郁美
いっちゃんが母に掴みかかった直後
優香里の叔母
母の叔母が血相を変えて戻ってきた
母は取り乱してしまい
親戚達は母を宥めるのに必死で
誰も動く気配がなく
いっちゃんが救急車を呼んだ
衰弱して痩せ細った私を抱き上げて
郁美
いっちゃんは大粒の涙を流した
拓郎
郁美
郁美
郁美
拓郎
拓郎
この間もずっと
取り乱した母を親戚達が宥めていた
やっと救急車が到着して
私はそのまま近くの病院に搬送された
救急車にはいっちゃんが同乗して
たっくんが必死に母や親戚と話をした
取り乱した母は
たっくんの言葉にも耳を貸さず
優香里
優香里
拓郎
拓郎
優香里
優香里
優香里
優香里
優香里
もしあの場にいっちゃんがいたら
再び母に掴みかかっていたかもしれない
病院ではいっちゃんが
ずっと私の手を握ってくれていて
目が覚めた時
一番最初に見えたのは
涙を流すいっちゃんの顔
でも幼かった私には
なぜそこに知らない女の人がいるのか
なぜ涙を流しているのか
それが全くわからなかった
美結
郁美
美結
郁美
美結
郁美
私はネグレクトによる栄養不足で
自力で起き上がることもできず
いっちゃんが握ってくれた手を
握り返すこともできなかった
私の状態から虐待を疑った救急隊の人が
いっちゃんを母親だと思い問い詰め
いっちゃんは救急車を呼んだ経緯を話した
郁美
郁美
郁美
郁美
郁美
郁美
いっちゃんの証言から児童相談所に連絡が行き
数日後には児童相談所の職員が母の元へ
優香里の叔母
親戚達は母を守るために必死に訴え
相談所の職員は一先ず帰っていったが
後日再び様子を見に来ることになり
病院にも職員の人が来て
母の事を色々と聞かれたけれど
うまく答えることができなかった
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