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すまない先生

……

アリス先生

グスッ

サリン先生

…ミーシャ…

ここはすまない病棟3号室

ここでは先程一人の患者が空へ旅立った

ミーシャ

検査をすると心臓が突然止まり、心肺停止で死亡したらしい

この場にはまだ他の患者は来ていない

まだミーシャの「死」 を皆に知らせていないのだ

すまない先生

これは…真実を皆に伝えないといけないよね

サリン先生

えぇ、嘘を付いてもマロだけはミーシャが倒れたことを知っているわ

サリン先生

だから…何も言わないとマロは感づいてしまう

サリン先生

結局バレてしまうのよ

アリス先生

…辛いなぁ…何でもっと早くミーシャの異変に気づかなかったんだろう

アリス、サリン、すまない先生の目からは大粒の涙が溢れる

すまない先生

どうして腕バンドは反応しなかったんだ?

アリス先生

もうこんな事がないように…腕バンドを強化してよ、すまない

すまない先生

勿論だよ、そのつもりだ

サリン先生

ミーシャ…お願いだから起きて…

そうやって3人が悲しみに暮れているとドアの付近から音がした

ガタンッ

サリン先生

!?

すまない先生

!?

アリス先生

!?

マロ(花吐き病)

つっ!

誰かが見ていたのだろう、この現場を

アリス先生

一体誰が…

すまない先生

あっ…

サリン先生

オレンジ色の花びらね…

誰が見ていたかは直ぐに判明した

ドア付近にオレンジ色の花びらが落ちていたから

ここにはオレンジ色の花は咲いていない

だからその咲いていない色の花びらがあるということは誰かが作ったのだ

すまない先生

マロ…か

サリン先生

もうバレちゃったね

ここには花吐き病を患っているマロがいる

ミーシャの事が心配でここに来たのだろう

アリス先生

嫌なとこ見られたなぁ

すまない先生

うん…

すまない先生

でも、これで皆にミーシャの事を話さないといけないっていう決意が固まったよ

サリン先生

そうね…

重苦しい静寂が部屋を包みむ

アリス先生

私、マロのところに行ってくるね!

アリス先生

マロがめっちゃ心配だから!

アリス先生はそう言って部屋を出ていった

アリス先生の目には涙が溜まっていたのはサリン先生もすまない先生も気づいていた

すまない先生

辛い役を任せちゃったな

サリン先生

私達は他の皆にミーシャの訃報を伝えましょう

すまない先生

そうだな…皆には辛い思いさせちゃうけど伝えないと皆を不安にさせるしな

ミーシャの顔に白い布をそっと掛け、すまない先生とサリン先生は患者達の部屋へと向かっていった

病棟1号室 赤ちゃん

サリン先生

あれ?赤ちゃんが居ないわ

ドアを開けるとそこに赤ちゃんの姿はなかった

すまない先生

赤ちゃん〜いるかい?

Mr.赤ちゃん(怪力病)

いるぜ!ここにな!

すまない先生が赤ちゃんの名前を呼ぶとそれに応答した赤ちゃんがベットの下からひょっこりと出てきた

すまない先生

ほっ…よかった居たんだね!

Mr.赤ちゃん(怪力病)

へへへっ!先生達の足音が聞こえたからよ!隠れて驚かそうと思ったんだぜ!

赤ちゃんはニコニコと笑っている

Mr.赤ちゃん(怪力病)

で!先生達はどうしてここに来たんだ?

Mr.赤ちゃん(怪力病)

バイタルチェック?の時間じゃねぇしな?

サリン先生

それはね…

この笑顔を訃報で壊したくないが、必ず言わないといけない事があるから言うしかない

すまない先生

赤ちゃん、ベットの上に座って、しっかりと聞いて欲しいんだ

Mr.赤ちゃん(怪力病)

、、?おう

すまない先生とサリン先生の真剣な眼差しに気づいたのか赤ちゃんの顔から笑顔が消えた

すまない先生

実は…ミーシャが亡くなったんだ

Mr.赤ちゃん(怪力病)

___は?

Mr.赤ちゃん(怪力病)

すまない先生、今なんて?

予想外の回答に、赤ちゃんはベットから身を乗り出してすまない先生に聞き返す

すまない先生

だから…ミーシャは突然の心臓発作で亡くなった

Mr.赤ちゃん(怪力病)

え…そんな…

Mr.赤ちゃん(怪力病)

嘘だ…嘘だよな!?

すまない先生

つっ…!

赤ちゃんの絶望した表情に耐えきれなくなったのかすまない先生は赤ちゃんから背を背けた

サリン先生

すまない……

サリン先生

ごめんね、嘘じゃないの

サリン先生

こんな嘘、、私達が言うと思う?

Mr.赤ちゃん(怪力病)

……じゃあ…ほんとにっ!

ポタッ、ポロッ

サリン先生

…ッッ

赤ちゃんの目から大粒の涙が溢れる

白かったシーツが涙で暗い白色に染まっていく

すまない先生

助けられなくてっ…すまない…

サリン先生

もう少し早く気づいていればよかったのに…

Mr.赤ちゃん(怪力病)

………

Mr.赤ちゃん(怪力病)

心臓発作なんだろ…?じゃあ先生達は悪くねぇよ

赤ちゃんは肩を震わせながら必死に喉から声を絞り出す

だがどうしても声が震えてしまう

すまない先生

ごめんね…悲しい思いさせちゃって

サリン先生

すぐには切り替えできないわよね…

サリン先生

もう私達は行くから、気持ちを落ち着かせてて

Mr.赤ちゃん(怪力病)

………おう

2人は頬を伝う涙を拭い、1号室を後にした

……パタン

Mr.赤ちゃん(怪力病)

ゔっ…ぁ゙ぁ゙…!

Mr.赤ちゃん(怪力病)

うわぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙!

病室から先生達が居なくなると、赤ちゃんは頑張って堪えていた気持ちが抑えれなくなり、大声で泣き出した

Mr.赤ちゃん(怪力病)

ミーシャぁ゙ぁ゙ぁ゙…!

赤ちゃんの脳内にミーシャとの記憶が溢れ出してくる

ミーシャと一緒に遊んだこと

ミーシャと一緒にご飯を食べたこと

ミーシャと…一緒に……

Mr.赤ちゃん(怪力病)

ミーシャ…なんで先に逝ってしまったんだよ!

Mr.赤ちゃん(怪力病)

まだたくさん遊びたかったのに!

泣いてもミーシャが戻ることはないと分かっていたけれど赤ちゃんは何度も、何度もベットを叩きながら泣き続けた

Mr.赤ちゃん(怪力病)

なんで…!俺じゃなくてミーシャが…

1号室には赤ちゃんの泣き叫ぶ、悲痛な声が響き渡っていた

ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙!

すまない先生

………

サリン先生

赤ちゃんっ…、

1号室の壁に背をつけて赤ちゃんの声を聞いていたすまない先生とサリン先生の目からは再び涙が溢れた

悲痛な声が廊下にまで響き渡る

すまない先生

こんなに…患者が居なくなるのが辛いなんてね

サリン先生

そうね…アリスに聞いたんだけど、すまないとアリスがここに来た時から誰一人として居なくなってないんでしょう?

サリン先生

そしてここに居る子たちがすまないとアリスの初めての患者だって…

すまない先生

そうだよ、赤ちゃん達が僕達にとって初めての患者達だ

すまない先生

だから…患者をなくすのも初めてなんだ

はぁ…とすまない先生は溜息をこぼす

サリン先生

あとこれを8回もしないといけないのね…

すまない先生

…辛いけど、皆も辛いんだ

すまない先生

僕達がしっかりしないと!

サリン先生

そうね、私達がしっかりしないとね

サリン先生

じゃあ行きましょうか、2号室へ

すまない先生

あぁ!

そうしてすまない先生とサリン先生は悔しい気持ちと悲しい気持ちを心の奥にしまい、2号室へと向かっていった

2人はマロの部屋以外全ての部屋を回ってミーシャの訃報を伝えた

ノエルは手を口に当てて静かに涙を流した

ピクシーは衝撃のあまり言葉を失っていた

いつもうるさいマネーは別人のように静かになった

バナナは何も言わず、サングラスを掛け直してそっぽを向いた。その後は何も言わなかった

ブルーは意外と落ち着いていて、泣き叫ぶことは無かったが涙を流した

レッドは「そーか」と言って布団を頭から被った

銀さんは赤ちゃん程ではないが声を上げて泣いていた

ブラックは「そうですか」と言ってパソコンをいじり始めた。心なしかいつもより声色が低かった

すまない先生

はぁ…やっっっと終わった…

サリン先生

お疲れ様すまない

サリン先生

私も終わったわ…とても疲れた

はぁ…と2人の溜息が揃う

サリン先生

私マロが心配だわ

サリン先生

あの子が1番ミーシャと仲良かったもの

すまない先生

そうだね…アリスとマロは今大丈夫かな?

2人は心の底からマロを心配しながら、だけどアリスならどうにかしてくれると信じながら、職員室へレポートを書きに行った

マロの部屋

アリス先生

マ、マロ…

アリス先生

大丈夫…?

マロ(花吐き病)

……

マロ(花吐き病)

なんでっ…入ってきたの…

大事な選択を間違えたかもしれない、とアリス先生は思っていた

病室に入る前、先生や友達は必ずドアをノックして、本人の許可をもらってから病室に入るようにしている

だがアリス先生はノックこそしたけれど、マロから病室に「入らないで」と言われたが、無理矢理入ってしまった

___結果、今の状態である

アリス先生

(うーん…これは本当に選択間違えた!)

アリス先生

どうしたものか…

マロ(花吐き病)

……

マロ(花吐き病)

ね、アリス先生

マロが重たい口を開いた

アリス先生

ん?どうした?

マロ(花吐き病)

なんでさ、ミーシャは死んだの?

アリス先生

……詳しくは分かってないけど、突然の心肺停止らしいよ

アリス先生

奇病は関係なかった、ミーシャの心臓が突然止まって…今の状態になってしまったの

ベッドに横たわっていた冷たいミーシャの姿がアリス先生の脳裏に巡り、アリス先生の目からは涙が溢れた

アリス先生

…ツッ…!ごめんね…っ私たちがちゃんと患者の様子を把握できてなかったから

アリス先生

あと何分か早くミーシャの部屋に行ってれば間に合ったかも知れないのに…

ポロッ、ポロポロと途切れることなく涙が溢れていく

マロ(花吐き病)

……ごめんなさい

マロが蚊のような声で謝った

アリス先生

なんでマロが謝るの!?

アリス先生

悪いのは私たちであって貴方はちっとも悪くないの!

マロ(花吐き病)

でも…先生達だって辛いのに私、八つ当たりしちゃった

マロ(花吐き病)

ごめんね…

悲しみに耐えきれなくなったのか、マロは床にしゃがみ込んで膝から泣き崩れた

マロ(花吐き病)

うわ〜〜〜〜〜〜ん!

マロ(花吐き病)

ヒッグッぐすっ…

アリス先生

ツッ…

膝から泣き崩れたマロをそっと、アリス先生が抱きしめる

アリス先生

悲しいよね、辛いよね…今はたくさん泣こう

アリス先生

そして、ずっと悲しい顔にならないで…笑顔を見せて

アリス先生

その方がミーシャも喜ぶよ

マロ(花吐き病)

うん……うんっ!

アリス先生の温かい腕の中でマロは何分も、何分も泣き続けた

アリス先生

今戻ったよ〜!

そう言いながらアリス先生は自分の席に着く

すまない先生

おかえり!

サリン先生

マロはどうだった…?

2人は心配しているような顔をしているのと裏腹に、アリス先生の顔はいつにもまして爽やかな顔だった

すまない先生

なんか、嬉しそうだねアリス

アリス先生

気づいた?

そう言って、ニコッと笑みを浮かべながら先程の出来事を2人に話した

サリン先生

そっか、やっぱりアリスに任せて正解だったわ

サリン先生

貴方の明るさ、優しさが傷ついたマロを救ったのよ

そう不意にサリン先生に言われ、アリス先生はふっ、と優しい笑みをこぼした

すまない先生

さてと…ミーシャを僕達で天国へ送りに行かないとね

アリス先生

うん

サリン先生

わかったわ

3人は小さなお葬式のようなものをしてからミーシャを火葬場に連れていき、天国に送ろうとした

だが、外に出れないブラック、レッド、ブルーを除いた患者全員が「ミーシャを送ってあげたい」と口をそろえて言うので結局全員でミーシャを送ることにした

棺に横たわるミーシャにそれぞれが優しい言葉をかけて、外に出れない3人は書いた手紙を先生に入れてもらって、全員でミーシャを送った

悲しい、悲しい出来事だったが、きっと皆ならば乗り越えていける、そう思っている

皆今までありがとう

そんな声が聞こえた気がした

この作品はいかがでしたか?

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コメント

10

ユーザー

突然仲の良い子が亡くなってしまったらと考えると自分まで苦しくなります。なんだか自分もその現場にいるような感覚になるくらい没入感がありました夢羽さんの小説はすごいです‼️

ユーザー

うわぁぁぁぁ……やっぱり悲しすぎる……なんで急に…………奇病も関係なく逝っちゃうなんて…残酷すぎるよ… 頼むからあっちでは幸せでいてくれ…!! 先生達も皆も辛いよ…特にマロちゃんは…仲良かった子がいなくなるのって…ましてや……、悲しすぎるよ…先生が救ってくれて良かった… ミーシャちゃん!あっちから皆の事を見ていてね!!

ユーザー

こんにちは。ソーダ飴です。 先程のコメント少し間違えた為、消してしまいました💦 やっぱり、仲のいい友人が亡くなるのは悲しいですよね… このあと、どうなるのか。 続き、楽しみにしてます!

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