしょうか？？

ケイド

そろそろ、アネモが｢連れて帰ってくる｣はずだ

イヴィ

アネモ様、ですか

ケイド

…アネモは、私の助手である

ケイド

優秀な人間だ

カチャッ……

パタン

アネモ

──ケイドさん！

ケイド

話をすれば、だな

イヴィ

！

イヴィ

愛白さん！

アネモ

お、君がイヴィ君！

イヴィ

……お初にお目にかかります

イヴィ

それで、愛白さんはどういう状態なのですか？

ケイド

ふむ、少し時系列を整理したい

ケイド

ウォッチ君、経緯を話してくれないだろうか

イヴィ

…わかりました

イヴィ

…愛白さん…？

イヴィ

（待ってておくように言ったはずなのですが…）

イヴィ

（やむを得ない事情があった？）

イヴィ

（……いえ、周りの人の顔色を見るに…）

イヴィ

…もし、そこの方

！

イヴィ様！

さっきの人はお連れですか？

イヴィ

さっきの人、とは…？

なんだか、様子が変でした

イヴィ

様子、ですか……

はい

｢急に僕たちを見て、怯えだした｣んです

終いには、泣きながら向こうへ……

イヴィ

特徴は分かりますか？

あ、はい！

えぇっと、薄手のコートを着た、女の子でした

イヴィ

！

イヴィ

（やはり、愛白さんですか…）

イヴィ

…情報の提供ありがとうございます

はい、お役に立てたのなら何よりです！

イヴィ

…とりあえず、向かわなければ…

ドンッ

イヴィ

！

イヴィ

すみません、大丈夫ですか！

────おや

｢ウォッチ｣君ではないか

イヴィ

……え

待ち合わせの時間になっても来ない故、迎えに来たのだよ

イヴィ

…ケイド様、でしょうか？

ケイド

如何にも

ケイド

私はケイドだ

ケイド

初めましてであるな

イヴィ

こちらこそ、お初にお目にかかります

イヴィ

イヴィ･ウォッチです

ケイド

何故遅れたのだ？

イヴィ

申し訳ないです…

イヴィ

こちらで問題が発生していまして

ケイド

琴宮君が、パニックをおこして…

ケイド

走り去って言ったのだな？

イヴィ

……え、何故それを…

ケイド

安心しなさい

ケイド

私の助手が追いかけていった

イヴィ

…私も向かったら駄目なのですか？

ケイド

…そうだな

ケイド

｢彼奴｣に対抗できるのは助手だけであるからな

イヴィ

彼奴…ですか

ケイド

…とりあえず、我々は研究所に行こう

イヴィ

ですが…大丈夫なのですか？

ケイド

問題無い

ケイド

きっと上手くやってくれるさ

イヴィ

…という訳で、ケイド様と合流し、アネモ様を待っていました

ケイド

なるほど…

ケイド

では、アネモは？

アネモ

えーと、僕はですね…────

アネモ

イヴィ君、遅いですねー

ケイド

…何をやっているのだろうか

アネモ

──…そうは言っても

アネモ

ちゃっかり迎えに行っちゃうケイドさん

アネモ

過保護ですね！

ケイド

……

アネモ

（あれっ、えっ、無視かあ）

ケイド

静かにっ……！

アネモ

えっ？

ケイド

((琴宮君だ))

アネモ

((愛白ちゃん？))

アネモ

((なんで行かないんですか？))

ケイド

((今行ったら、逆効果であるからだ))

アネモ

……？？

アネモ

！！

アネモ

((あれは、Phantomの症状ですか…！？))

ケイド

((……うむ))

アネモ

((なるほど、だから逆効果…))

ケイド

……

アネモ

…

ケイド

…行ったな

アネモ

でも、どうします？

アネモ

イヴィ君まだ病院の中でしょ？

ケイド

…分かった

ケイド

アネモ、お前は琴宮君を追いかけなさい

アネモ

っえ？

アネモ

僕ですか？

アネモ

そういうの、ケイドさんがいっちゃん適任何じゃ……

ケイド

私では色々複雑になる

ケイド

万が一の時にも、助手であるお前が行くべきなのだよ

アネモ

（…保身じゃないか）

アネモ

まぁ、いいですよ

ケイド

あぁ、それと…

ケイド

これを着ていけ

アネモ

これは…フード？

ケイド

それと、この耳栓も…

ケイド

────Phantomの症状が発生する主な条件は

ケイド

｢相手の顔が見える、声が聞こえる｣ことだ

ケイド

長時間も幻覚、幻聴が続いた場合、人はどうなるのだろうな

アネモ

！

アネモ

分かりました、行ってきます！

アネモ

……

アネモ

（後追ってきたけど）

アネモ

（何処だろう？）

愛白

……はぁっ…はぁ……！！

愛白

…やだ……怖い…っ！！

アネモ

あ！

アネモ

愛白ちゃ……──────

｢愛白様！！！｣

アネモ

っ？！

アネモ

（だ、誰なんだ…？）

｢ご…くださ…｣

｢私で……ござ…す……！！｣

アネモ

…これは…

アネモ

｢クルエダ｣…なのかい…？

アネモ

（しまったな、どのタイミングで渡すか……）

アネモ

（愛白ちゃんがまたパニックになっても困るし……）

アネモ

……

アネモ

…

アネモ

…？

アネモ

（…パニックになってない……？）

アネモ

（発作が落ち着いた？）

アネモ

…いや…もしかして……

アネモ

……

アネモ

（暫く待ってみようか…）

｢この近……家……います｣

｢……移…しま……う｣

アネモ

！

アネモ

（連れてかれたらマズい……！）

アネモ

ちょぉっと、待った！！！！

愛白

…っえ？！

クルエダ

！？

アネモ

失礼、この子に言ったのさ

愛白

…！

愛白

…｢アネモ｣さん……？！

アネモ

如何にも！

愛白

ど、どうして…

アネモ

…と、その前に……

愛白

…？

アネモ

（早く耳栓つけてもらおう……）

イヴィ

…なるほど、それで今に至る、と……

アネモ

うん

アネモ

ってか、ケイドさん

ケイド

何だね

アネモ

早く｢解呪｣しないと

ケイド

そうであったな…

イヴィ

（解呪……）

イヴィ

（Phantom……）

イヴィ

っあ…えっ……

イヴィ

要は……呪いにかかってたんですね……？！

ケイド

そうだな

ケイド

何らかの原因で、かかってしまったのだろう

イヴィ

…そうなのですね

アネモ

…

アネモ

よし、出来た

アネモ

一時的には外して大丈夫なんですね？

ケイド

あぁ

アネモ

よし…

愛白

（耳栓つけてるから何も聞こえないし……）

愛白

（目を瞑ってるから何も見えない…）

愛白

（私ずっとこのままなのかな……）

トントン

愛白

！

愛白

っ……

愛白

（うぅ、眩しい…）

アネモ

愛白ちゃん、これ飲めるかい？

愛白

？

アネモ

あぁ、｢薬｣だよ、気にしないでおくれ

愛白

薬……！？

愛白

の、飲みますけど……その…

愛白

に、苦くないですか…？

アネモ

……ふ

愛白

？

アネモ

あっははは！

愛白

？！

アネモ

ここでの薬は甘いんだ

アネモ

まさか知らないとは思っていなくて！

愛白

あ、甘いんですか……

愛白

（甘いのか…やっぱ違うんだな…）

愛白

えっと、なら、飲みますね…？

ケイド

あぁ、安心するといい

愛白

（なんだろう、ミルクティーみたいな…？）

愛白

の、飲めました…！

イヴィ

……良かった…

愛白

…？

アネモ

甘かっただろう？

愛白

あ、はい…

愛白

なんか、ミルクティー…みたいな

アネモ

ふふ、そりゃあ

アネモ

｢ミルクティーに混ぜた｣からね

愛白

……え

アネモ

薬が甘いわけないだろう？

愛白

えっ、えっ

愛白

え、なら…

ケイド

アネモはずっと嘘をついていたのだよ

愛白

な、なんで…ですか……？

アネモ

苦い、という先入観は誰にでもあるからさ

アネモ

それに、｢一刻を争う状態｣だったからね

愛白

え…？

イヴィ

覚えていないのですか？

愛白

えっ…えっと……？

イヴィ

…ふむ

イヴィ

──順を追って、説明しましょうか

イヴィ

愛白さん、貴女は───

イヴィ

呪いに、かかっていたのです

おとぎ。

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