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ファウル・ファイブ

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ファウル・ファイブ

24 - 放課後カプリッチオ~悪友と天敵とわたし~

♥

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2020年08月10日

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それから約十分後。

 わたしと吾蓮は、ついに体育館にやってきた。

木崎姫歌(きさき ひめうた)

……

相羽吾蓮(あいば あれん)

どうした、木崎?

 先にフロアに足を踏み入れた吾蓮が、振り向いてこちらに声をかけた。

木崎姫歌(きさき ひめうた)

いや、何でもない……

 尻込みしていたのを誤魔化すように、早足で体育館へと踏み込んだ。

 瞬間、

九手いくる

姫歌、バスケしよ~ぜ♪

木崎姫歌(きさき ひめうた)

げっ……!

九手いくる

ははは、『げっ……!』なんて、心にもないこと言っちゃって♯

 目の前の女は、ニヤリと嫌らしい笑みを浮かべた。

 彼女の名は九手(くで)いくる。

 数少ない中学時代からの友人で、椿奈高校女子バスケ部部員だ。

九手いくる

久し振り❤

 ぎゅっ。

木崎姫歌(きさき ひめうた)

バッ!? 離せ!

 いくるは、唐突にわたしを抱き寄せた。

九手いくる

ん~、いい匂いだね☆ 相変わらず可愛いよ♯

木崎姫歌(きさき ひめうた)

や、やめろって、おい……!

九手いくる

あら、また胸大きくなっちゃったΣ ボクは小さい方が、好みなんだけどな♭

木崎姫歌(きさき ひめうた)

ま、まさぐるなバカっ!

 今日はよくセクハラをされる日である。

 夜城・甲尾・いくるでセクハラトリオと名付けてやろう。

相羽吾蓮(あいば あれん)

え、えーっと、お二人さん?

 流石に見兼ねたのか、こちらに声をかける吾蓮。

 しかし、

九手いくる

ああ(不快) 童貞は黙ってろ(殺)

相羽吾蓮(あいば あれん)

……はいぃ!?

 突然の童貞呼ばわりに困惑する吾蓮。

 表情的に、図星だな。

九手いくる

オレは男には興味がない(真剣) 童貞には尚のこと興味がない(本気で) 包茎には薄皮一枚たりとも興味がない(笑) よってそこから導き出される答えは、君はお呼びでないということだ(爆) 今後アタシの前には顔を出すな(蔑)

相羽吾蓮(あいば あれん)

……………

 突然の毒舌、というより致死毒舌を食らい、呆然とする吾蓮。

 しばらくして我に返ると、

相羽吾蓮(あいば あれん)

だ、誰が包茎だ!? そして(笑)って何だ!? (笑)って! 全国の包茎さん達に謝罪会見を開け、今スグに! 彼らはまだ、かくれんぼを卒業できていないだけなんだ!

木崎姫歌(きさき ひめうた)

……

 こんな時でも変な突っ込みを披露するのであった。

 流石と言うか、憐れと言うか……。

九手いくる

あはは、それは悪かったね包茎さん(射) え~っと、苗字は短小さん、だったかな(確認)

相羽吾蓮(あいば あれん)

誰が短小包茎やねん!? 俺のタカシを舐めるなよ!? 育ち育ってエレファントカシ○シサイズだぞ! つーか(射)って何だ!? (射)って! (謝)だろ! 完全に下ネタじゃねーか!

 更に食ってかかる吾蓮。

 て言うか自分のムスコに「タカシ」って名前付けるなよ。ドン引きだわ。

 そしてエレファントカ○マシは象の種類ではない。宮○さんごめんなさい。

九手いくる

なあ、ひぃ♯

木崎姫歌(きさき ひめうた)

……何だ?

 無理矢理に抱擁から脱出し、言葉を返す。

九手いくる

本当に男バスのコーチなんか、やるのかい*

木崎姫歌(きさき ひめうた)

……ああ

 わたしは目を合わせずに言った。

 既に気付いているかもしれないが、わたしが体育館に来たくなかった理由は、こいつである。

 セクハラがどうこうとかではなく、過去に色々あって、会うのが少し気まずかったのだ。

 いくるの方は、そんなことなど気にも留めていないようだが。

九手いくる

意外だね♭ ウチがあれだけ誘っても、女バスには顔も出さなかったのに♯

木崎姫歌(きさき ひめうた)

こっちにも、色々あるんだよ

 言って、いくるから距離を取る。

 すると、

九手いくる

はっЧ まさか、あの短小包茎君と伝説の「たっちゃん、み○みを甲子園に連れてって的なやり取りをЪ」

人を勝手に新体操の星にするな

 て言うか、今時そんな女子はいないだろう。もはや化石人類ではなかろうか。

 いたら連れ帰ってホルマリン漬けにして、毎日観賞したい。

 と、そんなことを考えていた時だった。

 ガタァン!

 大きな音を立て、体育館の戸が開いた。

 その先には、白いタキシードを着て、真っ赤なバラをくわえた男が一人。

甲尾莱亜(こうび らいあ)

木崎、俺が君を、インターハイに連れて行く

 キラーン。

 男の歯が白く光る。

 男の名は甲尾莱亜。

 それを認め、わたしは甲尾の元へ近付き、

 ガタァン!

 戸を閉めた。

木崎姫歌(きさき ひめうた)

さあ、練習を始めるぞ、吾蓮

相羽吾蓮(あいば あれん)

お、おう……

 わたしは吾蓮の顔を見、結論を出した。

 すなわち、「これ以上変態は要らない」と。

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