ザー.......ザザー.........
梅雨の昼時
下駄箱の前で、君に出会った
凛
(あ.....)
凛
(傘、忘れちゃった)
凛
(雨宿りしなきゃ...)
樹
凛さん
凛
あ、樹君
樹
あれ.......?
樹
もしかして、傘忘れた?
凛
う、うん.......
樹
入る?
凛
え?いいの?
樹
うん
ザザー..........ザー....
タッ...タッ....タッ.......
帰り道、
君との会話は楽しかった
アニメの事
家の事
学校の事
誰よりも弾んだその会話は、
私の心がドキドキした
凛
今日はありがとう
樹
いえいえ
樹
色々話せて楽しかったよ
凛
うん、そうだね
樹
あの、家近いよね
凛
うん
樹
また、話さない?
樹
色々気が合ったし....
凛
............
凛
うん
凛
いいよ
その時、ちょっと面白いことを考えていた
君は、私のことが好きかもしれない
つい、私自身も笑っちゃうような考えだった
でも、その時に気付いちゃった
私が君のことを好きだって
ザー.....ザザー......
私はまた、下駄箱で君を待つ
樹
あれ?
樹
もしかして......
凛
.........ごめん
凛
また忘れちゃった
ザザー......ザー...........
タッ....タッ.....タッ........
また、君と話をした
君との会話は、もっと弾んだ
でも私は、
胸が痛かった
凛
...........
凛
嘘ついて......ごめんなさい........
雨に吸い込まれそうな小さな声で、私は呟いた
樹
何か言った?
凛
ううん、何でもない
謝らなきゃ、ダメなのに......
逃げ出してしまう
自分がわざと傘を忘れたなんて事実に
こんな事はダメだって分かってる
でも、
私は君と一緒にいたいから───