大橋side
大橋和也
目が覚めるとまた、朝がやってきた。
朝一番、俺は思わずため息をつく。
藤原丈一郎
あかんな、こんなんじゃ…。 丈くんに心配そうな顔させてもうた。
大橋和也
藤原丈一郎
みんな、大丈夫なわけがない。
それが分かっていながら、 丈くんは深く詮索してこない。
そんな不器用な丈くんの優しさを感じ、 俺は心を落ち着かせた。
西畑大吾
分かっているな?
大吾の目線がそう言っている。
そう。
これは、昨日、 俺たち年上組が決めたこと。
今日組むペアでは、 必ず俺たちがみっちーと謙杜を守る。
俺が今日やるべきことは、 たったそれだけ。
単純なことやけど、 簡単じゃない。
これは俺たちだけが知る、 3人の重大な役割。
西畑大吾
今日のペアを発表すんで?
大ちゃんがみっちーと謙杜を呼んで、 落ち着いた声で言った。
西畑大吾
俺、みっちーのペアで行く。
西畑大吾
絶対に、今日のゲームが終わっても誰も欠けへんために、一生懸命頑張ろな。
長尾謙杜
大ちゃんの真剣な姿勢に応える 謙杜は、いつもより少し小さくて、 コクコクと頷いている みっちーの表情も固い。
昨日、俺たちは、行動面、 気持ちの面ともにSixTONESさんに 助けられてばかりやった。
でも、今日からは違う。
自分たちのグループでペアを組んで、 お互い助け合いながら生きる。
人に頼ってばかりじゃいられない。
大橋和也
みんなで助かんで‼︎
そう思っていたら、 俺は無意識にみんなへ叫んでいた。
藤原丈一郎
それでこそ大橋や!
西畑大吾
長尾謙杜
道枝駿佑
田中side
大橋和也
みんなで助かんで‼︎
遠くで、大橋たちの声が聞こえる。
あいつら、意外と大丈夫そうだな。
って、大丈夫じゃないのは 俺らの方か…。
田中樹
気づけば、ギリっと 奥歯を噛み締めていた。
無意識に握り込んだ拳には、 長い爪が深く突き刺さり ジンジンと痛んでいる。
でも、そんなこと 全く気にならなかった。
ジェシー。
お前はもっと、 痛くて苦しい思いをしたんだよな…。
助けてやれなくてごめんな。
変わってやれなくて、ごめん。
松村北斗
田中樹
北斗の気遣うような声で、 俺は我に帰った。
田中樹
松村北斗
大丈夫、大丈夫…。
優しく俺の背中を叩く北斗の 大きくて温かい左手が、 凝り固まっていた 心を優しく溶かしていく。
田中樹
松村北斗
言葉数は少ないけれど、誰よりも周りの変化に敏感な北斗は、近いうちに みんなの心の拠り所になるだろう。
もしそうなった時ー。
繊細な北斗が壊れてしまわないように。
俺が最後まで北斗を守り抜く。
北斗に肩を抱かれながら、 俺は1人そう誓った。