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白髪の老人

おっと、すまない…

しゃがれた弱々しい声。

アルバートが振り返ると…

白髪の老人がいた。

高級店が並ぶ、

この通りには似つかわしくない、

みすぼらしい格好をしている。

マリーが気になったのは、

老人の格好だけではない。

老人は何か得体のしれない

不気味なオーラを漂わせている。

白髪の老人

ヒヒヒ。

白髪の老人

すまんの。

アルバートは、老人のことなどよりも

買ったばかりの高級ブランドのジャケットが

気になったのか、思わず舌打ちして、

毒づいた。

アルバート

おい、しっかりしてくれよ!

アルバート

この服、じいさんに買えるようなものじゃないんだからな!

しかし老人は、アルバートの顔を

しっかり見ると、おそろしげな顔になって言った。

白髪の老人

あんた、わしの顔に覚えはないかい?

白髪の老人

わしは、あんたの顔を覚えておるぞい。

その独特なしゃがれた声を聞き、

ぼんやりとしていた記憶がよみがえってきた。

この老人、以前にも見たことがある。

あれは確か…

スカウトされた日だ。

今、目の前にある顔と全く同じ顔が、

記憶の中で像を結んだ。

この老人は、ある日、自分に、

白髪の老人

少しでもいいから、食べ物を分けてくれ。

と懇願してきた老人だ。

自分と老人の境遇を重ね、

未来の自分を助けるつもりで、

持っていた金の中から、

いくばくか渡したのだった。

老人は、お礼のつもりなのか、

白髪の老人

あんたは、必ず音楽で成功するはずじゃ。

と言った。

お世辞と分かっていてもその老人は、

アルバートをはげました。

有名プロデューサーに声をかけられたのは、

すぐその後のことだった。

あの老人がまた目の前に現れたのだ。

アルバート

(しかしこの老人、いったい何歳なんだ?

アルバートは、心の中でつぶやいた。

目の前にいる老人は、

記憶の中の老人とまったく同じ

容姿をしている。

白髪の老人

ヒヒヒ。

白髪の老人

またあんたにお願いしたいんじゃがの…

アルバートは、恥ずかしくなった。

こんな、みすぼらしいじいさんと

知り合いだと思われたくない。

だが老人は、離れようとせず、

厚かましい口ぶりで言ってきた。

白髪の老人

また、金を恵んでくれないか。

白髪の老人

今なら、あんたも金を沢山持っているじゃろ?

白髪の老人

あんたは、わしに礼をしなければならんはずだ。

まるで、「金を渡して当然」

とばかりの老人の口ぶりに

アルバートは、カチンときた。

アルバート

おいおい、じいさん、いい加減にしてくれ!

アルバート

感謝されるならまだしもなんでこの私が、

アルバート

じいさんにお礼を言わなくちゃいけないんだ。

そして、すがりついてきた老人の手を

強くふり払った。

老人は、そのはずみで、

道路に転がり、腰をしたたかに

打ちつけたのか、

腰をおさえて悲鳴を上げた。

白髪の老人

わしの恩を忘れおって!

白髪の老人

覚えておれ!

それに足早にアルバートの前から

去っていった。

その姿をあわれんだのか、

妻が老人を追っていった。

おそらく、お金を少しほど

こすつもりなのだろう。

ここまでです!

♥100で書きます!

お楽しみに!

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