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半年前…
ピュヴル
俺は今日から異世界を探索する。スライブ王国に貯蔵してあるマナバッテリーを数個使えば簡単に異世界に行けるらしい。
ここに来た目的、それは突然消えたザフィーアを探すこと。そして、ここの人間を殺してまた一段と強くなるためだ。
ザフィーアは良いライバルであり、良い遊び相手だった。だが、もうそんな邪魔な感情を抱く必要はなくなった。ただ今はザフィーアを探し出し…取り戻すことが任務だ。
ベタ
急に横から嫌になるほど聞いた声がした。当たり前のようにそこにいたのは…
ピュヴル
ベタ
ピュヴル
ベタ
ピュヴル
こいつはベタ。ベタベタとどこまでもくっついてくるストーカーだ。
興味の無いことにはとことん興味が無いし、めんどくさがり屋だ。だが認めたくはないが俺よりも強い。
気づいたら後ろにいることが多い。
ベタ
ピュヴル
西の魔王、ルカに刻印を刻まれると、正式に西の魔王の仲間となれる。潜在能力を引き出し、眠っていた特殊能力を発現することが出来る。
俺だったらこの触手の能力。殺傷能力が上昇したり、様々な能力に目覚める。
だが、もちろんデメリットもある。ルカにいきなり呼び出されたり、平日は魔物や人間を殺さないといけない。ルカは魚人を救いたい一心で活動している。
なんせ、今の魚人族には人権なんてものは無い。全てはスライブ王国のせいでな。
ベタ
ピュヴル
ルカが望むのは魚人族だけの世界だ。それを実現するためなら俺も努力を惜しまない。
ピュヴル
ベタ
ベタ
魔物
ピュヴル
ベタ
ピュヴル
ベタ
ベタ
そう言い残すとベタはローラースケートですいすいと離れていった。
ピュヴル
ステルス魔法を発動し、そこら辺を歩いている人間達に粘液を付けていく。
一応、ここでも1日のノルマは達成しないといけない。
面倒だが、ルカに叱られたくはないからな。
魔力が少ない世界というのはこんなにも静かで、平和な世界なのか。…まあ、ベタは今日中に帰らせるとして…
ふと、マナバッテリーを見てみると帰る分のバッテリー残量がなくなっていた。
ピュヴル
様々な不安が俺を襲った。
ベタ
ピュヴル
全てはベタのせいだった…俺が元の世界に戻れなくなったのも。
ピュヴル
ベタ
ベタ
ピュヴル
まずいことになってしまった。
俺は元の世界に戻れないのか…?
ピュヴル
ベタ
当たり前のように後ろから話しかけてきたベタにはもう慣れてしまった。
ピュヴル
ベタ
ピュヴル
ベタ
ベタ
ベタは空のマナバッテリーに魔力を注ぎ始めた。底にエネルギーが少し溜まったようだ。
ピュヴル
ベタ
ピュヴル
ベタ
ベタ
ピュヴル
ベタ
ベタ
ピュヴル
ベタ
ベタ
ピュヴル
ベタ
スライブ王国…数ある王国の中でも異質な王国だ。1番普通な王国だと思われがちだが…技術がずば抜けている。
ベタ
ベタは何も考えず生きている…というよりかは他人に全てを任せている。そのせいで俺は今こんなに苦労しているんだがな。
ピュヴル
ベタ
ラーメンというのを啜ると意外に美味しいものだった。異世界の食べ物もまあ悪くはない。
ピュヴル
ベタ
魔物
ピュヴル
粘液はもう絞め殺すのも面倒になった時にも便利だ。
魔物
10分後、粘液を付けた魔物達が次々と溶けていった。原型も残っていない。
ベタ
ピュヴル
ピュヴル
餅の魔物
ベタ
ピュヴル
ピュヴル
ベタ
ベタ
そのつまらない考察を流して、俺は餅の魔物に突っ込んで行った。
右腕を触手にし、鞭のように振るったが…全く効いていない。
相性が悪すぎる…
気がつくと腕が餅に取り込まれていた。
ピュヴル
ベタ
ピュヴル
ベタ
ピュヴル
ベタ
ベタが息を吐くと周りには泡のようなカッターが現れ、それは器用に俺を避けて餅の魔物を貫通していく。
餅の魔物
ベタ
ピュヴル
ベタは飛んできた餅の魔物の一欠片を食べた。
ベタ
くい込んでいた腕は簡単に抜けるほど餅の魔物は細切れになっていた。
餅の魔物
ベタ
ピュヴル
ベタ
餅はもう塵となっていた。
ベタの強さは破格だ。能力の汎用性、火力共に優秀で、大体なんでも出来る。ルカの仲間になる前からその力を扱っていたらしい。
…俺はこいつの過去を全く知らない。こんなにも引っ付いて来ているというのに、自分から何かを明かすということをしない。
物理的な距離は近いが、心の距離は遠い。お互い深い部分には触れない。
ベタは俺の思っているよりも繊細なのかもしれないと最近は思っている。
ピュヴル
ベタ
ベタは眼鏡を投げ捨ててベッドに沈んだ。
ピュヴル
床に落ちた眼鏡を広い、適当な所に置いた。
ベタ
なんだかんだ言って、俺はこいつに頼りきりだ。とは言え毎回計画外のことをしでかすのは許容範囲を超えている。
不満を心の中で吐きながらもマナバッテリーに今日の余った魔力を注ぎ、蓋を閉めた。
ベタ
ピュヴル
ベタ
ベタ
ベタはルカのお気に入りだ。ベタもまたルカに助けられたからか、シンプルに尊敬しているらしい。
ベタ
ピュヴル
ベタ
ベタは俺の話を聞かず、ずいずいと這い寄ってくる。あまりにも近いのでベタに背を向けて寝るが、もっとくっついてきた。
手を腰に回され、ベタの吐息が聞きたくなくても聞こえてしまう。
ベタ
ピュヴル
ベタ
ピュヴル
こいつとは長年の付き合いではあるものの、変な関係でもある。相棒なのは間違いないが…
それであり友達のような、それ以上のような…
今から大体4年前。
ある日の朝。新人が入ってきたという話を耳にした。噂によるとかなりの強さを持っていながらも、美人だという。
その髪は特に綺麗らしい。
ベタ
ピュヴル
ルカ
ルカ
ルカ
扉がバタンと閉まると、沈黙の時間が続いた。
その長くて海のように青い髪と洗ったばかりの白衣。青い髪とは対照的な赤いマフラー。やる気のなさそうな目。俺とは真反対だ。
ベタ
ベタ
ベタ
ピュヴル
ベタ
ピュヴル
ベタ
ピュヴル
ベタ
ピュヴル
ベタ
ピュヴル
ベタ
ベタは俺の手を握り、微笑む。
ピュヴル
俺はその手を払い除け、部屋を出た。
ベタ
そこから何ヶ月か時が流れた。
こいつは化け物だ。機械よりも正確に獲物を捉えて確実に殺す。村を1個破壊するくらいなら余裕で出来るほどだ。
ベタ
ピュヴル
ベタ
ピュヴル
こう言ってやるとベタは喜んでやる気も向上する。利用価値のある奴は最大まで利用するのみだ。
いつものように船へ帰ろうと足を進めようとしたがベタは複雑そうな顔をしたままそこを動かない。
ベタ
ピュヴル
ベタ
ピュヴル
ベタ
ピュヴル
ベタ
ベタは複雑な顔をしながら俺に問いかけてくる。
ピュヴル
ベタ
ピュヴル
ベタ
ピュヴル
ベタ
ピュヴル
ベタの考えていることは全く理解できない。急に真剣な顔で変なことを言い出す。
今もこいつの真意は分からないままだ。
その日は船でパーティをやっていた。この辺りの人間を全員殺害した記念らしい。ルカはこういうパーティが好きだから、よく開かれる。
もちろん全員参加しなければならない、面倒なパーティだ。
クロン
クロン
ベタ
クロン
ベタ
アネモ
クロン
ピュヴル
ベタ
ピュヴル
ベタ
ピュヴル
この時点でこいつを止めておかなければいけなかった…
ベタ
案の定ベタは泥酔し、しょうがなくベタを引きずりながら部屋へ連れていった。
ピュヴル
ベタ
ピュヴル
ベタ
ピュヴル
ベタ
ベタ
ピュヴル
ベタはそう言い残して眠った。
その言葉が本心なのかは分からないが、俺にはその言葉がずっと心に残っている。
…俺もベタに似ているようで似ていない感情を抱くようになった。
ベタと危険な任務をこなしていく度、死と隣合わせの日々の中でベタに向ける気持ちはどこか歪なものになっていった。手離したくない。目の前から居なくならないでほしい。
この感情をなんと呼べばいいのだろうか。自分でも、自分の気持ちが分からない。
だが、もう言うタイミングを逃してしまった。今更こんなこと言ったって、軽くあしらわれるだけだろう。
そんな中途半端な関係は今も続いている。
ベタと出会ってもうすぐ4年が経つ、ここまで続いたのは初めての事だ。
だが、今回は話が違う。俺はベタから離れないといけない、何としてでも。
ベランダには煙草を吸うベタの姿がある。
ベタ
ピュヴル
ベタ
早朝から気だるそうに柵に重心を置きながらその辺をじとーっと見つめている。煙草の煙たい匂いが辺りに漂う。
はだけたシャツから見える項には目立った赤いルカの刻印が見える。
その綺麗で長い髪は朝の微風に揺れて、普段は隠れている片目が髪の間から見える。
ベタ
にやーっとした顔でこちらへ詰め寄ってきた。
ピュヴル
ベタは動揺したようで、持っている煙草を落としそうになった。
ベタ
ピュヴル
平常心を取り戻す為か、ベタはそっぽ向いてまた煙草を吸う。だが、その横顔は上機嫌そうだった。
ベタ
ピュヴル
お互い、一線を引いて相手の領域にはズカズカと入ってはいかない。それがいつの間にか出来た暗黙の了解。
だが、その線は時が経つにつれて段々と境界線が曖昧になっていった。
いつものように互いに咥えた煙草を近づけ、火のやりとりをする。
そんなどこか憂鬱で、冷めきった静かな朝。この世界でもそれは同じだった。