白髪の老人
しゃがれた弱々しい声。
アルバートが振り返ると…
白髪の老人がいた。
高級店が並ぶ、
この通りには似つかわしくない、
みすぼらしい格好をしている。
マリーが気になったのは、
老人の格好だけではない。
老人は何か得体のしれない
不気味なオーラを漂わせている。
白髪の老人
白髪の老人
アルバートは、老人のことなどよりも
買ったばかりの高級ブランドのジャケットが
気になったのか、思わず舌打ちして、
毒づいた。
アルバート
アルバート
しかし老人は、アルバートの顔を
しっかり見ると、おそろしげな顔になって言った。
白髪の老人
白髪の老人
その独特なしゃがれた声を聞き、
ぼんやりとしていた記憶がよみがえってきた。
この老人、以前にも見たことがある。
あれは確か…
スカウトされた日だ。
今、目の前にある顔と全く同じ顔が、
記憶の中で像を結んだ。
この老人は、ある日、自分に、
白髪の老人
と懇願してきた老人だ。
自分と老人の境遇を重ね、
未来の自分を助けるつもりで、
持っていた金の中から、
いくばくか渡したのだった。
老人は、お礼のつもりなのか、
白髪の老人
と言った。
お世辞と分かっていてもその老人は、
アルバートをはげました。
有名プロデューサーに声をかけられたのは、
すぐその後のことだった。
あの老人がまた目の前に現れたのだ。
アルバート
アルバートは、心の中でつぶやいた。
目の前にいる老人は、
記憶の中の老人とまったく同じ
容姿をしている。
白髪の老人
白髪の老人
アルバートは、恥ずかしくなった。
こんな、みすぼらしいじいさんと
知り合いだと思われたくない。
だが老人は、離れようとせず、
厚かましい口ぶりで言ってきた。
白髪の老人
白髪の老人
白髪の老人
まるで、「金を渡して当然」
とばかりの老人の口ぶりに
アルバートは、カチンときた。
アルバート
アルバート
アルバート
そして、すがりついてきた老人の手を
強くふり払った。
老人は、そのはずみで、
道路に転がり、腰をしたたかに
打ちつけたのか、
腰をおさえて悲鳴を上げた。
白髪の老人
白髪の老人
それに足早にアルバートの前から
去っていった。
その姿をあわれんだのか、
妻が老人を追っていった。
おそらく、お金を少しほど
こすつもりなのだろう。
ここまでです!
♥100で書きます!
お楽しみに!
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