すまない先生
アリス先生
サリン先生
ここはすまない病棟3号室
ここでは先程一人の患者が空へ旅立った
ミーシャ
検査をすると心臓が突然止まり、心肺停止で死亡したらしい
この場にはまだ他の患者は来ていない
まだミーシャの「死」 を皆に知らせていないのだ
すまない先生
サリン先生
サリン先生
サリン先生
アリス先生
アリス、サリン、すまない先生の目からは大粒の涙が溢れる
すまない先生
アリス先生
すまない先生
サリン先生
そうやって3人が悲しみに暮れているとドアの付近から音がした
ガタンッ
サリン先生
すまない先生
アリス先生
マロ(花吐き病)
誰かが見ていたのだろう、この現場を
アリス先生
すまない先生
サリン先生
誰が見ていたかは直ぐに判明した
ドア付近にオレンジ色の花びらが落ちていたから
ここにはオレンジ色の花は咲いていない
だからその咲いていない色の花びらがあるということは誰かが作ったのだ
すまない先生
サリン先生
ここには花吐き病を患っているマロがいる
ミーシャの事が心配でここに来たのだろう
アリス先生
すまない先生
すまない先生
サリン先生
重苦しい静寂が部屋を包みむ
アリス先生
アリス先生
アリス先生はそう言って部屋を出ていった
アリス先生の目には涙が溜まっていたのはサリン先生もすまない先生も気づいていた
すまない先生
サリン先生
すまない先生
ミーシャの顔に白い布をそっと掛け、すまない先生とサリン先生は患者達の部屋へと向かっていった
病棟1号室 赤ちゃん
サリン先生
ドアを開けるとそこに赤ちゃんの姿はなかった
すまない先生
Mr.赤ちゃん(怪力病)
すまない先生が赤ちゃんの名前を呼ぶとそれに応答した赤ちゃんがベットの下からひょっこりと出てきた
すまない先生
Mr.赤ちゃん(怪力病)
赤ちゃんはニコニコと笑っている
Mr.赤ちゃん(怪力病)
Mr.赤ちゃん(怪力病)
サリン先生
この笑顔を訃報で壊したくないが、必ず言わないといけない事があるから言うしかない
すまない先生
Mr.赤ちゃん(怪力病)
すまない先生とサリン先生の真剣な眼差しに気づいたのか赤ちゃんの顔から笑顔が消えた
すまない先生
Mr.赤ちゃん(怪力病)
Mr.赤ちゃん(怪力病)
予想外の回答に、赤ちゃんはベットから身を乗り出してすまない先生に聞き返す
すまない先生
Mr.赤ちゃん(怪力病)
Mr.赤ちゃん(怪力病)
すまない先生
赤ちゃんの絶望した表情に耐えきれなくなったのかすまない先生は赤ちゃんから背を背けた
サリン先生
サリン先生
サリン先生
Mr.赤ちゃん(怪力病)
ポタッ、ポロッ
サリン先生
赤ちゃんの目から大粒の涙が溢れる
白かったシーツが涙で暗い白色に染まっていく
すまない先生
サリン先生
Mr.赤ちゃん(怪力病)
Mr.赤ちゃん(怪力病)
赤ちゃんは肩を震わせながら必死に喉から声を絞り出す
だがどうしても声が震えてしまう
すまない先生
サリン先生
サリン先生
Mr.赤ちゃん(怪力病)
2人は頬を伝う涙を拭い、1号室を後にした
……パタン
Mr.赤ちゃん(怪力病)
Mr.赤ちゃん(怪力病)
病室から先生達が居なくなると、赤ちゃんは頑張って堪えていた気持ちが抑えれなくなり、大声で泣き出した
Mr.赤ちゃん(怪力病)
赤ちゃんの脳内にミーシャとの記憶が溢れ出してくる
ミーシャと一緒に遊んだこと
ミーシャと一緒にご飯を食べたこと
ミーシャと…一緒に……
Mr.赤ちゃん(怪力病)
Mr.赤ちゃん(怪力病)
泣いてもミーシャが戻ることはないと分かっていたけれど赤ちゃんは何度も、何度もベットを叩きながら泣き続けた
Mr.赤ちゃん(怪力病)
1号室には赤ちゃんの泣き叫ぶ、悲痛な声が響き渡っていた
ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙!
すまない先生
サリン先生
1号室の壁に背をつけて赤ちゃんの声を聞いていたすまない先生とサリン先生の目からは再び涙が溢れた
悲痛な声が廊下にまで響き渡る
すまない先生
サリン先生
サリン先生
すまない先生
すまない先生
はぁ…とすまない先生は溜息をこぼす
サリン先生
すまない先生
すまない先生
サリン先生
サリン先生
すまない先生
そうしてすまない先生とサリン先生は悔しい気持ちと悲しい気持ちを心の奥にしまい、2号室へと向かっていった
2人はマロの部屋以外全ての部屋を回ってミーシャの訃報を伝えた
ノエルは手を口に当てて静かに涙を流した
ピクシーは衝撃のあまり言葉を失っていた
いつもうるさいマネーは別人のように静かになった
バナナは何も言わず、サングラスを掛け直してそっぽを向いた。その後は何も言わなかった
ブルーは意外と落ち着いていて、泣き叫ぶことは無かったが涙を流した
レッドは「そーか」と言って布団を頭から被った
銀さんは赤ちゃん程ではないが声を上げて泣いていた
ブラックは「そうですか」と言ってパソコンをいじり始めた。心なしかいつもより声色が低かった
すまない先生
サリン先生
サリン先生
はぁ…と2人の溜息が揃う
サリン先生
サリン先生
すまない先生
2人は心の底からマロを心配しながら、だけどアリスならどうにかしてくれると信じながら、職員室へレポートを書きに行った
マロの部屋
アリス先生
アリス先生
マロ(花吐き病)
マロ(花吐き病)
大事な選択を間違えたかもしれない、とアリス先生は思っていた
病室に入る前、先生や友達は必ずドアをノックして、本人の許可をもらってから病室に入るようにしている
だがアリス先生はノックこそしたけれど、マロから病室に「入らないで」と言われたが、無理矢理入ってしまった
___結果、今の状態である
アリス先生
アリス先生
マロ(花吐き病)
マロ(花吐き病)
マロが重たい口を開いた
アリス先生
マロ(花吐き病)
アリス先生
アリス先生
ベッドに横たわっていた冷たいミーシャの姿がアリス先生の脳裏に巡り、アリス先生の目からは涙が溢れた
アリス先生
アリス先生
ポロッ、ポロポロと途切れることなく涙が溢れていく
マロ(花吐き病)
マロが蚊のような声で謝った
アリス先生
アリス先生
マロ(花吐き病)
マロ(花吐き病)
悲しみに耐えきれなくなったのか、マロは床にしゃがみ込んで膝から泣き崩れた
マロ(花吐き病)
マロ(花吐き病)
アリス先生
膝から泣き崩れたマロをそっと、アリス先生が抱きしめる
アリス先生
アリス先生
アリス先生
マロ(花吐き病)
アリス先生の温かい腕の中でマロは何分も、何分も泣き続けた
アリス先生
そう言いながらアリス先生は自分の席に着く
すまない先生
サリン先生
2人は心配しているような顔をしているのと裏腹に、アリス先生の顔はいつにもまして爽やかな顔だった
すまない先生
アリス先生
そう言って、ニコッと笑みを浮かべながら先程の出来事を2人に話した
サリン先生
サリン先生
そう不意にサリン先生に言われ、アリス先生はふっ、と優しい笑みをこぼした
すまない先生
アリス先生
サリン先生
3人は小さなお葬式のようなものをしてからミーシャを火葬場に連れていき、天国に送ろうとした
だが、外に出れないブラック、レッド、ブルーを除いた患者全員が「ミーシャを送ってあげたい」と口をそろえて言うので結局全員でミーシャを送ることにした
棺に横たわるミーシャにそれぞれが優しい言葉をかけて、外に出れない3人は書いた手紙を先生に入れてもらって、全員でミーシャを送った
悲しい、悲しい出来事だったが、きっと皆ならば乗り越えていける、そう思っている
皆今までありがとう
そんな声が聞こえた気がした
この作品はいかがでしたか?
54
コメント
10件
突然仲の良い子が亡くなってしまったらと考えると自分まで苦しくなります。なんだか自分もその現場にいるような感覚になるくらい没入感がありました夢羽さんの小説はすごいです‼️
うわぁぁぁぁ……やっぱり悲しすぎる……なんで急に…………奇病も関係なく逝っちゃうなんて…残酷すぎるよ… 頼むからあっちでは幸せでいてくれ…!! 先生達も皆も辛いよ…特にマロちゃんは…仲良かった子がいなくなるのって…ましてや……、悲しすぎるよ…先生が救ってくれて良かった… ミーシャちゃん!あっちから皆の事を見ていてね!!
こんにちは。ソーダ飴です。 先程のコメント少し間違えた為、消してしまいました💦 やっぱり、仲のいい友人が亡くなるのは悲しいですよね… このあと、どうなるのか。 続き、楽しみにしてます!